新車時の配線取り回しと要所の取り付け注意点
新車時の取り付け方で十分に良いのですが一度交換されてあからさまに取り回し方が悪い物は修正しないと電装トラブルの原因となります。
メインハーネス交換 ~配線各部の外し方
古くなったハーネスは硬くクセがついたままの状態
暖めた部屋に車両とハーネスを数時間置いておいて全てに柔軟性を持たせるのが理想的、こうする事で古いハーネスの抜き出しが容易になります。実際には部屋に入れる事は難しいので工業用ドライヤー・ヒートガンで温めつつの作業が良いでしょう。
使い良さと耐久性能を考えると『白光』製品がお薦めです。
古いハーネスの通り道と端子類のチェック
古いハーネスの取り外し時には各線の通りをチェック・メモしておきます。
ヘッドライト、燃料タンク、シート、テールランプは予め外しておきます。フレームアースを外した後バッテリーを取り外し、レギュレターの付いたパネルを取ってレギュレター配線とイグニッションコイルの配線を外します。このシート下に収まった配線が全て取れたらテールやヘッドライトを外してカプラーとギボシ端子を抜いていきます。特に決まった順序はありませんのでここは参考程度にして作業して下さい。
メインハーネス交換 ~配線の上手な取り付け方
【新車時の取り回しに倣って】
ハーネス交換で気を遣う部分
ハーネスの取り回し方はメーカー出荷通りでほぼ間違いありません。
なんにせよ一番大変なのはレギュレターパネル下の収納でしょう。
ここは手慣れた作業者でも上手に・綺麗に収めるのには苦労する部分です。特にW3はハザードリレーがリヤフェンダー上部にくっついていたり、リザーブライティングユニットの大きなカプラーがあったりとしますのでパネル下はどこも窮屈な状態です。
【メインハーネスの通し方】
新車時のメインハーネスの通り道に倣う
ハーネスの通し方はまずシート側より前方に向けて新しい配線を送っていきます。
シリンダーヘッドカバー・左側フレーム上部に沿わせつつ前方へ送り出していきます。
フューエルタンクラバーの付く箱形状の中を通し、そのまま前方・ヘッドライトケースと下方・ダイナモ方面へと分岐させて線を伸ばします。
【ハーネス取り付け順序】
ハーネス位置が決まったらカプラーとギボシ端子を繋げていきます。
順序としてまず左右の配線とスピードウォーナー周辺から繋いでからダイナモとホーンの線を繋ぎ、次いでシート下廻りのコイル・ライティングデバイス・リレー・レギュレターの接続へと移ります。レギュレターが場所を取ってハーネス束を上から押す形になりますので、線束に余裕を持たせて干渉する事の無い様に調節します。弛みが足りない場合はハーネス前方を後ろへと押し戻してあげると線に余裕が出来ます。このシート下が決まるとメインハーネス位置も本決まりとなりますので、ヘッドライトケース内とテール廻りの線を繋げて完成となります。
各所の配線通路
【要所のハーネス通し方】
ハーネス前部はタンクラバーの付くボックス内を通って車両左側からライトケース内に向かいます。
ダイナモ側の線束はカバー内に入ってホーン裏側に綺麗に収まる様にします。こうする為には前向きホーンの配線を延長してあげるとこの位置に収め易くなります。
左右ハンドルスイッチ・スピードウォーナー・ハザードの線はフレーム縦の隙間に上手く収まる様な設計です。
【その他配線の通し方】
こうして見ると車体左側へはメインハーネスとクラッチワイヤーの2点しか通っていない事が分かります。
メインハーネスを干渉させない ~シート取り付けフック
一番気を付けたい部分がこのシートの取り付け
せっかく新しくしたのですから大事に使いたいものです。ハーネス取り付けで一番気を付けなくてはならない部分がこの『シートフック』。シート脱着時のみならず、ここを間違えると振動で擦れて電装トラブルの原因となりますので要注意。
シートフックでハーネスに傷を付けてしまわない様にします。
対策としてはこの部分はフレームに沿わせて固定してしまわず、十分な弛みを持たせてフックとの接触を防ぐようにします。ハーネスはこの状態でセンターを通す様にするとフックのUの字形状「逃げ」となってハーネスはフックから上手く離れる事になります。
ハーネスが交換された車両で、このフック部分に傷が付いた車両を数多く見てきています。
ここは最重要ポイントとして現状を確認しておきましょう。
ハーネスの取り出しが終われば手が入り易くなりますので各所を綺麗に清掃します。