650RS/W3のスターターケーブル ~チョークワイヤーの取り回しを考察

W3
650RS/W3~スターターケーブル・チョークワイヤーの取り廻し方法を解説
650RS/W3 チョークワイヤーの取り回し方

正式名称は「スターターケーブル」ですがチョークワイヤーの呼称で馴染んでいます

上手にワイヤーを通さないとたるんでしまったり折れ曲がったりと問題が発生します。
特に右側・2番キャブレター付近は注意が必要です。後程解説していますが、これは燃料コックとの干渉が関係しています。


スポンサーリンク

650RS/W3のスターターケーブル

色々と試行錯誤されている方が多い様子ですのでここで正解ともいえる取り回し方法を公開

「スターターケーブル」、「チョークワイヤー」どちらも同じものです。
W3はキャブレターとクラッチレバーホルダーに備え付けのスターターレバー(チョークレバー)とが繋がっています。
W1S、W1SAと逆の動きで、引くとキャブレター側スターター通路が開いて燃料が送られます。

W1S,W1SAはレバーが引かれた状態でキャブレターポートが全開、戻すとシャッターが下がりポートを塞いで空気を遮断してチョークの効いた状態になります。

ワイヤーの取り回し方についてはチョークレバーから出たワイヤーが、フレーム首・ステム部分で左右どちらに向かうのか迷う所です。どちらも間違いではありませんが、左側からキャブレターへと向かう方が利点が多く自然な取り付けとなります。


各部ワイヤーへの注油にお薦めな「ベルハンマー」。

ワイヤー内への給油で驚く程動きがスムーズでクラッチワイヤーに特にお勧めです。


実際の取り付け方法

左右両方向からのアプローチを検証・解説しています

【右方向へのワイヤー取り回し】

《右側からの取り付け》

 

右側からの利点はチョークレバーからケーブルが緩やかなカーブで取り付けが出来る事です。


 

 

その反面、ワイヤーの分岐BOX同士が干渉してしまう事。この状態でもフューエルタンクにぶつかる事はありませんが、なんとなくすっきりとしない部分が残ります。

【左方向へのワイヤー取り回し】

《左側からの取り付け》

ワイヤーに余裕が出来ますので、取り付けにはたるませない様にちょっとしたコツが必要です。


 

 

ワイヤーを左に通すとアクセルワイヤー分岐BOXとの干渉が無く、フレームとハーネスの隙間にピタリと収まりますのですっきりまとまるので綺麗な取り付けとなります。


【ワイヤーをたるませずに綺麗な取り回しにする方法】

      車体上部から見た図

画像の様にキャブレターからのケーブルホルダーが左右共に『内側』を向く様にセットします。
ワイヤーがタペットカバーの長ナットに干渉しない様に気を付け、アジャスト・ナットは上下緩めてホルダーの「下→上」の順にねじ込んで取り付けます。
ワイヤーの取り回しは独特で、左から来たケーブルを2本共にフレームの上下間・隙間から右方向に出し『S字』にくねらせて取り付けます(実際には画像よりもっと緩やかなカーブを描き、ワイヤーが折れ曲がる事はありません)。こうする事でケーブル左右の弛みが無い状態で、尚且つ左右均等の長さでのベストなセッティングが可能となります。

面倒でもキャブレターを一旦外してからのスターターケーブル取り付けが確実です。
慣れていない方ほどキャブレターを外した作業の方が早く完了する事もあります。

【ケーブルを内側に向ける理由】

左側(1番)は特に内側に向けずとも何ら問題はありません。
右側(2番)は内側に向けないとフューエルコック(燃料コック)と干渉し、更にはフューエルタンクの縁にも当たってしまいます。
右側・2番はコックの取り付け角度を変えたうえでスターターケーブル・ホルダーを内側に向けてワイヤーが干渉しない様にタンクとコックから逃がしてあげます。

こうする事でタンクとコックとの干渉が避けられます。

 

右側面を正面から見ると、部品各々はこの様な配置となります。

左側・1番ケーブルは角度を変えなくても問題ありませんが、右方面に逃がさないと『弛み』が大きく出てしまう為、前述の図の如く弛み分の距離を稼いでいる訳です。

バルブクリアランス・タペットの調整を行う時は・・・。
タペットカバーを外し易い様にスターターケーブル・ホルダーのナットを緩めて、ホルダーがフリーの状態にして(回転可能な状態)カバーの脱着を容易にします。

整備後記

 


スターターケーブル・ホルダーの向きが重要な事がこの検証で御理解頂けたかと思います。

「左右どちらからのアプローチか?」となるとどちらでも対処出来ますが、やはり全てに於いてすっきりとまとまる『①番・左側』からが自然で良いと思われます。そしてスターターケーブルはスロットルケーブルの様にフレームを中心に左右に振り分けず、2本共にフレーム左側から右側へと持って行った上で『S字』に配置すると左右長さの調整が出来て綺麗に収まります。
ケーブル取り付け順序はキャブレター側から取り付け始めると作業し易いです。