バリオス/バリオス2のエンジンがかからない原因 ~タンクキャップの整備編

【は~ほ】
バリオスのエンジンがかからない・・・を検証
バリオス・バリオス2 エンジンストップ後再スタートが困難に

30分程走行後にエンスト、その後エンジンがかからないと言う症状です

この状況でも10~15分程置いておくとエンジンがかかる様になりますので、エンジンやキャブレターのトラブルではなさそうです。もちろんエンジン始動時から走行時までとても調子良く快調なのは言うまでもありません。

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おおまかに分けて3通りの原因が考えられます

1、キャブレター内部に溜まった細かい錆の吸い込み
2、タンクキャップのエア抜き部分の不具合
3、イグニッションコイルやプラグキャップの不良

いずれもエンジン始動後すぐに症状が現れずにしばらく経ってから発生する事があります

【1のキャブレター内部の錆が原因】
始動直後に不調とならず走行してフロートチャンバー内部が撹拌された状態で発生したりしますので注意が必要です。エンジンを停止して、ジェットに引っかかった錆が落ちると快調に戻ります。
車体を真っすぐに立てた状態でキャブレターのドレンにホースを付けて、ドレンボルトを開けてガソリンを受けに放出して錆の有無を確認します。

【2のタンクキャップのエア抜き部分】
エア抜き機構の逆止弁部分に不具合があると燃料がキャブレターへと落ちていかずガス欠状態になってエンジンが停止します。この場合もしばらくすると完全密閉ではありませんのでやがたゆっくりと燃料がキャブレターへと落ちていきエンジン始動が可能になります。

タンクの内圧の関係で起きたりもしますので、エンスト後やエンジンがかからなくなった時にタンクキャップを開けて始動が出来るようであれば原因はこのエア抜きの通路内にあると言えるでしょう。

【3のイグニッション系】
15~30分ほど乗ってコイルが発熱し始めると途端に調子が悪くなり走行不能になる場合もあります。エンジンを停止し、しばらく放置して温度が下がると元通りになったりもします。
1と2にあるような問題点が無ければコイルの不良と思われます。

フューエルキャップ・燃料キャップの整備

ここではタンクキャップのエア抜き部分の逆止弁を分解・整備、解説しています

まず最初にキャップアッシーをタンクから取り外します。小さなボルト類をタンク内に落とさない様に気を付けます。
(心配な場合は給油口をマスキングテープなどで塞ぎます)

~~~くれぐれも「火気厳禁」。室内で行う場合は十分に換気をします。

バリオスのタンクキャップはM5ボルトの全て(7本)と、給油口脇の「+ビス」の計8本を外すとタンクとキャップが分離出来ます。

 

キャップ単体にしたら+ビス2本を外しロック部分を取り外します。


 

 

キーシリンダー直下の丸い金属キャップと極小のリングをなくさない様に取り出します。
それと一緒にパッキンを給油口へ押し付ける為のスプリング・シートも外します。


 

 

エア抜き用の「逆止弁」は画像中央のオレンジ色のラバー部品です。
いきなり逆さまにせず順序が分かる様にピンセットなどで丁寧に取り出します。

 

 

 

このような順で中に収まっています。
一番奥が画像左端のガスケットになります。


 

 

裏返すと4つ穴が開いており、ここでワンウェイバルブと同じ構造になっています。
この部分に不具合があって張り付いたままになるとタンク内が密閉された状態になって
燃料が落ちなくなります。
ここは潤滑剤などの液体も張り付きの原因となりますので、ーツクリーナーでの洗浄のみの整備とします。


 

 

 

 

逆止弁奥に外部と繋がる通路があります。比較的大きな穴径ですのでまず詰まる事はありませんが、ここもパーツクリーナーで清掃・貫通確認をします。


フューエルキャップ・タンクキャップの組み立て

組み立て・組付けは分解の逆手順で行います

特に難しい事はありませんが一部にコツが必要です。

 

問題はロックケースの裏に付くプレートです。
これが組付けるのに厄介な存在です。
画像のようにキャップ側に置いて組付けると間違い無くずれて上手く取り付けが出来ません。

 

 

 

ロックカバー側に硬めのグリスで貼り付けるのが正解です。
キャップ側にパッキンを嵌めてから、この様に準備したロックカバーを被せて取り付けます。

 

このプレートには表裏がありますので要注意。
画像の様に凸部分がロックカバー側の凹部分に合わさる向きが正解です。

これでフューエルキャップ・燃料タンクキャップの整備は完了です

清掃に使うパーツクリーナーはしっかりとした物を使いましょう。
エンジン関連や今回のケースではスプレーして水滴の発生しないワコーズ製品を使っています。
(瞬間的に温度が下がるのでその温度差によって結露してしまいます)
ドライブチェーンの洗浄などに使うのであれば低価格な無メーカー品で構わないのですが、
燃料系統やエンジン系については後のトラブルを回避する為にも結露の発生しない製品を使います。
ここではタンクキャップ本体側は無メーカー品を使っていますが、重要なゴムシール類はワコーズ製品にて洗浄しています。

整備に於いては樹脂パーツやゴム類を腐食しないクリーナーがベストです