SR400/500,SRX4/6のオイル交換方法 ~手順を知らないとエンジンの焼き付きに!

【O~U】
SR400/SR500 SRX4/SRX6 ~正しいオイル交換の解説
SR400/500とSRX4/6 ~オイル交換の手順を解説

この車両でのオイル交換には重要事項があります

マニュアルを見た事がある人、ヤマハショップに勤めている方達は知っていると思いますが、様々な車両を販売・整備する販売店でも知らずに整備している事も多いのが現状です。
特にオーナー自らオイル交換をする場合はエンジンを壊さない為にも是非知って頂きたい部分でもあります。


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SRX4/6で解説 ~エンジンオイル交換方法

SRとSRXは潤滑方式が「ドライサンプ」です

基本的にドライサンプは「オイルパン」は無くオイルタンクからエンジンオイルを抜きます。

  【ウェットサンプとドライサンプ】

一般的エンジンは『ウェットサンプ』方式で、エンジン下がオイル溜まり・オイルパンになっている構造です。オイルを抜くドレンボルトもほぼ真下に付いています。
『ドライサンプ』方式は基本的にオイルタンクの構造でオイルパンはありません(SRは容積の小さいオイルパン有り)。

ドライサンプはエンジンからの放熱を受け難く、その為オイルの劣化がウェットサンプに比べて少ない利点があります。旋回Gの影響も少ないので常に安定したオイル供給が可能です。
オイル溜まりを設けなくて良いのでエンジン設計もコンパクトに出来オフロードバイクなどで良く見られる方式です。
その昔、名車『ヨンフォア』、CB400Fのレーシングパーツにこのドライサンプキットが設定されていた程です。


 

   【SRXオイルの抜き方】~Ⅰ型(キック始動)

オイルはオイルタンクとエンジン側の2箇所から抜き出します

車体左側オイルタンクと、シフトロッド奥に見える「+」ビスの付いた六角ボルトがそれです。
オイルタンク側はジョウゴを使ったり受け皿を上手に工夫して周りを汚さぬように抜き出します。

   【SRXオイルの抜き方】 ~Ⅱ型(セル始動)

セル付きはオイルタンクがエンジン下に沿う様に取り付けられていますのでドレンボルトが左側下方にあるのが特徴です。

エンジン側はⅠ型と同じ位置・シフトロッド奥にあります。

   【エンジンオイルの抜き方】

暖機後オイルが暖まった状態で抜くと軟らかくなったオイルは排出されやすいのですがエンジン周辺が高温になっているので火傷に注意しましょう。
途中オイルの無い状態でエンジン始動しますので乗車後などは避け、3分程度の暖機にしておきます。
2箇所のオイルドレンボルトを外し車体を左右に傾けオイルを満遍なく抜き取ります。
一旦ボルトを取り付け(軽くで良い)エンジンを始動します。しっかりとしたオイルを使っていれば油膜切れを起こし難いので大丈夫ですが、オイルは入っていないので内部にダメージを与えない様に始動時間は2~3秒に留めます。
こうする事によってオイルポンプ内からオイル通路まで残ったオイルが排出されます。
ドレンボルトを外して再度同じ様に車体を左右に傾けて抜き出します。

エンジン始動時はオイルが飛び出してきますので必ずドレンボルトを取り付ける事

オイルタンクとエンジン側の接触面にダメージを与えない様に、ドレンボルトのガスケットは必ず新しい物に交換して下さい。

エンジンオイルの注入と調整方法

エンジンオイルは車体を直立させた状態で調整

フロントスタンドやレーシングスタンドが用意出来ない場合は2人で作業を行います。
支えてもらうか乗車姿勢をとってもらいオイル調整をしましょう。

 

車体を直立させたらまずオイルタンクへ2リットル程オイルを注入します。
エンジンを始動してオイルをエンジン内に潤滑させます。

   【オイルポンプのエア抜き】

オイルフィルターカバー上部のボルト
これが何か分からずにオイル交換作業をしている方も多いのではないでしょうか。
実はこれオイル通路内のエアを抜く為のもの。
ブレーキキャリパーで言うブリーダーの役割を担っています。


~~~オイルポンプのエア抜き作業 これがとても重要です。
意外と知られていない為、エアが噛んだまま乗ってカム周辺を焼き付かせてしまう事例があります。
前述の様にオイルフィルターカバーにエア抜き用のボルトがあります。エンジンを始動しアイドリングの状態でここを緩め、しばらくするとオイルが滲み出てきます。これでエア抜きは完了と言うごく簡単な作業なのですが、これを怠るとポンプがオイルを圧送出来ずヘッド廻り迄オイルが到達出来ずにオイル循環不良によって焼き付きを起こしてしまいます。
同じ様にフィルターカバーにボルトがある「SR400/500」も同じ作業が必要です。
特に前述の様にオイルを隈なく抜く作業をするとオイル通路にエアを取り込み易くなるので要注意。


【オイルが出てこない場合】
30秒以上経過してもオイルが出てこない場合はエンジン回転を2~2500回転ほど上げます。殆どの場合これでオイルは出てきますが、ヘッド廻りのダメージを考慮して回転を上げ過ぎず時間も短時間で行います。

~~~なかなかオイルが出てこないからと言ってボルトを取ってしまうと・・・!
御覧の様に突然オイルが吹き出てきたりしますのでボルトは緩めるだけにしておきましょう。
若しくは吹き出てもすぐに閉じれる様にボルトを持って待機。その場合は下にオイルを受けるトレーの準備も忘れずに。

どうしてもエアが抜けずフィルターカバーからオイルが出てこない場合は、Ⅱ型に限っては車体左側にあるオイルタンクから出ているホースを外してエアを吹いてあげるとエアを強制的に抜く事が出来ます。
ここまでせずとも殆ど抜けますが最終手段として解説しています。

 

エアが抜けるとオイル油面が下がります。
ここから500~800mlのオイル注入で規定量に達しますが、注入は少しづつ加減しながら入れましょう。
オイルの規定量は「2.5~2.8ml」です


【オイル油面調整】
暖機後30秒程エンジンかけ、エンジン停止から3分程度放置します。
オイルキャップと一体型のオイルレベルゲージはねじ込まない状態で油面を確認します。
ゲージ中ほど~アッパーレベル手前で合わせるのがベストです。
ビッグシングルは油温上昇と消費が大きいのでなるべく多く入れたいところですが、
多いとギヤの入りが悪かったりクラッチ不良を起こしたりと何らかの障害が出てしまいますのでアッパーレベルよりやや少なめで合わせるのが理想的です。

SRXⅡ型のオイルタンクはエンジン前面に置かれています。


1型SRX400と600の差別化部分について

1型では400ccと600ccでは装備が全く異なります

 

装備を変えて差別化を図る方式です。
当然の事ながらSRX6の方が装備が充実しています。(SR400と500では全く装備は変わりません)


 

 

まずタコメーターの装備。
タコメーターの無い400の方がメーター周りがスッキリとしてデザイン上ではまとまっている感じが大きいです。


 

 

 

フロントブレーキが「ダブルディスク」。
400ccは大径シングルディスクでした。


 

走りを重視していた当時の世代の心を揺さぶる最大の違いは「オイルクーラー」の標準装備。
陸運局によっては当時後付けのオイルクーラーは検査不適合(車検に通らない)でしたので、これはとても嬉しく心強い装備品でした。