カワサキZ1/Z2,W3のブレーキ整備~最新リプレイス部品で「鳴き」を止める!

W3
Z1/Z2,W3,H1,H2 ブレーキの鳴き止め

Z1/Z2,W3~フロントブレーキの鳴き

ここでは基本整備に付け加えた鳴き止め・鳴き防止の最新情報を解説していきます。

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ブレーキの「鳴き」とは

走行中のブレーキ。かけて直後であったり止まる直前であったり、移動の際に押していても「キキィイーッ」と身体がしびれるような不快な音がします。一般にこの「共振音」をブレーキの鳴きと称しています。

音の出るメカニズムについては他専門サイトにお任せますが、対処方法についてはここできちんと画像付きでご案内を致します。

共振音の発生する原因

そもそも回転物(今回のケースではディスクローター)には当然回転方向があるわけでその作用により、回転物に押し当てられた接触物(ブレーキパッド)は角度が付いて擦り減っていきます。

レーシングキャリパーに見られるパッドがピンにぶら下がっているだけの構造物。経験がある方もおられるかと思いますが、車体を後方に押した時にだけ「キキッ」と言う共振音がしたり押していて重かったり・・・。これは先に挙げた構造上の問題で斜めに擦り減ったパッドが逆回転したことにより共振音が出たりパッドが引きずられブレーキが掛かった状態になったりしているのです。

逆回転のみでの症状であれば問題ありませんが(構造上どうしても発生)、これが正回転で起こるのは問題ありです。引きずりはキャリパーOHで解消されますが音の問題は整備にそれなりのノウハウがあります。結論を先に述べてしまえばきちんとしたパッドとディスクへの交換、それに伴ってのプラスアルファの処置によって殆どのケースでの音の解消が図られます。

ブレーキパッドの選択

 

カワサキ純正部品としてのZ1/Z2,W3用のパッドが廃番になってかなりの年数が経ちます。最終販売の定価は1枚が10000円していましたが(Z1/Z2ではシングルキャリパーで2枚使用)当時リプレイス製品も少数ながら数種類販売されていました。しかし全てが問題ありな製品で、今回題材にしている「鳴き」についてはとても酷いもので、「ベスラ」は特に酷かった記憶があります。ベスラ程酷くはありませんでしたが「sbs」も音は大きかったです。「フェロード」は鳴きは僅かでしたが製品精度が悪く、パッドがサポートに収まらずヤスリで削って修正した思い出があります。

ここ数年で前出の「ベスラ」がフルモデルチェンジし、鳴き止め「シム」が装備され(過去の製品にはありませんでした)新しく生まれ変わりました。

 

以前は黒緑のパッケージでしたが現在は黒黄色。

ベスラ部品番号: SD-401

税込み定価は「5823円」

 

 

サイズはZ1,Z2,W3,H1B,H2,400SS等共通です

このシム付きのパッドに交換するだけでほぼ鳴きは解消されます。これでまだ鳴きが発生する場合はパッド裏側にパッドシムをもう1枚追加します。「ドレミコレクション」や「PMC」で販売されている「パッドシム」を使い、パッドグリスにて貼り付けてあげましょう。

シムが付くようになっていないパッドを使用の場合は、シムが落ちない様にパッドグリスを使います。グリスはパッド背面とシム間に塗布するようにし、キャリパーピストンとシムの間には塗らないのがコツです。
旧車・現行車問わず、シムが装備されたパッドでは基本的にグリスは塗りません

ここまでしてもまだ鳴きが出るのであれば、それはブレーキディスク表面に「焼き」が入っての事ですのでディスク交換が必要です。純正の形状に拘るのであれば「PMC」製品に、形状よりも性能を求めるのであればブレのない「サンスター」と言う様に使い分けると良いでしょう(性能もトップクラスですので相談を受けた場合はサンスターをお勧めしています)。

PMC:21000円(税別)

サンスター/トラッドTYPE-1 T-21ソリッド:30000円(税別)

 

 

しっかりとパッドシムが固定されています

 

 

 

サポートへのフィッテイングも丁度良いクリアランスです

今までリプレイス製品で設定の無かったW1S,W1SAですが、前後のライニングもベスラから販売が開始されました。これはとても嬉しいニュースです。・・・が、クリアランスが狭いのでハブ側の当たり面の段差修正は最低限必要です。

 

 

【W1S,W1SA,W3】

フロント用ベスラ/部品番号: VB-422

リヤ用ベスラ/部品番号  : VB-420

フロント用はやはり片側・半月1個が10000円していましたので現在の価格は嬉しい限りです。

価格オープン~8629円より

 

 

 


実際の整備方法

ブレーキパッドの詳細な交換方法はキャリパーOHの頁を是非参照して下さい。

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M10ボルトを外しキャリパーを分割します

 

 

 

内側のキャリパーBを取り去ります

 

 

 

次にキャリパー固定用のボルトを抜いてボトムケースよりキャリパーを外します

 

 

 

2本のシャフトは抜かずにサポートとキャリパーを分離させます

 

~~~以上がキャリパー分解の手順です。内側のパッドは6mm丸ビスを抜いて外し、サポート内のパッドは手で押せば簡単に取り外しが出来ます。


 

 

左側は他メーカー純正同サイズ品。

「アタリ」が出易い様にかなりのテーパーが付いているのが確認出来ます。

 

同サイズではあってもパッドシムは無く鳴きも出たりしましたが、それでも今まではこれが一番良い製品でしたので長い事これを使っていました。

 

~~~左側のパッドの様にシムが付かないタイプでも加工してシム用ピンを埋め込んであげると鳴きは解消出来ます。

簡単に説明すると、パッド裏に穴を2箇所開けてピンを圧入(穴の深さは3mm程度で十分)。グラインダーで長さを揃えて完成。ピンは加工し易い様に「ブラインドリベット」の棒部分を使うと良いです。ピンが上手く固定出来たらパッドシムをパッドグリスにて貼り付ければ作業完了です。

 

鳴き・共振音は、押されたパッドが斜めに引きずられる事によって発生するのが主な原因です。裏側にあるシムがその作用を緩和する事によって音は消えるのです。