Z1/Z2からW1S,W1SA,W3まで ~旧車のクラッチワイヤーは重くない!

W3
Z1/Z2,W1S/W1SA/W3 ~クラッチワイヤーの整備方法
Z1/Z2 ~Z系とW1S,W1SA,W3 ~W系のクラッチワイヤーについて

最近整備に関するお問い合わせで多いのが「クラッチワイヤー」について。
自己流の整備方法を公開している他サイト記事を実践するにあたっての質問が度々やってきます。
クラッチを軽くする方法は既に何度か解説していますが、今回はメンテナンスを中心に再検証していますのであらためてご覧下さい。


スポンサーリンク

Z1/Z2,W1-W3 ~ワイヤー式クラッチの整備方法

他サイトでの整備方法を参考にするのもひとつの手段として間違いではありませんが、内容を良く把握して精査しないとせっかくの労力も無駄になってしまいます。お問い合わせの中で出てきた幾つかのサイトを訪問して内容を確認してみましたが個人での整備方法、あくまでも「自己流」公開ですのであまり参考にはならないかと感じました。その内容の一部を抜粋して例を挙げ解説してみました。

  • ワイヤー取り回しのきつい車種はワイヤーが切れ易い ・・・『×

これそんな事はありません。屈曲した部分が擦れてその部分で切れてしまった車体に未だ遭遇したことがありません。内部で切れる場合は何年も放置されていた車体であり、結露したワイヤー内で錆が発生し、稼働後しばらくしてその部分から切れてしまう・・・。といったメカニズムになり大半はワイヤーのタイコ付近での破断が殆どです(きつい取り回しのせいでタイコから切れる事もありません)。特に純正品はインナーケーブルがチューブに通されており、抵抗が軽減される構造になっていますので屈曲していて引きが重くはなっても切れる事はありません(定期的な注油整備前提)。

 

  • CRC-556を注入後チェーンルブをワイヤー内に給油 ・・・『×』

有名・定番の感じはありますが殆ど「水」に近い556。内部の汚れを押し出す為に使うのは経済的に有りとも思いますが、最後に抵抗の大きいグリスを注入すると言う仕上げには閉口してしまいます(Zに向けた整備方法としてこう説明しているサイトがありました)。ワイヤーの動き・摩擦熱で柔らかくなるまでは引きが重くなりますし、グリス系は固形成分が多いのでそれだけで十分な抵抗になります。サラサラな潤滑剤でも実は抵抗になっています。何も塗られていない状態が本来一番抵抗が少なくワイヤーの動きは軽くなります(極圧・高性能潤滑剤は後述)。

 

  • 社外品のクラッチワイヤーは良品 ・・・『×』

社外部品のワイヤー。悪い事はない様子ですが実際には長さが純正品よりも短く、ノーマルハンドルでは引っ張られてしまったりします。一番の問題はアウターの強度が不足しているのでワイヤーが引かれるとそれに伴ってアウターも縮んでしまう事でワイヤーが引き切れず、結果クラッチが切れない作用を引き起こしてしまう原因にもなっています。
純正品は当然の事ながらしっかりとした強度がありますからアウターの変形はありませんのでクラッチはちゃんと切れます。
→Z1/Z2用カワサキ純正部品はメーカー在庫有りです


以上を踏まえての結論から

  • ケーブル内にグリスに近いものは注入せずサラサラしたものを使います。
  • ワイヤーの取り付け・取り回し方に気を付けて、なるべく緩やかなカーブでセットする。
  • ワイヤーは純正品を使う事。
裏技ではありませんが、ワイヤーの遊びを限界まで大きく取るとそれだけでクラッチの引きは軽くなります。

 


当サイトお薦めの潤滑剤「ベルハンマー」は高価ですので、まず先にワコーズの「ラスペネ」を使って内部の汚れを押し出します。汚れが排出されたら仕上げにベルハンマーを注入します。
クラッチワイヤーのタイコ部分にグリスを塗布し、レバーホルダーのアジャスター内側(ワイヤーの通路)にグリススプレーを使って潤滑させます。グリススプレーのお薦めは埃の付着しにくいワコーズの「チェーンルブ」が良いでしょう。これはドライブチェーン以外にも、ブレーキとクラッチ等のピボット部分にも使えますので1本あると重宝します。

ラスペネは業務用ではない方を使います(ラスペネL)
業務用は浸透性が高いのですが、Lの方がサラサラと柔らかくケーブル内の汚れを押し出し易いのです。

   【業務用液状タイプ】


   【噴霧タイプ・ラスペネL


 

詳しい整備方法はこちらからどうぞ

 

W用社外クラッチワイヤーはW1クレージーズさんで販売されています。
これは完成度が高くクラッチの切れも良好です。こちらの製品は問題なく安心して使用出来る事が確認済みです。

 

 


個人レベルを超越し、整備・チューニングに特化・卓越した素晴らしいグループのサイトも多々ありますがその反面、検索で上位に出てくる所でも未熟な解説をしているサイトも数多く見られます。

検索での経験値を上げ、精査する目を持てる様にしましょう。