Z1/Z2用 ~社外部品/リプレイス・リプロダクション品を検証・解説します ②

Z-1
Z1/Z2 リプロ品の使用結果を検証②
Z1/Z2 リプロダクション品の検証結果
とても嬉しい事に様々なメーカーからこの「Z1/Z2」用、複製部品が販売されています。
純正部品以上に良い物が揃っていて
旧車保存会とも言えるこの行為は有難いのですが、その全てがしっかりと機能し使えるのかと言うとその答えは「NO」です。

その全てを確認してみた訳ではありませんが、各メーカー品の主要部品を使ってみて検証したレポート結果を公開しています。
ここでは先入観に捕らわれず、良い物・悪い物を見極めて解説しています。
辛口な部分もありますが整備する側への正しい情報として伝えています。
      新たに検証が終わった物から順次追加掲載していきます


バイク雑誌で「新品以上のクオリティ」等と掲載されているレストア・リペア専門店でも実際には外観が新品以上なだけで、使用するにあたっての動的な回復が出来ていない物も少なくないのが実状です。それは精度の悪いリプロ品を安易に使っていたり、特にキャブレターについては内部通路が経年劣化で拡大されている事で供給燃料が多くなっていて濃い状態になっていますのでジェット類の製作・交換では追いきれない部分が大きいです。

「オーバーホール」と謳われていても殆ど「点検」の域を超えない整備もあります。
以前にマッハ3のオイルポンプをOH(オーバー・ホール)と宣伝しているキャブレター業者様に依頼した時の話ですが、当方ではベアリング(に値する部分)やオイルシール迄先方がオリジナルで製作して交換されるものかと思い問い合わせましたがその答えは残念ながら「分解整備」のみ。部品の交換は無く、吐出量の測定も無くほぼ「点検」の域を出ない対処方法の提示でした。
我々専門家が依頼すればその程度の作業と見極められますが、一般の方々では明細書に難しい言葉を並べられれば真意は分かりません。後学の為整備内容を確認した時にその費用まで聞きましたが、オイルポンプ単体での分解・点検だけでもとても高額だった事を覚えています。


オートバイ用部品に限らず、生活用品含め全ての製品に関して言える事ですが、最近目にするのが「日本製」、「made in japan」と大きく記載されている製品。それでクオリティが高いのかと言うと残念ながらそうでもありません。現在海外製品の評判が悪い所へ「日本製とすれば同程度の物でも売れる」と言う悪い風潮も目立ってきています。こんな時代であるからこそ海外製・日本製で判断せずに良い物と悪い物の見極めが大事だと思います。


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メーカー販売終了品の代替品~旧車用リプロダクション品の数々

推奨品から不可品、通常レポートまでの3部構成です。ここ②では不可品を紹介しています。

①に引き続き各メーカー、リプロ品・リプロダクション品の検証結果を開示しています。


【使用不可製品】   ▲・・・使用不可   △・・・難あり

(PMC/NAPCO・ナプコ)
~~~キャブレターリペアキット

日本製。ニードルバルブのクリアランスが大きく、サイドスタンドをかけるとその衝撃でオーバーフローします。何度油面調整(低く)しても同じ結果で純正部品に交換すると適正油面でオーバーフローは解消(サイドスタンドで傾けても全く問題無し)。純正新品と比べると目視で明らかにガタガタ(純正品は気持ち隙間がある程度)で、揺らされるとバルブが暴れて中で引っかかる様子。純正品が入手出来る車種は高価でもそれを使う方が賢明。重要なジェットニードルとホルダーが純正品に比べて劣るので全体的に濃くなって調子が悪い。スロージェットも同じ番手でも通路が大きいのか濃い状態。

Z1/Z2,Z1000Mk2での使用結果


(山之内キャブレター)
~~~キャブレターリぺアキット

日本製。純正部品と同じ設定でジェットニードルを作っている様子ですが霧化し辛く、ホルダーとの相性も良くないのか全体的に濃くなって調子が悪くなります。使い古した純正品に戻した方が調子が良かったです。

