Z1/Z2 ~ステーターハーネス交換とオイル漏れ対策について解説

Z-1
Z1/Z2~Z系のステーターハーネス交換

 

Zシリーズのステーターハーネス交換&オイル漏れ対策方法

Zの泣き所、特に900に多く見られるオイル漏れ箇所です。
Z1/Z2のみならず、後期Z1000系までZシリーズ共通の作業になります。
左側エンジンカバーを外すとエンジンオイルが出てしまいますので、オイル交換時期に合わせての作業が理想的です。

車体を右側に立てかけてオイルが出ない様に作業も可能ですが、効率と確実さを鑑みると
やはりオイルを抜いて車体を垂直にした状態での作業になります。

 


 

エンジンカバーの取り外し
レフトエンジンカバー・ジェネレターカバーからのオイル漏れ対策の解説です

この記事内では市販されているステーターハーネス、PMC製品を使用しています。
ハーネスの他、配線用グロメット(黒く四角いゴム)と線接合用の端子から厚手の収縮チューブまで含まれたオールインワンの製品でとても使いやすいのが特徴です。

   【はじめに】
ここでは割愛していますがエンジンオイルを抜いた後、まずはフロントスプロケットカバー(パーツリストではフロントチェーンカバー)を外して、エンジンカバーから延びるハーネス(配線の束)を車体側から取り外す作業からです。これは左側・ジェネレターカバーから出ている線を辿ればすぐに分かる筈です。Z1/Z2であれば右側サイドカバー内に、Z1000あたりになると左側サイドカバー内と、車種や年式でありかが変わってきますが容易に見つけられる事でしょう。


 

 

レフトエンジンカバーを外した所です。
古い配線側で3本の線を切断しています。
この後ジェネレター側に残った接続部分を半田コテで溶かして抜き去ります。


 

 

 

この部分に半田コテを当てて熱を加えて取り去ります。

 

   ハーネスはメーカー直販の他、通販サイトにもあります

 

 


配線の取り付け~ハンダで溶着
ここからは少しコツが必要な部分も出てきますので、解説画像の他動画も用意しています

   【オイル漏れ対策方法の解説①】

まずグロメットに3つ開いた穴に液体ガスケットを少量詰め込みます。
そしてそこに線を通していきます。
グロメットから出す線長は固定差でまちまちですのでここで何cmとお伝え出来ませんが、面倒でもガスケットを塗る前に一度仮組をして、グロメットから出す線長を測っておく事が望ましいです。

車種によって線長が異なりますので、保護チューブから出る黄色線の長さ調整としてこのチューブも短くカットして合わせる様にします(今回は3cm程短くしています)。

 

四角いグロメットは付属のハーネス線の太さに合わせた物ですので、一般的なサイズの電線を使うと線穴に隙間が出来てオイル漏れの原因になりますので注意が必要です。

 


 

    【ハーネス線の溶着方法】

黄色線をグロメットに通した後、7mm程度被覆から出る様に剥き、キット付属品の端子に差し込みます。


 

 

この銀色のパイプがハンダ溶着用になります。7mm線を出す事によってパイプ半ばまで差し込む事が出来ます。


 

 

バイスに電線を斜めになる様に挟んで固定します。これは溶けたハンダが黄色線に流れる様にしている為です。


 

 

中間の穴周辺を温め、穴の中へハンダを流し込む要領です。

 


     【ハンダ要領動画】   ~~~竹内まりやさんの曲にのせて
この動作を数回繰り返して電線と端子をしっかりと接合させます

     【ステーター線との接合】

黄色線が固定出来たら反対側の穴にハンダを盛り付けておきます。
(中にある空気層の為中に流れ込みません)


 

 

ステーター側と接合する前に付属の「収縮チューブ」を忘れずに電線に通しておきます。


 

 

ステーター線と端子先端を突き合わせた状態で、端子にコテを当てて温めます。
こうするとハンダが溶けた瞬間にステーター線が端子内に吸い込まれる様に挿入されます。

~~~3本共に固定出来たら最後の仕上げです

端子とステーター線、接合部分へ更にハンダを流して確実に溶着させます。
固定が出来たら収縮チューブを被せて熱を加えてしっかりと密着させて接合作業は完了です。

 


オイル漏れ対策加工

ここからはオイル漏れ対策と最後の組付けまでを解説しています


     【オイル漏れ対策方法の解説②】

グロメット(内向き)は線の根元が丸く凹んでいます。
その部分に「瞬間接着剤」をあふれる手前まで流し込みます。
(ここではゼリー状でなく液状を使用)

ここまで溜めるとなかなか固まりませんので、促進剤をスプレーして中までしっかりと固めます。

瞬間接着剤は有名メーカー品でなくとも問題ありません。
特にダイソーの製品はキャップがしっかりしている様子で、使い残しでも縦にして保管しておけば中身が固まる事なく長期間の保存が可能です。

 


      【オイル漏れ対策方法の解説③】

固めた部分の上に液体ガスケットを盛り付け更なる漏れ止めを施します。
360度、そして線の中ほどまでしっかりと行き渡らせます。


 

 

これで線径からの漏れは完全にシャットアウト出来ます。

ここで使用した液体ガスケットはいつもエンジン組み等で愛用しているホンダ販売品で、信頼のおける製品ですので様々な部分で使っています。

 

 

   使用製品参考

    【オイル漏れ対策方法の解説④】

グロメットの側面・3方向そしてエンジンカバー側・グロメット取り付け部分にもガスケットを塗ります(少し多めに)。
また、殆ど意味はありませんが、黄色線・外側根元にも少量ガスケットを盛り付けておきます。

黄色3本線はスタータークラッチに干渉しない様になるべく3本横並び・平らに近くし、
そして外側に収めまるように各部を調節します。


 

 

これで完成となりますが、ガスケットが固まる前に車体側への取り付けを心がけて下さい。

 

   瞬間接着剤用・促進剤のご案内

 

 


ステーターハーネス交換の補足~~~エンジンカバーの取り付け
   エンジンカバーの取り付け要領です

     【取付ボルトの締め付け順序】

M6ボルトを均等に少しづつねじ込み、ドエルピン(ノックピン)の入っている上下から
規定トルクまで締め込んでいきますが、その次にハーネス部分の上下の順に固定します。

既に周知の事と思いますが、確認用に記載しておきます。
どこか1本だけ先に締め込むのではなく8本均等に少しづつ締め、最後にギュッと締め込む順序がドエルピンの所とハーネス部分と言う解釈です。