エンジンがかからない!50ccスクーターやギヤ付き原付の不調~「カーボン噛み」の対処方法

【か~こ】
カーボン噛み修理方法
   【か】   カブ50/カブ110
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排気ガスの規制によるエンジン不調の実態

近年50cc・原付にも排気ガスの規制が厳しく課せられる様になりました。そのせいで不完全燃焼を誘発し走行中のエンスト(エンジン・ストップ)やエンジンがかからなくなったりする症状が多く見られるようになりました。何もゆっくりと走っているからと言うものでもなく、アクセル全開で通勤されている男性所有のミニバイクでもそれは起こっています。ですので乗り方や使い方での問題ではなく単に車体側の問題となっていることがはっきりとしています。

エンジンクリーニング・燃焼室クリーニングの作業方法

現行車以前のスーパーカブを題材に修理検証

タイ生産のカブ、型式「AA04」のカブをサンプルにして整備の進め方を解説していきます。

 

【エンジンクリーニング】

入庫時の症状としては圧縮が無い状態で全くエンジンがかからない状態でした。

一旦エンジンがかかってしまえば整備も行えるのでバッテリーチャージャーを繋ぎセルを回してエンジンをかけます。 不慣れな方には困難かもしれませんがアクセルの微妙な開け方でエンジンはかかります。アイドリングを保ちながらエアクリーナーを外し、吸気ダクト奥に向けて「エンジンコンディショナー」を注入します(キャブレタークリーナーでも代用出来ます)。この時アクセルは全開、コンディショナーをスプレーすると回転は落ち込みますのでエンストする前にスプレーを止めます。アクセル全開のままいるとスプレー中止後また回転は上昇してきますのでそうしたら再度スプレー再開・また回転は落ち込みますので止まる前にスプレー中止。これを10回程繰り返した後に白煙が半減するまでエンジンを吹かしたら、エンジンを停止してエアクリーナーを取り付け再度始動。白煙が完全になくなったら作業完了です。

コンディショナーの使用方法には「FI車両不可」とされていますが、02センサー含め負担になる所はありませんので今までの経験上問題なく使えます。

完全にカーボンが溜まって動かない車両の対処方法

エンジンクリーニング後にまだ不調になる場合

先の整備で殆どのケースで半年以上好調が続くものですが、それでもなお不調になる時はエンジンを分解して燃焼室に溜まっているカーボンを完全に除去しないと直りません。

・・・ですが、修理金額を考慮するとあまり現実的でない数字が出てきます(店舗にもよりますがおおよそ7~8諭吉)。

そういう時の為の整備方法を提唱する事を心掛けたこのサイトではそんな緊急時の回避方法までを解説していきますので是非参考にして下さい。

  1. まずスパークプラグを抜き去ります。
  2. プラグホールから前出の「エンジンコンディショナー」を注入後、ピストンを回して「圧縮上死点」を探しそこで固定。

    ここではワコーズ製品を使用しています。

  3. 2回目のエンジンコンディショナーを注入します注入後古いプラグを取り付けて栓をします。なぜそうするかと言うとカブのエンジンは水平方向にヘッドが伸びていますのでプラグで栓をしないとせっかくのコンディショナーがプラグホールから抜けて出てしまいます。

    なるべく中に溶剤を溜める様少しづつ注入します。

    バルブフェィスとバルブシートにも溶剤が行き渡る様にクランクシャフトを数回回してから再度圧縮上死点の位置に戻します。

  4. そのまま10分程おいてカーボンを溶かします。
  5. プラグホールにウエスをあててセルを回すか数回キックをして中の溶剤を抜きます。
  6. パーツクリーナーを注入して燃焼室内を清掃し、セル若しくはキックで溶剤を抜きます。
  7. 新品のプラグを装着してエンジンの再始動で完了です。

     

    このタイミングでスパークプラグを新品に交換します。

  8. エンジンをかけ白煙が無くなるまで回転を上げて燃焼室に残った溶剤を燃やして作業は終了です。

     

    回転の上げ具合は全開にはせず半分くらいの回転上昇に留めてエンジンを労わる様にしましょう。

     

サンプル車両では最初の圧縮値が「4kg/㎤」だったのに対し洗浄後は規定値の「12kg/㎤」に戻っています。施工後半年以上経過していますが特に問題なく現在も好調に稼働しています。

 

 

排気量が小さいだけにその効果は顕著に現れます。

 

AF67/AF68のトゥディとディオ、ヤマハ・スズキのミニバイクでも同じ作業で対処可能です。