W1S,W1SA,650RS/W3 のフロントチェーンケースの外し方 ②~プライマリーチェーンの調整

W3
W1S,W1SA,W3 ~プライマリーチェーンの調整について
W1S,W1SA,W3 のプライマリードライブチェーン調整

フロントスプロケットの交換に引き続きプライマリーチェーンの調整

プライマリードライブチェーンの調整は、
まず先にドライブチェーン側にゆとりを持たせてから行います。

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フロントスプロケットの取り付け

締め付けは軽く固定すればOK

緩み止めのロックワッシャーがあるので硬く締め付けないでも大丈夫です。

フロントチェーンケースの取り付け

スプロケットカバーの取り付け

忘れてしまうと一大事

ケース取り付けの前に確認、スプロケットカバーの取り付け。

 

スプロケットのこのカバーを付け忘れてしまうと、再度チェーンカバーを外さないとならないので要確認・要注意。

ガスケットの製作

市販のガスケットシートとスタンプインクを使って製作します

 

クランクケース側と、クランクケースとミッションの中間部分。
この2箇所のガスケットを市販の「0.5mm厚」ガスケットシートを使って作ります。


あくまでも市販品ベースですのでオイル漏れを懸念して、取り付け固定には液体ガスケットを併用します。


 


 

フロントチェーンケースの取り付け

フロントチェーンケースは「M8」ボルト5本で固定されています

取り付け要領はスイングアーム側へ差し込みながら行う事です。この時ドライブチェーンケースを外しておくと作業がし易くなります。

M8ボルトは中間部分から取り付け、その後クランクケース側へと移ります。
5本仮止めを行い本締めはクランクケース側の4本から行います。

プライマリーチェーンの調整 ~チェーンの弛み調整

オイルホースに隠れている部分のナットを緩めて作業を行います

ミッションはミッションハンガー上下で固定されていますが、調整時は上側のみ緩めれば下側ボルトを支点にミッションを移動させる事が出来ます。

上下2箇所のボルト・ナットでミッションは固定されていますが、右側画像の上部ナットを緩め、アジャスターにてミッションを移動させて調整を行います。

アジャスターは上部ボルト・ナットで共締め、連動していますので固定用のナットを緩めてからアジャスターを回転させて調整します。
アジャスターを手前・右回転させるとミッションは後方へ移動し、プライマリーチェーンが引っ張られます。

プライマリーチェーンの調整 ~チェーンの振り幅調整

整備マニュアルと使用説明書での調整数値の違い

マニュアル値と使用説明書の数値は違います。
マニュアル値は振り幅「20mm」となっていますが、650RS/W3に付属する使用説明書には「10mm」と記載されています。これはマニュアルでは上下動の振り幅の数値で、使用説明書は単に弛みを指している事で半分の数値になっているものと推察出来ます。

かなり弛みが大きく見えますが、規定値の「20mm」とはこの程度です。


 

実際に「20mm」と「10mm」に合わせてみると「20mm」では遊びが多い様にも感じますが、チェーンがケース内に干渉するのは「25mm」を超えた辺りからの話しで「20mm」程度の振り幅ではケース内壁に当たる事はありません。
反対に「10mm」の振り幅ではやや固く窮屈に思います。

フロントチェーンケース内のオイルシールとOリングについて

クラッチオイルの漏れの原因

エンジンをかけるとオイル漏れでフロントチェーンケースからオイルが滴り落ちてくる・・・。
そんな時はオイルシール若しくはOリングが経年劣化しているサインです。
販売終了品ですが部品の入手は可能ですので、ケース分解時には必ず交換しましょう。

新しいOリングでもオイル漏れ対策を施します。ケース面には液体パッキンを塗り、ケース外向きにはワコーズの粉末スプレーとシリコングリスを塗布して組みつけます。


プレートのオイルシール

ここは必ず液体パッキンを塗って組み込みます(シールは指で押し込む程度の力で装着可能)。
オイルシールの裏側がプレート外側に向くのが正解です。

オイルシールにもワコーズの粉末スプレーとシリコングリスを塗布してオイル漏れ対策をします。この潤滑剤は粉末タイプで乾いた状況下での潤滑が求められる部分への製品なのですが、知る人ぞ知るフロントフォークのオイル漏れ止めに大活躍の潤滑剤です。
お守り替わりではないですが各部オイルシール交換時には常時使用しています。

 

 


オイルシールは当サイトで販売しています

 


クラッチ・プッシュロッド周辺について

クラッチ組付けのコツ

プッシュロッド部分に使われる「1/4」スチールボールですが、ここはモリブデングリスを塗って組付けます。
プッシャーの当たり面にも薄く塗ると抵抗が削減され作動がスムーズになります。

常にオイルにさらされている部分ですのでやがては溶けて無くなりますが、モリブデン成分は金属表面に残って役割は継続されます。

 

フロントチェーンケース分解はコチラから