ヤマハ RZV500のエンジンが不動に~焼き付きの症状とその原因の解明と修理解説

【O~U】
RZV500 エンジン焼き付き
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【R】

ヤマハ RZV500

★大きく煙を吐いてエンジンがかからなくなりました ・・・ その原因とは★

まずクラッチカバーを外しての確認作業を行います。

 

クラッチカバーを外した画像です。

上と右下にクランクシールが見受けられます。


 

双方のオイルシールを確認すると・・・

 

後バンクオイルシール  

前バンクオイルシール 

 

シールの「リップ」部分が経年劣化で抜けてしまっています

 

焼き付きの原因はシールの抜けによって
ミッションオイルがクランクケースより
シリンダーへと吸い込まれての事でした。

前バンクのシールが壊れた場合、まずミッションオイルが吸い込まれ
オイルが無くなると空気の層が吸い出されていきます。

こうなるとミッションオイルが抵抗となり更には多くの空気も吸い込む事となり、
シリンダーはガスの薄い状態が続き当然の事ながら「焼き付き」を起こします。
後ろバンクシールが先に壊れた場合は多大にオイルは吸い出されませんので、
煙を吐くより前にエンジンは空気過多により焼き付くでしょう。

ケース上部まで分解してみたところ、シリンダー、ピストン、クランクシャフトの全てが
ダメージを受けていて全交換しないとどうにもならない状況でした。

 

 

シリンダーを外しケース内を見ると
予想通り結構な量のミッションオイルが溜まっていました。

砕けたベアリングがシリンダー内を傷だらけにしていて、
クランクケース内にはベアリングの屑が残っていました。

 

幸いなことにヤマハ純正部品でクランクシャフトの欲しい部分は全て残っており(すごいっ!)、
センターシャフト&ベアリング、クランクシール全て新品になり新車の気分です。

 

センターシャフトとベアリングは「1KT」TZR250・TDR250と共通部品です

 

ピストンは純正品よりも大きいサイズ、日本製・オーバーサイズ(0.75mm)を見つけました

→ http://www.tkrj.co.jp/jp/

こちらはピストン製作されている「TKRJ」さん。リプレイス品ですが精度が良く信頼性の高い物で、1.00mmオーバーサイズまで揃っており強力なバックアップです。

 

更に驚いた事に、RZV500ってエンジンを降ろさずにクランクシャフトの交換まで出来るんです!

これって本当に凄い事で、作業性が良いと事実仕事がはかどります

 

 

新品交換後  

 

ボーリングの為シリンダーも細かく分解しましたので、排気バルブの清掃もしました。

せっかくの「YPVS」ですのでペーパーとコンパウンドを使い、
スムースに流体が流れるようにと鏡面仕上げとしました。

画像左が洗浄直後、中は最終仕上げ手前で、右が完成品です

この症状の兆候として白い煙が多く立ち込めますので、いつもより白煙が多く感じたら
特に気を付けて下さい。

この事からもミッションオイルの量はこまめにチェックしましょう