配線加工とユニットの配置まで解説
新品購入の場合取説がありますが中古購入ですと説明書が付属しない事もあり、取り付けに関しての説明が乏しいケースがあります。
取説の無い整備含め、初めて行う作業の下調べにもお役立て下さい。
ウオタニSP2 フルパワーキットの取り付け
ピックアップコイルの取り付け
純正のポイント点火一式を取り外した所からの解説です
純正のガバナー類を外し、タイミングローターを取り付けます。
「17mm」メガネレンチとヘキサゴンレンチ(ソケットタイプ)を使って固定します。
専用ボルトのネジ部分にはカジリ防止用にスレッドコンパウンドを塗布しておきます。
アイドリング時から低回転域に於ける点火時期のイニシャル値は「Z2」でBTDC(上死点前)「20度」、「Z1000系/Z1000J」で「10度」となっています。
ベースプレート下に入る付属の「5mm」カラーは液体パッキンを薄く塗布して固定します。
こうする事によってベースプレート取り付け時の落下防止になります。
よく見るとカラー断面に段差があります。平らな方をエンジン側にして固定しましょう。
ピックアップコイルの調整
先にベースプレートの取り付け位置を調整します
タイミングプレートを固定する一番上のボルト。
このボルト中心ラインとタイミングプレートに刻まれた「10度マーク」にラインを合わせてセットしますが、ここはエンジン始動後にポイントライトを使って点火時期の確認をします。
調整位置の設定は前述のZ1000系「BTDC・10度」に沿った数値と思われます。
ピックアップコイルの「エアギャップ」を調整します
SP2取り付け時はセンサーギャップの他、プラグギャップの調整も必要になります。
シクネスゲージはなるべく精度の高い物を準備する事が必要です。
イグニッションコイルの取り付け
【取り付け順序】
- 左右イグニッションコイルを車体に仮止め
- 1~4番プラグキャップをプラグに取り付け
- コイル~プラグキャップ間のプラグコード長を設定
- コイルを外してプラグコードを取り付け
- コイルを車体側に取り付け・固定
- プラグキャップを取り付け
コイル位置・取り付け角度の選定
コイルの取り付け位置を調整
左右のコイルが干渉しない位置、そしてプラグコード同士も接触しない様にコイル角度にも気を付けます。今回のケースもそうですがフレームにやたらと「補強」が入った車両が多いのが現状です。
このパイプ位置が微妙で、コイル付近にあるものが多数。毎回プラグコードの通り道を塞がれてコイルの取り付け角度の選定と取り付けに時間を費やします。
「15mm」のスペーサーと「M6・30mm」ボルトはキットに同梱ですがナットは別途用意になります(今回フランジナットを使っています)。
プラグコードの取り回し
視覚的に有効なプラグコードは綺麗な曲線で
プラグコードとプラグキャップは表立って見えますので綺麗に見える角度で固定します。
プラグキャップをプラグに嵌めて好みの角度に固定します。
コード先端をコイル側へ軽く挿入しキャップ側へと導いていきます。長過ぎ・短過ぎにならない様にしますが、私は気持ち長めでキャブレターに干渉しない位の長さで後方に余裕を持たせたカーブでセットしています。
依頼によっては、1・4番のキャップ角度を「90度」の物にしてコードを水平に後方へもっていくパターンがあったり、プラグキャップを前方に向けてコードが「S字」になる様な取り回しであったりします。この辺りはオーナー様の意向もありますので、正解不正解と言うよりはお好みで趣向を凝らした取り付けで良いと思います。
プラグコードについて ~各気筒のコード長さ参考値
パワーキットはプラグコードセットを使いましたのでコイル側端子は既にカシメられた状態で、これを適当な長さに切って使います。
- ~~~「475mm」
- ~~~「450mm」
- ~~~「440mm」
- ~~~「490mm」
長さ設定後に一旦取り外してからコードを取り付け、その後あらためて車体へ本固定するのが二度手間になりますが早道で確実な取り付け方法です。
プラグコードをコイルに固定 ~ラバーブーツの使い方
コードに付属のラバーブーツを通します。性質上若干きつめの設定になっていますので潤滑剤を塗布します。端子部分が見える位置まで挿入出来たらば端子部分をコイルに挿し込みます。
端子部分の中央辺りに「凹み」があるのでそこまで入っていれば問題ありません。
端子凹み部分までコイル内へと押し込みます。
プラグコード径は「7mm」が標準ですが8mm以上の場合は窮屈になりますので、ブーツとコード共に潤滑油を多めに塗布し、コイル側には付着しない様に気を付けます。
コードが抜けない様に押し込みながらブーツをコイル側へとスライドさせ、コードをコイルに固定させます。イグニッションコイルにはコード取り付け部分として2箇所の突起・2本の筒形状になっていますが、ブーツはこの突起部分の根元・本体部分より「5mm」手前付近まで差し込む様にします。
各部配線の調整・取り付け ~先にコントロールユニットの設置を
各部に取り付けられる配線について
配線はほぼ「ボルトオン」
主要部分は長さの調整だけで、その他は車体側ハーネスに挿し込むだけです。
ピックアップコイル用の「白・緑」線、イグニッションコイル用「赤・黄・赤/黄」線
そしてアース用「黒」線をそれぞれ長さを合わせてカットして、付属の端子とカプラーを使って配線します。
電気式タコメーターの配線方法
ウオタニSP2は電気式タコメーター対応です
キット付属の「青コード」をカプラー内に取り付けてメーター電源線と結線するだけの作業です。
(メーターからの信号線(パルス線)はハーネス側の「黄/赤」線に繋ぎます)
ハウジングキー(黄)を細いマイナスドライバーを使って左右から引き上げると簡単に取り外す事が出来ます。配線キャップも同様に引っかけて引き出します。
コントロールユニットの設置
左サイドカバー内の空きスペースが順当
ボルト穴も2カ所あり、まさに理想的スペースなのが左側のサイドカバー部分です。
固定用のプレートを自作してここに設置するようにしました。
固定用ボルトはコントロールユニット・カプラー部分との干渉を避ける為に、ボルトヘッドの肉厚が薄い物を使っています。
また、今後の整備でユニット取り外しを考慮すると、ボルト部分をユニットで隠してしまわない様な位置に貼り付ける事をお勧めします。
ウオタニ取り付け ~各部取り付けポイント
プラグギャップは必ず調整します 「1.1mm~1.3mm」
SP2では大容量・高性能トランジスタを使っている作用から、プラグの火花ギャップが大きく取れます。そうする事によって着火性と火炎核成長に優れますので、ギャップ調整はキット取り付けに於いて必須の作業となります。そうしないとせっかくのパワーキットの性能が100パーセント発揮出来ない事になります。
コイル本体とプラグコード、ハーネスの通りを考える
ウオタニSPⅡ ~取扱説明書
切り換えダイアルについてキットに付属の取説から抜粋し、画像にて記載しています
画像はクリックで大きく表示されますので拡大してご覧下さい
ウオタニSP2は「コードセット」を選ぶと良いでしょう