ZシリーズとWシリーズのタイヤについて~19インチ標準サイズでのタイヤチョイス

W3
Z系とWシリーズの19インチタイヤについて
Z系・Wシリーズの19インチタイヤ

Z1/Z2,Z750F/Z750D1,Z900/Z1000,Z750FX/Z1000Mk2~W1S,W1SA,650RS/W3
これら皆フロント19インチ・リヤ18インチサイズ標準で、幅もフロント3.25~3.50、100/90-19、
リヤ4.00~120/90-18となっています。
前後18インチよりも種類は豊富で数年前よりラジアルタイヤも設定されています。


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旧車サイズ・19インチの種類は多い

前後18インチのタイヤサイズよりも19-18インチの方が種類は豊富です

旧車カスタムの常套手段・フロント18インチですがタイヤの銘柄によっては19インチそのままで、18インチにした時のタイヤ外径に近くなる物もあります。ですのでインチダウン・18インチにしてタイヤが選べなくなるよりも、種類が豊富・タイヤの選択肢が多い19インチが有利だと思います。

前後18インチでのバランスをとるにあたって、オフセット変更の為のステム交換や前後車体バランス、サスペンション設定まで行うと見違える程良く走ります。

ここではタイヤ詳細含め、各社定番・代表的銘柄を解説していきます

【タイヤ表示解説】
TL~~~「チューブ・レス」の意  チューブ不使用
WT~~~「ウィズ・チューブ」の意 チューブ使用
TT~~~「チューブ・タイプ」の意 チューブ使用
TL/TT・・・チューブレスとチューブタイプ、どちらでも使用可能

基本的にチューブタイプにチューブレスの使用は問題ありません

*(注)メーカーによってはチューブタイプにチューブレス使用について指定がある物があります


 

 


 

【ダンロップ】~~~日本

  (TT100GP)

言わずと知れた旧車定番タイヤの代名詞的タイヤです。20年以上前に復活を遂げたタイヤですが、伝統的パターンを残し、コンパウンドは現行ハイグリップタイヤと同じ物で作られた第二世代旧車用ハイグリップタイヤです。

F:100/90-19 (Hレンジ/TL)
      税別参考定価:18900円
F:100/90-19 (Hレンジ/WT)
      税別参考定価:16200円
R:4.00-18   (Hレンジ/TL)
      税別参考定価:19800円

摩耗はやや早い方です。TT900GPと同じコンパウンドを使用とは言っても既に設計が古く、特にグリップ力の良さは感じられず一般的なレベルの物です。表示幅よりも少し細いので迫力不足。


 


  (K300GP)



これも古くからあるタイヤで1100刀やCB-Fへの装着率が高かった製品です。TT100GPよりもグリップは上手。タイヤハイトが厚く、だるさの残る形状なのでキビキビと走るのには不向き。よって切り返しが若干重く感じられますが、それがリーン時の安心・安定感になっています。外観は表示幅よりも若干太く見た目に迫力が出ます。

F:100/90-19 (Vレンジ/TL)
      税別参考定価:25400円
R:120/90-18 (Vレンジ/TL)
      税別参考定価:30500円


 


(F11)

F:100/90-19(Hレンジ/TL)
税別参考定価:17800円
F:3.25-19 (Hレンジ/TL)

税別参考定価:15800円
F:3.25-19 (Vレンジ/WT)

税別参考定価:13000円
F:3.50-19 (Vレンジ/TL)

税別参考定価:18400円
F:3.50-19 (Hレンジ/WT)

税別参考定価:17000円

(K87)

R: 4.00-18 (Hレンジ/WT)
税別参考定価:15750円

 

Z1/Z2標準装備タイヤ。フロントの「F6B」は廃番で代わりに「F11」が代替品となりましたが、リヤは「K87-Mk2」が根強い人気で継続販売中です。

  (K87 MK2)

  (F11)

リヤのK87は現行SSに使われる様な先端部が尖った形状で、直立状態では設置面積が少ないためハンドリングが軽快になり倒しこみが軽い(オートバイが傾くにつれて設置面積は大きくなりグリップが増す)。ツーリングオンリーの使用でも、せいぜい6000kmが使用限度と摩耗が早いのが特徴(650RS/W3にて検証)。


 

【ブリヂストン】~~~日本 

  (BTー45V/BT45)

 

