CB1100を題材・ホンダ独自の「チェーン引き」構造~アクスル挿入時に気を付けるべき事

【は~ほ】
ホンダ チェーンアジャスターのトラブル
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【ほ】 ~ホンダ・アジャスターについて

ホンダ独自のチェーン引き構造は秀逸

従来構造を進化させた造りですのでチェーン引き周辺にダメージがあったとしても走行中にホイールが前方に引き寄せられるようなトラブルがありません。

過去に重大な事故が発生した「従来型チェーン引き構造」

~~~旧車に多く見られる構造のチェーン引き。これが原因で以前重大事故になった事を思い出しました。車両は「マッハⅢ」で、高速道路で片側(ドライブチェーン側)のチェーンアジャストボルトがスイングアームの溝から外れ、リヤホイールはリヤフォーク内で大きく斜めになって後輪ロック。120kmのスピードのまま転倒し車体右側を大破。搭乗者は奇跡的に軽い打撲程度で済んだ事が本当に不幸中の幸いでした。マッハⅢのチェーン引きは上記画像のZ用とは違ってスイングアーム先端部・薄いプレートに細いボルトがダイレクトに触れていると言う代物。これではトラブルの温床になってしまいます。

主な原因はチェーンアジャスターのズレによるもので、プレートの肉厚が薄い為どこかにぶつけた衝撃のせいなのか曲がっていたのでしょう。アジャストボルトがスイングアームの調整溝から外れかけた状態で乗った事が一番の問題点で(スイングアーム・ボルト受け側の幅もM8ボルト1本分と薄い)、しかも運悪くそれが駆動の掛かるドライブチェーン側。いくらアクスルナットをきつく締めても駆動力には負けてしまいます。アジャストボルト先端はテーパーになっていますので溝のセンターに無い場合はストッパーの意味を成しません。駆動力で左側前方にアクスルシャフトが引き寄せられたホイールは大きく右を向きリヤフォーク内側に引っかかり後輪ロック・・・。 とても恐ろしい構図です。

Z1/Z2からアジャスター・プレートの肉厚が増し、アジャストボルトの当たる部分も幅広のしっかりとした造りに変更されました。後期型ではボルトも太くなり(8mm→10mm)、基本構造は変わらなくとも飛躍的に問題の出ない物となりました。

ホンダのチェーン引き~トラブルはアクスルシャフト挿入時に発生

チェーン交換時やホイール取り付け時にチェーン引きを前方に移動させる工程でそれは起こります。

リヤアクスルを取り付ける際にシャフトが最後まで入りきらない時やプラスチックハンマーで叩いても押し込めない等、そんな場合はロックナット側のチェーンアジャスター・ボルトを疑います(画像では分かり易い様にアジャスターを外してボルトのみで説明しています)。アジャスターを前方へ移動させる為にボルトを締め込みますが、その状態でアクスルシャフトを挿入すると大抵は僅かに飛び出したボルト先端部に当たり最後まで押し込めません。

状況が分からずに無理やりシャフトを叩いてしまうとこの様にアジャストボルトは曲がってしまいます。こうなると部品交換になってしまいます(ボルト単体での設定有り)。


 【改善方法】

ボルトを最後まで締め込んだ状態

アクスル挿入時ボルトをストッパーまで戻した状態

チェーン引きを前方に移動する為に調整ボルトを締め込みます(左側画像)。アクスルシャフトの挿入時にはボルトをストッパーまで戻します。

~~~構造が把握出来ていないとしっかりとした整備は望めません

「おやっ?」と思った時は無理をせず周辺の観察を怠らない様に気を付けて作業に臨みましょう。