新型発表の衝撃も大きかったですが、やはり「刀」と言えばこの「GSX1100S」でしょう。
今回はフロントフォーク・オーバーホール時の注意点を中心に解説していきます。
フロントフォーク分解
この時代の車両は例外なくどのメーカーも「アンチダイブ機構」付きのフォークです。
アンチダイブとはフロントブレーキを強くかけた場合のフォークの沈み込みを制御するものです。
現代のサスペンションはタイヤと合わせて性能が高レベルで融合していますのでアンチダイブの必要性がありません。
フォークを分解するのにこのピストン機構を外しますが、その際には緩めるボルト位置に気を付けないとフォークオイルが出てきたり、パッキンを痛めてしまいますので注意が必要です。
~アンチダイブ本体・38番ボルトを外す場合は「28番」の「Oリング」の交換が必要です。
37番ボルトを外しての作業ではオイルは漏れませんのでフォークを分解しない整備、例えば前輪の脱着などの場合はその方法を使います。今回フォーク分解なのでどちらでも同じ事なのですが、通常整備時の参考になる様にピストン部分での脱着で行っています。
フォークを外し分解まで作業が進んだ状態です。
おそらくドレンボルトを外してインナーをボトムケースから抜いた時、オイルロックピースと共に薄手のワッシャーが3枚出て来た事と思います。
ここは普通にインナーチューブを引き抜くと内部パーツが外れてケース内に落ちてしまいます。
そうなるとオイルロックピースの向きとワッシャーの取り付け位置が分からなくなります。
オイルロックピースの広がった部分はワッシャーがピタリと嵌るサイズなので、間違いなくそうだと思い込み上下を逆さまに組まれていた車両を数多く見てきました。
フォークの組み立て~フォークオイルレベル調整
輸出車のフォークオイル粘度は「15番」、国内は「10番」が指定です。
一部に出回る情報では内部構造は国内外同じと言われていますがこれは誤った情報。
輸出車と国内では外観同じでも中身は違います。
一概に15番と言ってもメーカーによって動粘度が違うのがエンジンオイルと違って難解な所です。
動粘度表で確認してワコーズの10番と20番をブレンドして15番を作ります。
これも配合表がありそれを基に混合して作ります。
フォークオイルは10番を120ml、20番を280mlでブレンドして「400ml」の量を作ります。
新品のインナーチューブ~メーカー在庫限り
カタナの「型」で言うと’83~’84年の「SD/SE」。
2018年時、この年式でしかメインハーネスの在庫は有りません(ファイナルを除く)。
今回交換のインナーチューブは、輸出車各年式同じ部品ですがこれも残りわずか。
余裕のある時に是非購入しておきたい部品のひとつです。