650RS-W3 ~ハンドルロックを壊して取り出した後の修正方法

W3
W3のハンドルロック~修理・修正方法を解説

 

W3のハンドルロック~修正方法について解説

鍵の紛失に伴うキーシリンダー入れ替え時の「破壊行為」。
ここは内部の作りがデリケートな部分ですので、タガネやドライバーを打ち込んで壊す行為は危険です。ここで壊し方まではご案内していませんが、ドリルで穴を開けて丁寧にシリンダーを抜くか、リューターで削ってシリンダー抜け止めのピンを取り出す方法を推奨します。

ロック本体は比較的柔らかい金属素材ですので、ドリル拡大方法もリューター研磨方法も、
どちらも大きく時間を使う事のない作業です。

 


 

打ち抜かれたフレーム側ロック部分

フレームのペイント前に直すべき所はしっかりと修正

塗装作業が後に控えている場合には必ずペイント前に各部の修正を終わらせておく事が重要です。

画像では分かり難いですが、一番奥の縁部分は叩き押し込まれた様子で、一部が破損して無くなっていました。これによって奥に入る「バネ」が通り抜けてしまう状態です。
そしてキーシリンダーのピンが引っ掛かるであろう溝横壁も欠損してピンが掛からず、ハンドルロックが固定されなくなっています。

 


 

刺々しい表面でしたので、リューター・ペーパードラムで軽く段差を取った後の画像になります。

 

 

奥まった部分で溶接(溶盛り)での作業は不可能と考え、キーシリンダー側を加工して対処する事にしました。
少量ですが新品部品の在庫がありますので、それを使ってロックが掛けられる様に修正していきます。


 

   部品のご案内はこちらに

 


 

キーシリンダー部分の加工方法

特に難しい事は無く、止メピンを長くして対処する作業です

こうする事によって破損して僅かに残っている溝横壁にピンが引っ掛かりロックが固定されます。


【新品部品のロックアッシ

フレーム側内部には二本の溝があり、手前側はキーシリンダー固定用で、奥側はロック使用時に止メピンが嵌る部分です。
パイプ形状のピン穴に、画像内にある「リベット」を挿入・固定するのみです。

 


 

リベットの捨てられてしまう部分がここでは役に立ちます。
ここで用意したリベットのサイズ・ピン径は「2.25mm」ですが、キ-シリンダー側のピン穴系の「2.0mm」あたりがあればジャストサイズ。
ベルトサンダーで様子を見ながら一回り細く加工できれば十分です。
少しキツイかなと思う太さが理想ですが、削っては充てての繰り返し・地道な作業の後
ここで半分完成になります。


 

穴の深さはピン頭までの距離で「9mm」です。
その深さ付近まで入った所で、今度は適当な長さでカット。
ここではリューターで削ってカットしています。

奥に入るスプリング・バネは右回転させて少し外径を大きくしてあげると通り抜けせず
鍵穴底部に残る様に修正出来ます。

キーシリンダーの挿入とロックの掛け方・外し方
鍵の操作方法に特徴があるハンドルロックです

     【鍵の動き】

鍵をシリンダーに差し込んだ状態。

ピンは2時方向、やや横向きです。

 


 

左に鍵を回すとピンがちょうど真上に来る構造です。
この左に回した状態でシリンダーに挿入させるのですが、ピンが長い場合には鍵を右に戻すにも内壁に当たって回転しません。


 

 

キーシリンダーをフレームに挿入し、鍵が回らなければ挿入したピンは長いので短く削り、再度挿入~~~の繰り返し調整で回転する様になったらロックを掛けてみて、押し込まれた状態で固定されればいよいよ完成です。ロックが押し込まれた状態で、鍵がシリンダーから抜ければこれで正常・修正完了です。

 


 

ロック解除方法は鍵を左に回すとバネの力で押し戻されます。蓋・キャップが無いとシリンダーと共に出てきてしまう事もありますが、蓋が付いていれば飛び出ることなく手前の位置で止まります。

 

 

    リューターがあると部材カットから表面研磨までこなせます