W650の諸整備について解説
バッテリー交換、ヘッドガスケットの交換、そしてフロントフォークのサービスデータ
フロントフォークオイルの交換はフォークの脱着が必要
旧車の「W」とは違いフォークオイル交換はフォークを抜いて逆さまにしてオイルを抜きます。
W650はメインスタンド装備でブレーキもシングルディスクですので整備性が良いので作業し易いと思います。ジャッキアップはメインスタンドをかけた状態で、パンタグラフジャッキ2個を使って左右のマフラー下に当てて持ち上げると簡単です。
フロントフォークを外したら、逆さのままフォークを何度もストロークさせ古いオイルを最後まで抜き去ります。
インナーを上下にストロークさせた時の抵抗が無くなったら完了の証です
フォークオイル量 : 400ml(誤差4ml)
フォークオイル油種 : 10番
フォークオイルレベル: 112mm(誤差2mm)
バッテリーを外すには電装機器の脱着が必要
W650のバッテリーの取り外しは他のバイクよりも手間が掛かります
他にもバリオスやスズキのカタナ等、周辺部品を外してのアクセスとなる車両は国産車でも幾つかありますがそれらよりも複雑です。
バッテリー型番は『YTX12-BS』
バッテリー下に敷かれているマットを無くさない様に注意しましょう。
バッテリー端子を外す時は「マイナス側から」、取り付ける時は「プラス側」からと覚えておきましょう。車体はマイナスを帯びていますのでプラス端子が車体の金属部分に触れるとショートしてしまいます。プラス端子が遊ばない様にと覚えると間違いありません。
GSユアサバッテリーは信頼性が高いのですが高額です。
ですので出費を抑えるならば「台湾ユアサ」がお薦め。FB・古河バッテリーは短命なのもありますが、パワー不足感が大きくそれが基でエンジンの掛りが悪くなったりもしますので使いません。
ヘッドガスケットの交換は難易度の低い整備
W650のヘッドカバー・ガスケットは経年劣化によりオイル漏れの発生している車両が増えてきています。ですが難しい整備ではありませんので自分で行える修理のひとつに数えられます。
整備・交換に必要な部品は3種のみ
まずヘッドカバー・ガスケット、そしてヘッドカバーを固定しているボルト部分に使われる丸いパッキンが6枚、プラグホールキャップのOリングが2気筒・左右分で4個。
【純正部品番号】
- ガスケット、ヘッドカバー : 11060-1888 ×1 (税別 3130円)
- リング(O) : 92055-0143 ×6 (税別 200円)
- リング(O)24.7×1.9: 92055-1592 ×4 (税別 90円)
ヘッドカバーの取り外しと組付け方法
作業手順内容を解説
- フューエルタンクを降ろし、プラグキャップを抜いてイグニッションコイルを外します。
- ヘッドカバー上部の円柱状「エアスイッチバルブ」の配管を抜いてこれも取り外します。
- 左右のプラグキャップホルダーを外します。
- 6箇所のボルトを緩めてヘッドカバーを外します。
- 各部ガスケットとOリングを新しい物に換えてカバーを取り付ける。
主要部分を画像で解説
組み立ては分解と逆の手順で組んでいけば良いだけの簡単作業です
ヘッドカバーより先にホルダーを外す事
最初にこのホルダーを外さないと構造上、ヘッドカバーの取り外しが固く大変になるので要注意。反対に組付けの時は先にホルダーを固定してしまうとヘッドカバー装着が困難になります。
W650 サービスデータ
【オイル量】
全容量 : 3.0L
フィルター交換有り: 2.8L
フィルター交換無し: 2.5L
【スパークプラグ】
指定型番 NGK : CR8E
DENSO : U24ESR-N
プラグギャップ : 0.7~0.8mm
【バルブクリアランス/冷間時】
EX : 0.14~0.19mm
IN : 0.08~0.13mm
【フューエルタンク】
全容量 : 14.0L
予備量 : 3.0L
【燃料装置/キャブレター】
油面 : 0.5mm(前後1.0mm) フローチャンバー合わせ面を基準
フロート高さ : 17.0mm(前後2.0mm)
メインジェット : 118番
パイロットジェット : 35番
エアスクリュー/パイロットスクリュー(戻し回転数) : 2回転+1/8回転戻し
【電気装置】
バッテリー型式 : YTX12-BS
バッテリー容量 : 12V10AH
【フロントサスペンション】
オイル種類 : G-10 (10番相当)
オイル量 : 400ml (前後4.0ml)
オイル油面 : 112mm (前後2.0mm)
【駆動装置】
ドライブチェーン(リンク数) : 525(104L)
【空気圧】
フロント : 2.00kgf/㎠
リヤ : 2.25kgf/㎠