【Z】
ZRX1100にZRX1200のリヤホイールを装着
ZRX1100のタイヤサイズですがフロントは一般的な「」ですが、リヤホイールに関しては5インチ、「170/70-17」という他にあまり見られないサイズです(そのせいでタイヤ選びで苦心される方も多いと思います)。ZRX1200のホイールはZRX1100と同じ形状・3本スポークでボルトオンです(少々の加工は必要ですが)。このホイール装着によってタイヤの選択肢は大きく広がり、人気のラインナップ全てから選ぶ事が出来ます。
ホイール自体はセンターから右側(リヤブレーキ側)のへ張り出しも同寸でシャフト径も同じ。違うのはスプロケット側の張り出しとスプロケットの付く部分(以降スプロケットハブ)。ここのサイズを1100に合わせて幅の修正をし、カラーも適正な長さ迄カットして1200用スプロケットの丁数を1100にすれば完成です。
★ハブベアリング奥のスリーブも1200用を使います。
ホイールの加工は無くスプロケットハブとカラーの寸法合わせで
先に述べたようにホイールは無加工でボルトオンです。スプロケット側の張り出し寸法がたったの「5mm」出ているだけです。ですのでスプロケットハブの先端部、オイルシールとベアリングの入る所を5mm削ってスイングアーム内に収まる様に切削加工を施します。カラー寸法は同じく5mm削れば良いかと言うとこれが面白いもので、計算上正解なのですがそれだと実寸では合いません。おそらくこれはエキセントリックカラーの「遊び」に該当する僅かなガタによるものと思われます。
フロント側のスプロケットを裏返してチェーンラインを合わせる
リヤスプロケットは外側に5mm追い出されますのでチェーンラインは当然狂います。ですがフロントのスプロケットには段差が付いています。これは純正でも社外品でも同じで両方段差付きです。標準でフラットな面がエンジン側になっていますのでこれを裏返して使えばその段差部分が丁度5mmですのでこれでチェーンラインはほぼ合う事になります。
以上がこのホイール加工の概要です。以降で画像と共に詳しく解説していきます。
スプロケットハブの加工方法
この作業はチャックの大きな旋盤でないと加工は困難です。依頼があってもすぐに対応可能な様に冶具を作って備えています。
オイルシー端面からベアリングまでの奥行きは十分ですので削りしろは問題ありません。
ベアリング止めのクリップが入りますがこの仕様はカワサキだけで他3メーカーに於いてクリップの設定は有りません。クリップ無しでもベアリングは移動せず、構造上必要ありませんので取り去っても不具合は有りません。
~~~削った後の処理でクリップを外した方がオイルシールの収まりは良いです。
~~~切削面はアルミ素材ですので特にペイントせずとも大丈夫です(チェーンオイルが飛散する丁度良い場所なのでそれで錆び難くなります)。
~~~このままでも良いのですが必要のないクリップを外してオイルシールを適正位置にする方が正解です。
~~~カラーは純正品を削って長さを調整しています。
スプロケットハブが「ZRX1200」用ですのでスプロケットも1200用で丁数を1100用「45丁」にしています(1200は42丁標準)。
【リヤスプロケット丁数】
ZRX1100 : 45丁
ZRX1200 : 42丁
ZRX1200DAEG : 44丁
~~~スプロケットの固定にはクロームメッキでロックタイプのフランジナットを使っています。
ホイール交換完成~~~チェーンラインの確認
組付け後最終確認にチェーンラインがあります。
ジャッキで後輪を浮かせて前後に何度か回転させ、チェーンのセンターにスプロケットの「歯」があるかを目視で確認します。ガッチリとチェーンプレート側に当たっているようでしたら要再調整。軽く触れている程度であれば問題はありません。実際にこの方法でチェーンラインを合わせたこの車両も微妙にセンターから外れていますが(0.7mm前後)納車後再点検してもスプロケットサイドの偏摩耗はありません。
~~~各部のクリアランスは適度にあり、加工した物とは思えない程自然な仕上がりです。
後述となりましたがスプロケットハブは中古購入にしても、ベアリングとオイルシールは必ず新品を使う様に心がけましょう。
【純正部品価格】
リヤハブ : 15228円(税込み)
オイルシール : 756円(税込み)
ベアリング : 1480円(税込み)
スリーブ : 886円(税込み)