W1S,W1SA,650RS/W3 オーバーフローする理由とは~原因とその修理方法

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W1S,W1SA,W3 オーバーフローの要因を解説
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W1S,W1SA,650RS/W3 オーバーフローを引き起こす要因とは

今まで見てきた原因の数々を修理方法と共に解説していきます。

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考えられるオーバーフローの原因

  1. フロートバルブ(ニードルバルブ)の劣化によるもの
  2. フロートの油面が合っていない(フロートレベル不良)
  3. フロートの腐食
  4. フロートチャンバーの腐食
  5. 燃料コック不良
  6. 燃料タンク内の錆

~~~以上がほぼ全ての要因です。

各原因別、それぞれの修理方法

1の部品の劣化。これはバルブ先端が受け側(バルブシート)と共に消耗して隙間が出来てしまった事によるもので、部品を新しくする事で解決します。ただし各種リプレイス品を使っても直りません。どれもニードルバルブ外径とバルブシート側のクリアランスが大きく、サイドスタンドを使用しただけでバルブが暴れてオーバーフローしてしまいます。ここは必ず純正品を使う事が修理の本道となります。また、このバルブシートに使われるガスケットの不良もあり振動で緩みが発生、隙間が出来てオーバーフローしてしまう例もありました。ここのガスケットは紙で出来ており厚みも特殊です。既に販売終了品ですので製作・交換する事で解決出来ます。

 

2の油面不良油面が高いと言うのはフロート位置が高いと言う事で、フロートチャンバー内に貯まる燃料の量が大きくなります。この作用によって車体が揺れた時にフロートチャンバー内を通るパイプから燃料が排出されやすくなります。油面・フロートレベルはマニュアル値では「27.5mm」ですが経験上「29.0mm」がベストな数値です。オーバーフローし難く始動性も良好、吹け上りも何ら問題なく全てクリヤーしています。

3のフロートの腐食。腐食の殆どはキャブへの水分混入が原因で金属製のフロートに錆が発生し小さな穴が開いてしまい、そこからフロート内部へ燃料が浸入する事でフロートが重く浮かない状態となるもの。こうなると常に燃料がキャブレターへ流れる環境になってしまい、燃料コックを開くと同時にオーバーフローが始まります。これはフロートを新しくする事で直ります。2019年7月時点でカワサキ純正部品として販売されています。部品番号は『16031-011』、値段は税込み4000円弱です。交換後の「油面調整」は忘れずに行います。

 

4のフロートチャンバーの腐食。これは中を通る真鍮のパイプが腐食してクラックが入ってしまいその隙間から燃料が染み出ると言う事象です。これはパイプ表面をサンドペーパーで修正してからハンダ付で直すのが良い方法です。その際にはワット数の高いハンダコテを使い、更に液状の「フラックス」を併用すると溶け込みが容易になり作業性が高まります。

裏技とまでは言いませんが、ワコーズのタンクコーティング剤「タンクライナー」を塗っても数年は持ちます。気を付けねばならないのはフロートチャンバー内側・全面をコーティングするのではなく、パイプ表面のみに限定してコーティングする事です。経験上どちらも5年以上の耐久性がありますが、フロートチャンバーに穴が開いていない限りは必要最低限で済ませるのが良いと言う考えです(自分自身の整備方針)。

 

5の燃料コックの不良。コックレバーを「オフ」の位置にしても中のパッキンやプラスチック部品の劣化により各部に隙間が出来て切り換え不良(燃料を止める事が不可能)となります。こうなってしまうとキャブレター・フロートバルブに「燃圧」が掛かりバルブが押されてそこから燃料が流れていく事でオーバーフローが発生すると言うメカニズムです。コックを新しくするのが確実ですが既に販売終了していますので、中のパッキンを交換する事で対処が出来ます。初期型コックは直すのにコツが必要ですが、後期型は「Oリング」しか使われていませんのでこれを交換し、テーパー状の穴あきプラスチック部品は耐水ペーパーで面修正で正常にすることが出来ます。

 

6の燃料タンク内の錆。燃料タンク内に発生した錆がキャブレター側へと流れてきて、ニードルバルブに引っかかって弁が閉じない状態になる事でオーバーフローが起こります。これは一般的な症状で少々年式の古い車両であれば十分に起こり得る事です。前出(4の症状)のワコーズタンクライナーを使って今後の錆の発生も抑えることが出来ます。下処理として同社製品の錆除去剤「ピカタン」を併用する事が大前提です。

過去に1台だけ特殊な原因の車両がありました(「W」以外の物含めてもこの1台)。
それはフロートピンの通る穴が振動で擦れ、それによって穴が拡大されて長穴となりフロートピンごとフロートが暴れてオーバーフローすると言うものでした。フロートピンが通る穴の開いたこの左右の支柱へ垂直に穴を開けて押さえになるピンを埋め込んで直しましたが、このパターンの修理方法としてはこれが一番良い解決方法と思います。今後同じタイプの修理があった場合はこの方法をベースに更に精度を上げる事で耐久性の向上が図られると思います。