(BT-45V)
F:100/90-19 (Vレンジ/TL)
      税別参考定価:24000円
R:120/90-18 (Hレンジ/WT)
      税別参考定価:28500円
      

 

表示数値よりもかなりロープロファイル(低扁平率)なタイヤでCB-FやZ1/Z2に装着すると車体バランスがちぐはぐになり、見た目にも「×」。当然最低地上高は低くなるので古いヨシムラ手曲げなどは底を擦り易くなりますので注意が必要。
表示よりも細いタイヤ幅で、他のタイヤと比べてスタイル的に劣るタイヤ。
「実ライフ」は短く、トレッド3割の消耗でライフは限界付近まで落ち込む様子。

(BT-45)
F:100/90-19 (Hレンジ/WT)
      税別参考定価:16200円
F:3.25-19   (Hレンジ/TL)

      税別参考定価:19600円
F:3.50-19   (Hレンジ/WT)

      税別参考定価:17000円
R:4.00-18   (Hレンジ/TL)

      税別参考定価:23000円
R:4.00-18   (Hレンジ/WT)
      税別参考定価:18800円

R:120/80-18 (Hレンジ/TL)

      税別参考定価:22600円

フロント18インチにしてしまうとこの辺りしかタイヤの選択肢がなくなる懸念があります。


  (AC01/AC02 アコレード)

縦溝メインのパターンから旧車のみならずSRにも似合うタイヤです。
19インチと言う大径ホイールの場合路面からのギャップを拾い易く、それを解消するために新車当時のタイヤパターンは「縦溝」が多いパターンでした。現在は道路状況が良くなったとは言え、走行安定性を19インチ・旧車に求めるならばこの縦溝が今でも必要と思われます。
表示幅よりも太いので見た目にしっかりします。

  (AC01)

F:3.50-19 (Hレンジ/WT)
       税別参考定価:17500円

  (AC02)

R:4.00-18 (Hレンジ/WT)
       税別参考定価:18500円

見た目のワイルドさは低いですが、縦溝メインのトレッドパターンは旧車にピッタリなデザインです。耐摩耗性が非常に高く、ツーリングメインで10000km以上普通に使えます(650RS/W3にて検証)。
フロントサイズが「3.50」しか選べず、消耗するとハンドルのブレに繋がり易いです

 


 

【IRC/イノウエ】~~~日本

  (GS-11)

特に突出した部分は有りませんがコストパフォーマンスの高いタイヤ。摩耗は若干早く、可否の無いスタンダード的ポジションのタイヤですがグリップ感を掴みやすい製品です。
実装幅はフロント(3.25で)が「96mm」、リヤが「112mm」です。

F:3.25-19  (Hレンジ/WT)
      税別参考定価:11600円
F:3.50-19  (Hレンジ/WT)

      税別参考定価:12500円
R:4.00-18  (Hレンジ/WT)
      税別参考定価:14
100円

~~~パッと見はダンロップの「F11」と「K87」に似たパターンです。


  (RS-310)

倒し込み・切り返しについてはニュートラルな感想です。典型的なツーリングタイヤなのでワインディングではどうしても物足りなさを感じますが、それをおいても乗り心地は良い。紫外線に弱く、1年程で「オゾン・クラック」なるタイヤサイドのヒビが入り易いです。

F:100/90-19 (Hレンジ/TL)
       税別参考定価:17000円
F:100/90-19 (Sレンジ/WT)
       税別参考定価:13000円
R:120/80-18 (Hレンジ/TL)
       税別参考定価:19900円
R:120/90-18 (Hレンジ/TL)
                        税別参考定価:20100円

 

 

 


 

【ミシュラン】~~~フランス

 

 (パイロット・アクティブ)

性能・パターン共に評判の良かった「マカダム」からの移行製品。旧車には不似合いなトレッドパターンではありますが、全天候型で耐摩耗性能も秀でた数少ない製品です。
「実ライフ」が一番長いのはこのミシュラン製品の最大の特徴。タイヤ幅は表示幅と同寸~同寸以下です。
(幅の広いタイヤですとパターンが映えます)

F:3.25-19  (Hレンジ TL/TT)
        税別参考定価:17500円
F:100/90-19  (Vレンジ TL/TT)
        税別参考定価:20800円
R:4.00-18   (Hレンジ TL/TT)
        税別参考定価:21100円
R:120/90-18 (Vレンジ TL/TT)
        税別参考定価:25300円

