SRX-4/SRX-6 キックアームの修理~絶版車両の修理に溶接機とリューターは必要不可欠

【O~U】
SRX-4/6 キックペダルの修理
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【S】

キックオンリーのバイクは「キックペダル」が重要

当然の事ながらクックのみのエンジン始動のバイクはキックアーム/キックペダルが壊れるとエンジン始動は出来ません。四気筒ならまだしも単気筒の場合押しがけは非常に大変です。絶版車両は当然メーカーからの部品供給も終了しているのが殆どですので交換よりも修理となるケースが多いです。

ここでは溶接機とリューターによるその修理方法を解説しています。

SRX-4/6のキックペダルの「クラック」

ここ数年で増えてきた旧車の修理に80年代車両が目立つ様になってきましたが、このSRXのキックアームが折れたり割れたりと言う依頼もそのひとつ。

SRXはまだかろうじて主要部品は幾つか販売されていますがこのキック関連は販売終了になっています。

フロントフォーク・インナーチューブは同じ物と思っていましたが4と6では部品番号が違い、4は販売終了で6は未だ在庫有です

今回のケースはキックアームの筒部分のクラックです。よく「鋳物は溶接出来ない」と言われますが実際には溶接可能な物も多いです。以前紹介した「XR250モタード」のオイルクーラーホースの角度変更。ここでも先端部分を一旦切り離して溶接にて修正しています。

必要工具は溶接機とリューター

溶接機は家庭用100Vで作動するタイプで十分です。リューターはホームセンターで売られている電動工具ではパワー不足で金属相手ではそれこそ「刃」が立ちません。

ここではエアリューターを使っています。

この様にクラックが深く入っています。

デコンプがオートで利く様にはなっていますが、ペダルに掛る負担は相当なものと考えられます。

 

 

外側はボルト穴にまで達していようかと言う割れ具合です。

溶接が溶け込み易くなるようにまずメッキを剥がす作業を下処理として行います

 

クラック部分のメッキ表面を削り落とします。

 

 

 

なるべく隙間の無い方が溶接に有利なので場合によってはプレスで押して整形する事もあります。

~~~サンダーも必要になりますが使い古しの外径が小さくなった刃をとっておくとこういう小さい物を加工する際に重宝します。

 

さすがにキックペダルは強度のある金属で、一般の材質と違い脆くなくしっかりと溶け込んだ気配です。


 

溶け込ませたら再度ベビーサンダーにて形を整えていきます。

 

シャフトの入る穴の方はリューター、超鋼刃で削り現物合わせで溶盛り部分を修正していきます

 

保護用メガネとマスクそして作業用の薄手のビニール手袋を着用しましょう。

負荷をかけて削ると徐々にチャックが緩んで刃が外れて飛んでしまう恐れがありますので、時々の確認と増し締めはこまめに行います

 

最後の仕上げにリューターにペーパードラムをセットし表面を仕上げます。

 

 

シャフトが入るまで削り終わったらここもペーパードラムでスムースに動く様に修正します。

この後再メッキをかけると申し分のない仕上がりになりますが、今回の依頼はスペア用に持っておくと言う事でしたので防錆剤を塗っての完成としました。

今では貴重な絶版車両、部品共々大事にしていきたいものです。