Z1,Z2 スイングアームブッシュ交換~社外・対策品の組み込み方

Z-1
Z1,Z2 スイングアームブッシュ交換
Z1/Z2 スイングアームを整備する~ブッシュの交換手順

純正部品は販売終了していますがそれ以上に良い商品が販売されていますので、社外品に交換して作動性を向上させるのが今回の目的です。

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『PMC スイングアーム強化ベアリング・ブッシュセット』

対応は、1972~1977年までのZ1/Z2です。A4・A5までの対応品で、リヤがディスクのZ750D1やZ1000には非対応です。この違いはフレーム全体が見直されたと同時にリヤフォークもサイズが変わってしまった為です。この時にニードルベアリングに変更され、Z750D1に於いては今現在もベアリングは販売されていますので整備は容易です。但し中のセンタースリーブは販売中止ですので取り扱いには注意が必要です。

強化キットの内容確認

純正の合成樹脂のブッシュ同士が擦れているものと違ってベアリング、「ニードルベアリング」を使ったキットです。ニードルベアリングとは円柱状の細長い棒が円周上に敷き詰められたタイプのベアリングで、ボールベアリングの様に「点」での接触ではなく「線」での接触となり剛性が高いのが特徴です。このニードルベアリングを左右2個づつ使いスリーブを併用してスムーズに動く仕様の内容となっています。

~~~ベアリングを取り外したらスイングアーム側を十分に洗浄して新しいベアリングを打ち込む準備をします。

スイングアームの脱着

スイングアームを外すにはまず余分な周辺部品を取り外し、十分なスペースを確保してから行うのが一番の近道です。そしてスイングアームにも余計な傷を付けない為にもこの作業は重要です。

リヤホイールを外したら以下の部品を取り外し、スイングアーム交換の下準備とします。  
  • リヤサスペンション(グラブバー含む)
  • リヤブレーキロッド
  • リヤブレーキ・トルクロッド 
  • インナーフェンダー

ベアリングの取り外しと組み込み方法を解説

プレスを使う前提でも、まず最初の段階で小ハンマーを使いある程度打ち込んでおきます。

最後までハンマーによる打ち込みでも可能ですが、プレスがあると組み込みが確実で尚且つスムーズに作業が行えます。

取り外しは長めのシャフトを使って打ち出して行えます。外そうとするベアリングの反対側から長い棒をセットし、スリーブ内側端面を狙って叩き出すように作業します。

プレスでの圧入時、端面に傷が付かない様に樹脂プレートを敷き作業します。ブレーキパッドのケースなど捨てずに持っておくと何かと便利です。今回は「RK」製品のケースを使っています。

ひとつ目のベアリングは「22mm」奥にセットします。その為プレスで圧入に使うソケットに「22mm」位置を記しておきます。

ひとつ目のベアリングが収まった状態です。

ここでグリスを満遍なく塗布しておきます。ここは作動性よりも耐水性能の高い物を使うとより一層の効果があります。

ふたつ目のベアリングは「5mm」奥にセットします。これで1個目と2個目のベアリングの間の隙間は「2mm」前後のクリアランスとなります。

ふたつ目のベアリングが収まった状態です。

スイングアームを取り付け後にグリスアップしますがニードルベアリングは回転させて中までしっかりとグリスを行き渡らせます。

~~~この後インナーパイプ、「インナーブッシュ×2」、「スラストブッシュ(金色)」、両端のオイルシールの順に組み付けて完成です。

インナーパイプとブッシュ、ブッシュ、オイルシールの順に組み込んでいきます。

 

両端のオイルシールは取り付け時にエアを含みやすいので要注意! エアが入ると中に残った空気で押されオイルシールは数ミリ飛び出てきます。スイングアームをフレームに合わせる時に飛び出てくるとピボット部分に上手く合わせる事が困難になります。 オイルシールは隙間を作る様に被せていき、十分にエアの混入を無くして飛び出ない様にするのがスイングアーム取り付けのコツです。

純正タイプの販売もありますので旧車の名残を感じつつ最新式にしたい場合にはコチラがお薦めです。


最後の仕上げに「グリスアップ」

グリスニップルにグリスガンをセットし、オイルシール両端からグリスが押し出される位まで注入して完了です。

グリスガンはノズルを2種類使います。

先端の尖ったものはベアリングへの注油用、もう一方はグリスニップルに接続して使う物です。

  取り扱いは「ダートフリーク」です

 使用したグリスです。

マキシマ ウォータープルーフグリース (リチウム万能グリス)
耐水性、耐海水性の他に、耐摩耗も高く耐過電、耐熱、耐圧、防薬品、防酸化、防湿、防錆など様々な機能を持ち、非鉛系の極圧剤を含む為、アクスルシャフトやホイールベアリングなどの過酷な圧力に晒される金属摺動面などあらゆる部分に使用出来ます。