~~~サンプル車両は「ゼファー750」。
150/70-17のサイズですが、リヤの実装幅は「143mm」です。
穏やかなパターンもこれ位太いとスーパースポーツ並の迫力のあるビューになります。


【650RS/W3】

こちらがW3での実装画像です。サイズは標準のフロント3.25-19、リヤが4.00-18での装着例です。
見慣れると似合いのパターンです。乗ってみてはどうかと言うと、乗り心地が穏やか・ソフトでグリップ感がライダーに伝わり易い安心感のある設定です。ソフトであってもタイヤ剛性はしっかりとしていてどんなシチュエーションでも安定している物です。

正面から見ると前後共に貧弱ではありますが、乗るとこの細さを感じさせない所がミシュランタイヤの真骨頂なのでしょう。タイヤ幅の実測値はフロントが「91mm」でリヤは「106mm」となっています。リヤは標準サイズの「4.00-18」ですが、太くしたい場合はZ1/Z2と同じ様にフロントを「100/90-19」に、リヤに「120/90-18」を装着すると良いでしょう。
しかしそのルックスを手に入れる代わりに、タイヤが減るとハンドルのブレが発生する車種もあります(CB750等)ので特にフロントのサイズ変更は慎重に。


余談ですがSR400/SR500に装着の場合、フロントサイズに合うものが無いので「100/90-18」を選ぶ事になります。そうすると街乗りでの低速時などはフロントが細かい凹凸を拾いやすく、ハンドルに微少な振動となって現れます。これは外径が小さくなる事によって起こされる不快感ですので注意。


 

(ロードクラシック)

 

2021年春に発売となった新型セミラジアルタイヤです。
セミラジアルとは言ってもラジアルタイヤではありませんが、内部構造がラジアルに近いバイアスタイヤです。

F:3.25-19   (Hレンジ)
      税別参考定価:18000円

F:100/90-19 (Vレンジ)

R:4.00-18   (Hレンジ)
      税別参考定価:21000円

R:120/90-18 (現在輸入停止)

斜めから見るとかなり太く重厚に見えますが、正面からのビューはパイロットアクティブと同じ、細身な外観となります。

ウェット・ドライ共にグリップ性能は素晴らしい物があり、切り返しのダルさ(パイロットアクティブとの比)はあってもコーナー安定型タイヤで乗っていて安心感が大きく感じられます。
サスペンションを良くしたような感覚で、このタイヤに交換する恩恵は大きいと思います。

 


 

【メッツラー】~~~ドイツ

  (レーザーテック)

伝統のあるパターンを踏襲しながら内部的進化を遂げたメッツラー定番タイヤ。
車体安定性第一のタイヤ設計で突出したものはありませんが、あらゆる面で平均値を超える優等性的な製品。130幅で実測136mmあるのでワンサイズアップしたかのようなルックスになります。

F:3.25-19  (Hレンジ/TL)
      税別参考定価:17400円
F:100/90-19 (Hレンジ/TL)

      税別参考定価:17600円
F:100/90-19 (Vレンジ/TL)

      税別参考定価:22600円
R:120/90-18 (Vレンジ/TL)

      税別参考定価:18300円


  (パーフェクト ME77)

 

ヤマハSR400/500標準タイヤ。オゾンクラックが入り易いのはメッツラーの特徴。レーザーテックよりも耐摩耗性は低く、重量のある旧車よりは中型車両向き。新規に増えるサイズに期待が持たれます。

F:3.50-19  (Sレンジ/TL)
      税別参考定価:(NEW)
R:4.00-18  (Hレンジ/TL)

      税別参考定価:19200円
R:4.10-18  (Hレンジ/TL)

      税別参考定価:(NEW)


 

【AVON/エイボン】~~~英国・イギリス

  (AM26/ロードライダー)

認知度の低いメーカーですが歴史は深く、タイヤの重要項目・耐摩耗性が高いのでツーリングタイヤの新定番になりそうです。セルフステア感の大きいのが第一の特徴で、クッション性に優れているのでサスペンション性能が上がったかのように感じます。表示幅よりも実測値は大きいのでリヤビューに迫力が出ます。

F:3.25-19   (Vレンジ/TL)
       税別参考定価:15900円
F:100/90-19 (Vレンジ/TL)

       税別参考定価:15000円
R:120/80-18 (Vレンジ/TL)

