【V】 【く】
VFR800X無限/クロスランナー フロントフォークのOH
ホンダドリーム店経由での200台限定販売の「VFR800X MUGEN」。
とても珍しい車両ですがあまりの希少車と言う位置づけの為細かなセッティングデータがメーカーからも出てきません。今回フロントフォークのオーバーホールの依頼がありましたがデータをホンダに聞くと「こちらにデータはなく、販売形態がドリーム店からのなのでそちらで確認を」と言う返答。しかしドリーム店からの情報は国内一般販売された2015年以降のモデル(RC80)しかデータは出てきません。
無限が輸入そしてドリーム店からのデリバリー
こうなると分解を進めつつ現状確認からフォークオイルレベルを計測する手段しかありません。丸一日置きオイルを落とし込んでからの分解作業に移ります。
幸い一度も開けられた事のない車両でしたのでレベル確認も大きな差がでないと考えています。
トップキャップを外しロッドのねじ込み長さを計測
実測値:11mm
スペーサーとワッシャーを外し、まずはスプリングが入った状態での油面を計測して書き留めておきます。
実測値:68.5mm
★インナーチューブとダンパーロッドは必ず最下部迄押し込んだ状態で測ります
通常はスプリングが入っていない状態でのレベル調整ですが、今回手探りの作業ですので様々な状態でのレベルを計測し総合判断をします。
この一連の作業はセッティングデータが入手出来なかった時などに役立つ方法です。
オイルレベル確認の作業工程
ここから更に実践的な解説を行います。
スプリングに付いたオイルをなるべく綺麗にフォーク側に落としたいので、「反時計回り」にスプリングを回しながらゆっくりと持ち上げていきます。
こうする事によってオイルが線径を伝い易くなりオイルはフォーク内へと流れていきます。
抜き去ったスプリングはカラーやワッシャーと共に洗油にて洗浄します。
スプリングに付着したオイル量を加味してレベルは『100mm』が順当と決定します。
このあとシールセットとブッシュ、スライドメタルを交換し組み立てを行ったあとにこの数値でオイルを調整し、最後にスプリングを挿入した状態で先の数値と合わせて確認します。このように丁寧に作業を進めていくとスプリングが入った状態での数値と大きく外れる事は無く、精度の高い管理が出来ると思います。
VFR800X-MUGEN パーツリスト
今回の作業で使った部品と部品番号の一覧です。部品注文の参考にして下さい。
35200-MGY-642 スイッチASSYウインカー 9500円 51490-MCW-D01 シールセット、フロントフォーク 1640円 90544ー283ー000 ワッシャー、8mm 150円 91356-KA4-711 Oリング 35.2×2.4 220円 51414-MCF-003 ブッシュ、ガイド 690円 51415-MBW-E11 ブッシュ、スライダー 730円 車体番号:JH2RC60A1BK004*** 騒音検査なし ガス検査は19年度
ウインカースイッチの交換
フォークOHの他左側ハンドルスイッチの交換も行いましたので参考として簡単に説明をしていきます。
これが新品。
VFR800Fとは細かいスイッチが違いますので別部品です。
ハンドルカバーを外しその他左側のインナーカバー(グレー色)とフロントサイドカバー(白色)、そして先にサイドバンパーを外します。
右側のサイドバンパーは外さなくとも取付ボルトを緩めてあげると左側が外し易いです。
どのカバーもクリップ主体で(ボルトは3個のみ)、隠れたところにはなく外側から確認出来る所のみですので取り外し要領は簡単です。
~~~ホンダも部品がインドネシアや中国産が増えてきましたのでシール類の耐久性は落ちている様に感じます。ハンドルスイッチもそういう関係で切り替え部分が早くも壊れたのだと推測されます。