W1S,W1SA,W3での使用結果


(キースター)
~~~燃調キット

日本製。メイン・スロー(パイロット)・ニードルが番手違いで各々数種類づつ入っています。標準番手より薄い物を使うとある程度は調子は上がります。本当に調子が悪い状態のキャブレターにはこの方法で使うと良いのですが、調子の悪くないキャブに標準番手で使うと逆に調子を崩すので注意が必要です。ニードルバルブはクリアランスが若干広めでオーバーフロー気味。

マッハ3での使用結果

ジェットニードルは最薄を使って、ニードルバルブは純正新品を使って対処出来ると思います


(MRS・Mテック中京)
~~~初期型フューエルコック

 

日本製。製品精度は高いのですがあくまでも「初期型風」。似てはいますが純正品と並べると形状は違います。付属のパッキンのサイズが小さく材質のせいもあってか、締め付けをしっかりとしても突然燃料・ガソリンが溢れる様に漏れてきます。サイズは合いますので繋ぎ目のパッキンだけでなく下側チャンバー部分のガスケットも純正品を使わないと危険です。

接合部パッキン画像。
左が純正品、右がMRS品。

Z1/Z2での使用結果

パッキンは純正品に入れ換えて下さい


(PMC)
~~~初期型フューエルコック



台湾製(浮き文字の「FENG SHAN」とは台湾にある地名)。
フューエルパイプ先端にMRS製品の様にフィルターの抜け止めはありません。
パッキンは変形し易いですがMRSの様に漏れる事はありません。
フューエルホースパイプの間隔が短く、肉厚のホースだと左右が干渉しクリップの入る余地はありません。


(PMC)
~~~油圧クラッチボード

クラッチを握るとボードの強度が不足している為にポンプ部分が外に2mm程たわみ、そのボードの「逃げ」によってクラッチの切れが悪くなります。元々クラッチ幅の少ない「Z1000J/R」で使うとクラッチは切れなくなりニュートラルにも入らなくなります。ミッション系へ多大の悪影響を及ぼします。

Z1000J/Rでの使用結果

内側にステンレスプレートを固定してボードが歪まない様に補強をする対処法で改善されます


(PMC)
~~~フェンダーレスキット

 

固定部分が長穴の為に実際の板幅よりも狭い部分で振動します。取付ボルトからナンバー部分までの距離が長く、ここが大きく揺れるのでその振動で割れて落ちる。ナンバーの曲げ部分も熱をかけて曲げていないのでここもクラックが入りやがて切れて落ちます。材質と合わせて、板厚がとにかく薄いのが最大の原因です。
ステンレス板で長板を作って補強するのが対処法ですが、最初からドレミ製品を使うのがベター。

Z1/Z2,Z750FX/Z1000Mk2での使用結果

素材の肉厚を上げるかステンレス製にするかのメーカー対応が必要です


(PMC・ドレミ・ハリケーン・RCエンジニアリング、他)~~~クラッチワイヤー

クラッチワイヤーについては様々なメーカーから販売されていますが、殆どがクラッチの切れが悪くなる傾向にあります。
この原因はワイヤーアウターの不良によるもの。ワイヤーが引かれるとアウターが縮んでしまう事によってワイヤーが引き切れていない状態になる為です。

Z系各車種、マッハ、CB750Fでの使用結果

クラッチワイヤーに限ってはどんな車種でも純正部品を使うのが間違いありません。


(PMC)
~~~イージークラッチキット△▲

 

確かに軽くはなるのですが、支点~力点間の距離が長くなっての作用ですので当然引きシロが大きくなります(その為手が小さい人には不向き)。
樹脂構造のZ1/Z2純正品よりも動きはスムーズですが、それならばZ750FX用ベアリングタイプへの換装が望ましいです。

Z1/Z2での使用結果



【詳細はこちら~Z&W、クラッチを軽くする方法】


 