       税別参考定価:16900円
R:120/90-18 (Vレンジ/TL)

       税別参考定価:20500円

摩耗度合いですが、テスト車両「CB900F」に於いて6000km走行後の数値は、
フロント溝:5mm(新品時)→4.5mm、リヤ溝:5mm(新品時)→3.5mm
リヤタイヤの美味しい所はそろそろ終わりを告げそうで、実質7000~8000kmで要交換です。

 

【ピレリ】~~~中国

  (スポーツデーモン)

生産国がいよいよ四輪用と同様「中国製」になるそうです。そうなると「AFAM/アファム」同様に全ての面で格段に性能が落ちるのは間違いありません。

旧車には不釣り合いなトレッドパターンですがサイズが豊富で殆どの車種に対応しています。表示幅と同寸ではありますがこの特徴的パターンで、前後18インチにした車両に装着率の高いタイヤです。しかし耐摩耗性能は低く1100刀ですと7000kmあたりで交換時期となりますので重量車は注意が必要。

F:100/90-19 (Vレンジ/TL)
      税別参考定価:22800円
R:120/90-18 (Vレンジ/TL)

      税別参考定価:27500円


 

【コンチネンタル】~~~ドイツ

  (クラシック・アタック)

19-18インチ唯一のラジアルタイヤ。
サイズは限られますが一押しのタイヤです。
旧車Zが生まれ変わる程に走行性能が向上します。現行SSに通ずる先端部の尖った形状によりツーリングタイヤとは一線を画した性能を持ち合わせています。切り返しの早さ・ダイレクトな寝かし込み、あらゆる面でバイクが軽く動き運動性能の上昇が体感出来ます。
耐摩耗性も高くコストパフォーマンスに優れた新世代タイヤです。

F:100/90-R19(Vレンジ/TL)
      税別参考定価:23700円
R:120/90-R19(Vレンジ/TL)
      税別参考定価:28000円


  (ロードアタック2)

今年(2019年)ロードアタック3が発売になりましたが、「2」の戦闘的パターンの人気も高く2と3は併売されています。
リム幅を変更してタイヤ幅がワンサイズ太くなった車両の場合にはクラシックアタックをフロントに、リヤをこのロードアタック2にした組み合わせも悪くありません。方向性が同じ物同士の組み合わせで意外にも高評価でした(取材協力時ベテラン雑誌ライター談)。耐摩耗性能は高くまた劣化も少ないので、乗る機会が少ないライダーにも3年使えるタイヤライフは有難いもの。
このロードアタック2にもフロント19インチの設定はありますが、110/80-19と太いのでノーマルフォーク・スパンではフェンダーと干渉してしまい装着不可です。

R:130/80-R18(Vレンジ/TL)
      税別参考定価:29300円


  (クラシックアタック)

  (ロードアタック2)

クラシックアタックの模様が「Z」に見えるのはZ乗りに嬉しいポイント

画像で確認出来ると思いますが、随分と端までタイヤが使えているのが分かると思います。
伊豆スカイライン~ターンパイクの中速~高速コーナーの続くワインディングで、ステップ付近まで車体を寝かせていなくともここまでタイヤは接地してグリップを確保しています。これが峠道での安心感に繋がっているのだと思います。


 

2020年11月現在、オフレコ情報です。
コンチネンタルと同等以上の性能を持たせた19インチ、ストリート・ラジアルが某国内メーカーより発売されると言う情報です。現在コンチ・ラジアルをご検討中の方はしばらく様子を見てみるのが良さそうです(近々発表されるはずです)。

 


タイヤ交換についてのアドバイス

フロントのタイヤ幅は3.25・3.50・100/90と3種類ありますが、リム幅を変えていない場合には標準の「3.25」幅を推奨。これは太いとタイヤが減ってきた時にハンドルの「ブレ」となって表れやすい為です(CB750は特に顕著)。

サーキットタイムは19インチと前後18インチでの差は殆どありませんが、乗り手のフィーリングが大事でそれがタイムにも繋がります。出回っている情報を簡単に鵜呑みにせず、自分のライディング・スタイルに合わせての変更が望ましいです。

新品のエアバルブとチューブに交換の場合はいったん「ムシ」を外して注油する

 

新品でもムシの座りが悪くエア漏れを起こした事例が幾つかあります。
新しくとも一度外して潤滑剤を塗布してから組付け直すことでトラブルを未然に防ぐ事が出来ます。