GSX1100S/カタナ~フロントフォークOHに於いての要点

【か~こ】
GSX1100S/カタナのフロントフォーク
GSX1100S/刀 ~フォークインナーの組み付け順序
未だに根強い人気の「カタナ」。
新型発表の衝撃も大きかったですが、やはり「刀」と言えばこの「GSX1100S」でしょう。
今回はフロントフォーク・オーバーホール時の注意点を中心に解説していきます。

スポンサーリンク

フロントフォーク分解

この時代の車両は例外なくどのメーカーも「アンチダイブ機構」付きのフォークです。
アンチダイブとはフロントブレーキを強くかけた場合のフォークの沈み込みを制御するものです。
現代のサスペンションはタイヤと合わせて性能が高レベルで融合していますのでアンチダイブの必要性がありません。
フォークを分解するのにこのピストン機構を外しますが、その際には緩めるボルト位置に気を付けないとフォークオイルが出てきたり、パッキンを痛めてしまいますので注意が必要です。

 

ここでは分かり易い様にパーツリストで説明しています。


【アンチダイブ本体を外す場合】~38番ボルト

【ピストン部分から外す場合】~37番ボルト

~アンチダイブ本体・38番ボルトを外す場合は「28番」の「Oリング」の交換が必要です。

37番ボルトを外しての作業ではオイルは漏れませんのでフォークを分解しない整備、例えば前輪の脱着などの場合はその方法を使います。今回フォーク分解なのでどちらでも同じ事なのですが、通常整備時の参考になる様にピストン部分での脱着で行っています。


フォークを外し分解まで作業が進んだ状態です。
おそらくドレンボルトを外してインナーをボトムケースから抜いた時、オイルロックピースと共に薄手のワッシャーが3枚出て来た事と思います。
ここは普通にインナーチューブを引き抜くと内部パーツが外れてケース内に落ちてしまいます。
そうなるとオイルロックピースの向きとワッシャーの取り付け位置が分からなくなります。

 

これがインナーロッド先端に付くオイルロックピースとワッシャーです。


~ワッシャーは全部で3枚ウェーブタイプが2枚、曲がりの無いプレーンタイプが1枚

オイルロックピースの広がった部分はワッシャーがピタリと嵌るサイズなので、間違いなくそうだと思い込み上下を逆さまに組まれていた車両を数多く見てきました。

【誤った組付け】

~~~ワッシャーが綺麗に段差内に収まっているのが確認出来ますがこれは誤りです。


【正しい組付け】

~~~ワッシャーはウェーブタイプでプレーンタイプを両側から挟む順序で取り付けます。

フォークの組み立て~フォークオイルレベル調整

輸出車のフォークオイル粘度は「15番」、国内は「10番」が指定です。
一部に出回る情報では内部構造は国内外同じと言われていますがこれは誤った情報。
輸出車と国内では外観同じでも中身は違います。
一概に15番と言ってもメーカーによって動粘度が違うのがエンジンオイルと違って難解な所です。

 

同じ15番でもカヤバの15番と粘度が全く違います。

スズキ15番:47.7、カヤバ15番:55.2

~~~動粘度10の違いは同じ銘柄ですとそのまま10番変わってきます。

動粘度表で確認してワコーズの10番と20番をブレンドして15番を作ります。
これも配合表がありそれを基に混合して作ります。

 

スズキ15番の動粘度、47.7に合わせて
ワコーズ10番を30%、20番を70%の割合で混合すると粘度は「47.2」になり、ほぼ同程度の粘度で完成します。

フォークオイルは10番を120ml、20番を280mlでブレンドして「400ml」の量を作ります。


今回はインナーチューブを新品にするので当然フルオーバーホールになりますが、注入量はメーカー公表値に近い「210ml」の実測値です。

【フォークオイル量】

海外モデルSZ: 227ml
国内モデルSY: 232ml
国内モデルSR: 266ml

トップキャップを外しスプリングを抜きインナーチューブを縮めて、インナー上面からオイル面までの距離を計測します。

フォークオイルレベル
海外モデルSZ: 221mm
国内モデルSY: 176mm
国内モデルSR: 176mm

 

 


新品のインナーチューブ~メーカー在庫限り

カタナの「型」で言うと’83~’84年の「SD/SE」。
2018年時、この年式でしかメインハーネスの在庫は有りません(ファイナルを除く)。
今回交換のインナーチューブは、輸出車各年式同じ部品ですがこれも残りわずか。
余裕のある時に是非購入しておきたい部品のひとつです。

~~~新品でも画像の通り表面に汚れが付着しています。要洗浄

新品とは言っても表面と内部に加工汚れが付いています。
しっかりと洗浄してから使う事が大事です。