W1Sのタンクエンブレムをレストレーション

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W1S タンクエンブレムの再生方法
W1Sのタンクエンブレム

W1Sのタンクエンブレムには川重の「旗マーク」がデザインされています

左右で向きが違いますので左右揃えで綺麗な物を探すのは困難です。

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入手困難なエンブレムを綺麗にしたい

売買市場価格は新品で左右を見つけると・・・

探してみるとかなりの高額取引です。しかもエンブレムに施されたゴールドメッキは紫外線に弱く、すぐに色褪せ・色抜けが発生する代物です。

高額で購入したとしても今後数年間の乗車で日焼けしてしまうのは必至。
そこでペイントで再現して紫外線対策としてみました。

新品ですと当然ですがとても綺麗に発色しています。
日焼けによる色褪せは徐々に進行するので分かり難い部分でもありますが、その差は比べて見ると一目瞭然です。

エンブレムを左右で比べて見ると、その性質上どうしても右側の色が褪せやすくなります。


エンブレムの色味を合わせる

純正品は薄いゴールドメッキです

全体はゴールドメッキですが「旗マーク」部分は地金のシルバーとなっています。地金シルバーに腐食が無いエンブレムはペイントで再生がし易いです(シルバーはペイントで色合わせが不可能)。
このゴールドは日本人形などで使われる装飾品で使われている金メッキと同様の加工の様です。

まず「クリヤーオレンジ」にて全体をペイント(旗マーク部分はマスキングをします)。
旗部分の縁には「クリヤーレッド」を入れ、中央の艶消し黒を塗ります。
仕上げにクリヤーを吹いて完成となります。

クリヤーオレンジにも種類があり、更に塗り重ね回数で濃さを調整しますのでここは職人技が現れる重要部分でもあります。

細かい部分は筆を使って色を入れています。
トップコートをかけると艶消し黒が艶有りになってしまいますが、車体へ取り付けると違和感なく
かなり良好な仕上がりとなっています。

絶版価格に近い費用となってしまいますが、長期間色褪せが無くなる事を考えると
これもひとつの選択肢となります。

 

黒色に艶が出てしまいますが、ペイント仕上げする事によって新品と変わらない仕上がりとなります。色褪せたエンブレムもこれはこれで味わい深さがありますが、比べるとこれ程の違いです。


エンブレムの取り付けビスにも拘りを

取り付けビスもバフ仕上げに
ビスはステンレス製を使って磨きます。
エンブレムだけ綺麗になっても取り付けビスが腐食していると台無しです。
ここはステンレスビスをバフ仕上げにしてエンブレムと共に光らせましょう。

 


 

せっかくペイントしたエンブレム。取り付け用ビスの回転で塗膜が剥がれてしまうと困ります。
ここにはウインカーレンズ・ビス用のプラスチックワッシャーを使い、裏側のタンクに接触する方にはOリングを入れてなるべく傷がつかない様にして取り付けます(エンブレムとタンクの双方の傷を懸念)。

プラスチックワッシャーの部品番号

カワサキ: 23058-002(176円)

Oリングは手元にあった物を使っています。
後述していますが、ステンレス丸ビスはネジサイズM4-10を使って長さを調節して使います。

ワッシャーは良く見ると若干のテーパーになっているのが分かります。

エンブレム側に綺麗に収まる様に尖った方を下に向けた状態で取り付けます。
(エンブレムもテーパー状に穴が開いている為ピタリと収まります)

プラスチックワッシャーとOリングを入れる事でM4丸ビスの長さは変わってきます。
これは「7.0~7.5mm」の範囲になる様に長さを調節して加工します。
(これ以上長いと底付きし易くなりますので要注意)

電工ペンチにはボルト調整用・ボルトカット用の穴が開いた優れものがあります(私はロブテックス製品を愛用しています)。使い方はペンチを開いた状態でボルトを穴にねじ込んで、希望の長さを残してハンドルを閉じてカットするだけです。

電工ペンチでカットした断面をペーパーグラインダーで仕上げるととても綺麗なネジに仕上げる事が出来ますので、これらの工具が揃えられるとレストア・修理作業の幅が広く取れます。

 

 

 

エンブレムにワッシャーとOリングを取り付けたら塗膜保護の為に、丸ビスとワッシャーの隙間に潤滑剤を塗布して回転抵抗が掛からない様に保護します。
丸ビスは回転が止まる所まで締め込まず、抵抗を感じたらそこでストップ。
プラスチックワッシャーとOリングのおかげでその程度でも緩むことはありません。