W1S,W1SA,650RS/W3 ~シリンダーヘッドとシリンダーからのオイル漏れの原因

W3
W1S,W1SA,W3 オイル漏れの原因と対策
Wシリーズのオイル漏れのメカニズム

Wシリーズのシリンダー廻りからのオイル漏れ

シリンダーヘッドやシリンダー周辺からオイルが漏れている車両は多く見られます。
20年も前ですと入庫車両の半分以上は腰上のどこかしら必ずオイルは漏れていました。

スポンサーリンク

オイルが漏れてしまう原因

「オイル滲み」ではなく本当に「オイル漏れ」の症状

解説に先立って原因を述べてしまうと、それは「自らの振動に要るボルトの緩み」から。

Wのエンジンは自身の振動によって引き起こされる固定ボルトの「緩み」が大きく、まるで自分自身の首を絞めるかの如く問題を発生させてしまいます。

シリンダーヘッドとシリンダーを固定させるM10ボルトの緩みが殆どで、ボルトが緩むと当然ながら合わせ面に隙間が出来ますのでそこがオイル通路となってオイル漏れが起こります。

酷い場合はその部分が圧縮漏れとなって混合気が吹き出てきます

~~~この動画からボルトの緩み具合が確認出来ます。
このエンジンは実働車でしたがボルトの緩みが酷く、シリンダーヘッドガスケットが抜けて圧縮漏れを起こしていました。


Wシリーズ ~シリンダーヘッド・ボルトの緩み対策

緩まない様にする為、隅々までしっかりとした整備を行います

まずはヘッドで使われるM8とM10ボルトの雌ネジ。
弱っているネジ山ではしっかりと規定値でトルクが掛けられず、緩みの原因になってしまいます。
ネジ山修正はオーバーサイズのネジ山を挿入する「リコイル」、若しくは筒状のネジ・ソケットを埋め込む「エンザート」と呼ばれる加工方法で修正が可能です。熔接で一旦埋めてから新たに雌ネジを新造する事もありますがこれは特殊な部類で、通常は前出のリコイルでの修正が一般的です。
次にシリンダーヘッドとシリンダーの面出し。これは「面研」と呼ばれる加工で平面研磨する作業によるもので、特殊加工になりますので専門業者様への依頼となります。
シリンダー側のM10雌ネジもタップにてネジ山の修正を行い、しっかりとトルクが掛かる様にします。

この一連の作業と共にネジロック剤を併用して(M10ヘッドボルト)組み付けると殆ど緩む事はありません

 

オイル漏れ対策にはヘッドガスケットのオイル通路部分に液状ガスケットを塗布して組み込むとオイル滲みの対策になりますが、その効果を上げる為には前述の面研作業は必須となります。

 

 

 

ヘッドガスケットのオイル通路部分の上下面に液体パッキンを塗布して組み付けるとより一層のオイル漏れ対策になります。