(PMC)
~~~フォークシールストッパー

 

ストッパーリングに付いた「テーパー」の向きが逆になっている為、フォーク側にセットすると外せなくなってしまいます。

下側の拡大画像内で、クリップ左側が純正と同じ形状に修正したもので、右側が修正前のPMCから販売されているままの状態です。
これでは全く隙間が無く外すのに工具が入りません。正しくは円周上・リング内側がテーパーになっていないといけません。

Z系36mmフォークでの使用結果

先端部を画像の様に加工して対処出来ます(修正は片側のみでOK)が、2019年現在カワサキ純正部品で販売されています


(PMC)
~~~フロントフォークダストシール

ゴム質が運動用シールの物と違うのでストロークする際に摩擦抵抗となり、スムーズに動かないばかりか使い続けると内側が削られ擦り減って大きく隙間が出来てしまいます(インナーチューブには溶けたゴムが付着)。こうなると水が入り易いばかりかダストシールの意味を成しません。

Z1/Z2での使用結果

スムーズに作動させる為にカワサキ純正部品を使う事


(PMC)
~~~STDタイプリヤショック

サスペンションの機能を果たしていません。どれもすぐにダンパーが抜けてしまうので分解してみると、サスペンション以前にダンパーの基本構造になっていません。圧が掛かった後に元の部屋へオイルが戻らないといけないのに戻る通路が無し。オイルはピストンの隙間から時間をかけて下りてくる様子で、すぐには戻れないので一回縮んだ後はスプリングの作用しか無くなると言うサスペンションの構造に無知な者が作ったであろう製品。

Z1/Z2での使用結果


(PMC)
~~~コンプリートガスケット

残念ながらオイル漏れの原因になる製品。純正部品の半額以下で購入出来るのは有難いのですが、潰れやすいのかオイル滲みの跡しばらくするとオイルは漏れてきます。鉱物油に切り替えても漏れは止まりません。カムチェーントンネルの「Oリング」はすぐに張力が落ち、早いと1年程でオイルが漏れてきます。

Z1/Z2,Z1000Mk2,Z1000J/Rでの使用結果

高価でも未だ新品で全て揃うカワサキ純正部品を使う事をお勧めします


(PMC)
~~~シートレザー

 

車種によっては立体に裁断されていないので張替えが不可。今回のサンプル、シートに特徴的な深い段差のある「Z1000R」用は生地が平らで、どう引っ張ってもシートスポンジの形状に合わず張る事が出来ませんでした。

Z1000Rでの使用結果

 


(PMC)
~~~エアフィルター

 

1975~1980年、Z750/Z900/Z1000用の物はクリーナーBOX内に収まっても隙間が大きくガタガタ。吸気口の位置が全く合わないので使用不可。同形状の「Z400FX~GPZ」用の細部を確認せずに同じ物として販売している様子です。

Z750F/Z750D1での使用結果

信頼性の高い純正部品を使って下さい


(ドレミコレクション)
~~~ハンドルグリップ

 

 

モデルチェンジして硬くなりました。
以前の方が純正に近い感触で良好でしたので残念です。ハンドル径よりもかなりキツくもなって挿入が困難になりました。


(PMC)
~~~リヤブレーキスイッチ△

 

製品精度がチープで、壊れるとショートしてヒューズが飛びます。
内部構造の作りが悪い為壊れると、ブレーキペダルを踏むと(ロッドが引っ張られた状況で)短絡します。
(未確認ですがボディにラバーキャップが付いた最新モデルは改善されている様子です)


(ドレミ・PMC)
~~~オイルドレンボルト△

 

ボルト自体に不具合はありません。
しかし、付属する「Oリング」のサイズが大きく異なりますのでカワサキ純正部品が使えません。
カワサキ純正品: 22。0mm
リプロ品   : 24.5mm

オイル交換毎にこのOリングは交換したいので、品質の良い純正品を使いたいのが本音です。
オイルドレンボルトも新品でメーカー在庫がありますので、ボルト・Oリング共々純正品を使いましょう。