Z1/Z2,W3 メーターのメンテナンス
メンテナンスと言っても分解しての整備~?
特に難しい事はせずとも、ちゃんと動いていれば問題は有りません。後述する分解方法は入手したメーターが仮に動かなかった場合のもので、メーターは基本的に「精密機器」の類ですのでよっぽどの時は専門業者様に依頼する事をお勧めします。
基本の「メーターの固定方法」~取り付け要点
メーター固定用のラバー・スリーブ(カラー)・ワッシャー(プレーン&スプリング)・ナットは
全て純正部品で揃います(2019年12月現在プレーンワッシャー廃番)。
それを使ってメーターを取り付けると、「おやっ?」と思う事が一点。 実際にダンパーラバーとスリーブを新品で同時交換した人ならば誰しも気付く事があります。
それは新品部品を使っているのに取り付けるとメーターがガタガタ。 おかしいと思ってスリーブを短く切って対処する人も多いと思います。 いち早くそれに気づいて几帳面にガタツキが無くなる様に加工する行為は間違いではありませんが、でもそれは「×」・・・。
これはメーター内部部品を振動から守る為の設計なのです。
ダンパーラバーが入っているとはいえ、ここがガッチリと固定されてしまうとメーター部品、特にダメージがくるのが「針」。 振動がダイレクトに伝わってポッキリと折れてしまいます。 もっと近年の車両で例を挙げると同じカワサキで「W650」。この車両もメーターは新車時でガタガタしています。これを気持ち悪いと思ってキツく取り付けると・・・、即座にプラスチック製のメーターレンズにヒビが入ってきます(これも最悪針が折れます)。 W650では実際にリコールも出ていてメーターガラス面(プラスチックですが)にクラックが入る物があります。メーカーからの対策部品に交換するとこのメーターのガタツキが更に大きくなります。
~~~と言う様に不具合ではなく考えられて作られているガタツキなので、ガタツキは気になりますがこれで間違いはありません。事情が分かってしまえばそういう物と認識出来ますので、安心してそのままの状態でお使い下さい。
画像で見るとよくわかるね~ ホントにガタガタだぁ~
メーター取り付けのアドバイス
メーターひとつに対して8mmソケットサイズのナット2個で固定されています(ネジはM4)。
このネジ、内側の1本が意外に厄介で、下向き加減に角度が付いているせいでダンパーはまだしもワッシャーは落ちてくるしスプリングワッシャーもナットも付けられない・・・。
非常にイライラしてしまいますね。 そんな時は整備道具の一つ「マグネット」を使います。
~~~分かり易いように外側のネジで解説しています
4箇所あるうちのタコメーター側・中央寄りのナットが脱着し辛いです
進化し続ける旧車用・カワサキ純正部品
車両の事を考えた製品作りになっています
廃番も多くなってきましたが、既存の物は現状維持の為部品は常に進化している様子です。
スリーブは15年程前にモデルチェンジし、より一層「ガタツキ」が大きく出る様になりました。
左側が従来製品で長さは「12.4mm」。
右側長い方が新しい製品で長さは「13.3mm」と変更されています。
(2020年モデルから「14.0mm」に再変更)
~~~メーター保護の為にこうして改善されるのは嬉しい事ですね。
メーターの分解方法
~~~小型のマイナスドライバーを用意します
Z1/Z2,W3のメーターには3カ所溝がありますので、その部分の「カシメ」からめくっていくとドライバー先端が引っかかり易く作業がしやすいです。
~~~マイナスドライバーは新品だと先端部の角が立っていて引っかけやすいです
~~~ドライバーは左右にこじらず上に持ち上げる要領で行うと、リングを外す時に抜けやすいのと最後のカシメ直しの時に綺麗に収めやすいです
~~~剥がす時のコツはメーター・ロア側とラバーの間にカッターの刃を入れる事です
~~~ガラス内側には「曇り止め」が塗ってあります
パーツクリーナーでの拭き取りだけにしないとこのコーティング剤が侵されて、ガラス内側が曇り易くなりますので染みになっていても掃除は程々にしておきます。
今回の修理ケースはタコメーターの針が動かないと言うもので、開けて確認すると針の付いた細いシャフトが腐食して固着していました。
こうなると分解して清掃・給油しないと動く事は無く、外的に注油してもその部分には到底到達しません。
~~~パーツクリーナーとエアブローで掃除し、注油は浸透性の高いワコーズ製品「ラスペネ」を使いました
シャフトには緑青が発生しています。
製造後かなりの年月が経過しているのもそうですが、相当永い間動かされていなかったと判断出来ます。
針の動く仕組みは、メーターワイヤー取り付け部分先端に付いた「磁石」が回転すると、針の付いたシャフト後端の金属の器が反応し磁力でつられて回ると言うもの。
これはスピードメーターもしかり
~~~シリコンは埃を吸い付けますので余剰分は綺麗に乾拭きして仕上げます
画像の様な「プライヤーレンチ」を使ってカシメ直していきます。
この工具は他でも大活躍の工具で、スライドさせて開口部の広さが調整出来ると言う優れもの。
このメーターカシメ作業では必需品です。
まず3点カシメてから上下左右に移動して少しづつ潰していくと綺麗な仕上がりになります。