純正フォークの中身を入れ換えて最新モデルにする
この説明だけではあまりピンと来ないかもしれません。 「SC54」CB1300SFの純正カートリッジを使い、Z1/Z2純正の36mmフォークへと移植します。フォークをアッセンブリー(ASSY)で付け替えるのではなく、純正フォーク内部にダンパー機構・最新カートリッジを備えるのです。
こうすることによってダンパーとスプリングの調整が出来る機構もそのまま受け継いでの装備となります。
市街地から峠道迄のインプレッション
まずタイヤの接地感が分かり易くコーナー内でタイヤがしっかりと路面に押さえつけられている様子が感じ取れます。そしてそれが大きな安心感に繋がり、旋回性能が良い方向に大きく変わっているのが分かります。アクセルオンオフの挙動が穏やかで設計の古い車両でもサスペンションが補ってくれますので、ラフな操作でも車体の動きは安定、最新モデル並みにバイク任せでしっかりと走ります。
サスペンション性能向上による相乗効果
内部構造を公開
インナーチューブにはノーマルのクリアランスで収まるような「スライドメタル」を装備させてストロークの適正化と剛性を持たせています(ボトムケース内をボーリング出来れば完全なスライドメタル化になります)。ケース内のボーリングは非常に高度な作業で費用も掛かりますが、その性能差は大きくはありませんのでこの手法を用いて金額のバランスを取っています。
エアバネ含め、内部がカートリッジによって狭くなりますので油面などセットアップが難しく、このセットに辿り着く迄の道のりは長かったです。
試乗して各部を煮詰めて行く作業にも製作以上に時間をかけていますが、ようやくそのおかげで完成の域まで達しようとしています。今後メインスプリングのレートを落として再セットアップをし、低速での突き上げが解消されれば完成です。
内部構造の変更方法について
チューニングメニューは2通り
- カートリッジ+スライドメタル+ガイドブッシュ
- バルブダンパーユニット+スライドメタル+ガイドブッシュ
1は本記事で解説したもので2はノーマルフォーク内にバルブダンパーを付け加えて、オイル通路を増やしてダンパー効果を高めるもの。
セットアップの幅を1が10段階とすると2では5~6段階くらいでしょうか。それでも「2」のメニューでもメタルとブッシュの効果が大きく、少しバンクさせた状態でギャップを越えた時の「カチャン」と言う嫌な音(ボトムケース内壁とインナーチューブ表面がぶつかる音)は無くなりダンパーが利いたフォークがギャップをスムーズにいなします。