Z1,Z2 スイングアームのペイント~スムージング加工で仕上がりを美しく

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Z1,Z2 スイングアーム・スムージング加工
Z1,Z2 スイングアームをペイント~ベースを綺麗に仕上げてから

今回塗装は「パウダーコート」をチョイス。その名の通り粉体塗料ですので塗膜が厚く表面硬度も高く丈夫な塗装方法です。塗膜が厚く載るのでキメ細かく下地処理を行わなくとも少々の傷ならば隠れてしまう程です。塗り方にもよりますが経験上「300ミクロン」が限界値で、一般的な粉体塗装の塗膜は「150~200ミクロン」です。通常の液体塗料ですと1回塗りで「15~25ミクロン」ですからその差は大きく、耐久性能が大きいのがこのパウダーコートなのです。欠点としては耐溶剤性が劣る事ですが、それを差し引いてもこの塗膜の厚さ・耐久性は魅力です。30年前に塗った自車両フレームは未だに健在ですのでただただ驚くばかりです。

パウダーコート/粉体塗装は別名「静電塗装」と呼ばれ電気的に「粉」を表面に落ち着かせる為、隅々まで粉の厚さが均等に付着します。液体塗料では間違いなく入り込めない部分まで「粉」は電着しますので、塗り残しの発生が極めて少なくなります。これが粉体塗装の最大のメリットとなります。
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何事も「下処理」が肝心!

パウダーコートは塗膜が厚く載るので細かい傷や錆跡は隠れてしまいます。ですが大きな段差までは消せませんのでハンドドリルを使って「ペーパードラム」にて各所その部分を平滑に均して(ならして)いきます。熔接跡や荒れた端面の数々を綺麗にして塗装すると仕上がりがとても美しくなります。

よく見られる事ですがチェーンが弛んだ状態で乗り続け、そのせいでチェーンケース・ステーを削ってしまう事象。それと同時に起こるスイングアーム付け根部分の削れも多く見られます。それを溶接による「溶盛り」で削れた部分を修正していきます(画像は修正後)。溶盛り後にまずベビーサンダーで粗削り、仕上げはハンドドリル+ペーパードラムを使い作業完了です。

 

 

思いのほか見えてしまうスイングアーム内面。ここの溶接合わせ部分は重要な点で、ホイール側・チェーン引き部分の縦ラインも粗さが目立ちますので双方の段差修正を行います。裏側は見えませんが手抜きせず同じ加工を施すようにします。ガゼットとパイプの溶接ビード部分もしかり。なるべく段差を無くすよう滑らかにしていきます。

ペーパードラムの「目」は粗目を使います。番手で言うと「80番」を使っています

ペーパー研磨後はサンドブラストにて最終処理を


ブラスト処理を行う事によって細かい部分まで錆と古い塗料が落とせ、更に塗料の食い付きが良くなります。その他の利点としてリペイント後の腐食の発生も最少限となります。

「スムージング加工」でワンランク上の仕上がりに


下処理の有無で仕上がりが全く違ってきます。四輪では定番の「スムージング加工」を行う事によって素晴らしい出来栄えとなります

従来の粉体塗装では「黒」と言っても赤茶がかった黒で、艶有りと言っても液体塗料の「7分艶有り」程度の艶でした。最近登場したハーレー用パウダーコート・ブラック。今回はこちらを試してみましたがこれが正解で、粉体塗装と思えない程の仕上がりでした。艶はもちろん色味も「純黒」とでも表現するのでしょうか、本来の「黒」です。
~~~以上、W1S,W1SA,650RS/W3に於いても同様の作業にてレストア作業を行います