W1S,W1SA,650RS/W3 ~傷んだキャブレターのオーバーホール(油面調整編)

W3
W1S,W1SA,W3 キャブレターの油面調整
W1S,W1SA,650RS/W3 キャブレター・オーバーホール ~調整編

マニュアルに沿って調整方法を解説

サービスマニュアル記載のセッテイングデータを基本により実践的な調整方法を解説しています。

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油面調整 ~フロートを新品に交換

一番重要と言っても過言ではない部分です

フロートの油面はエンジンへと送られる燃料量にも深く関係しますので重要な部分です。
油面が高いとオーバーフローの原因にもなりますし、低いと燃料供給が追いつかず薄くなった様な症状で吹けが悪くなります。
フロートを新しくした時は必ず調整が必要です。複数個注文してそれぞれを確認すると間違いなく全ての油面はバラバラで合っている物はありません。
~~~新品・無調整時で取り付けた時の油面は「26.0mm」です

 

~~~フロートの高さ調整は当たり面の隙間をマイナスドライバーで広げて行います。


 

 

画像で使っているのが「フロートレベル・ゲージ」です。
コンマ何ミリですが誤差はありますのでノギスで正確な長さ・高さを確認してからセットします。
「0地点」はフロートチャンバー合わせ面からとります。リブが立っていますがその高さ(深さ)を測ると「1.5mm」です(個体差有り)。
その高さを規定値から差し引いた数値にゲージを合わせてフロートの高さ・油面を確認します。

W1S,W1SA,W3共に油面は「27.5mm」が標準値ですが経験上許容範囲を0.5mm超えた「29.0mm」が吹けも良くオーバーフローもしない適切な数値です。

 

後述していますが、フロートバルブ・爪側先端部はスプリングで上下します。
新品でもフロートの重みでここは沈みます。
油面調整はこのスプリングが伸び切っている状態で合わせますので、その状態を指で固定・維持した環境での調整となります。

 

 

新品を無調整で取り付けた時の様子。

爪が大きく上方に向いて、フロートが沈んでいる事が判別出来ます。


 

 

 

新品部品取り付け後「29.0mm」に
油面を調整した様子。

爪部分が下方に向き、フロートが無調整時よりも上がっているのが分かります。

(注)~~~記事中での上方・下方はキャブレターを逆さまにした状態で解説していますので、実際には本文とはその逆の意味となります。

 


 

新品のフロートは歪んでいる物が多いので左右を同じ高さに調整

フロートの歪み修正は、油面の調整範囲には幅があるので目視での調整でも大丈夫ですが、キャブレターの調子を維持する為にもフロートレベルゲージやノギスを使って左右均等に合わせる事も大事な作業です。

フロートレベル・油面の調整

マニュアルにある「27.5mm」ですとフロートの状態によってはオーバーフローし易いので、「経験値」としての「29.0mm」を推奨します。この数値ですとオーバーフローし難いのと吹けも良好。

  【ゲージが無い場合の調整方法】

 

ゲージやノギスが無くとも調整は可能です。
フロートの歪みをしっかりと取った後、フロートの「支柱」に注目。
この高さがW1S~W3まで共通の高さ
「28.0mm」です。
この支柱上面より「1mm」高い位置にフロート上面が来るように調整すれば良いでしょう。

 


油面調整時の注意点

  • フロートに穴は開いていないか(耳を当てて振って音でも確認)
  • フロートに歪みは無いか(左右を繋ぐプレートを確認・同位置に修正)
  • フロートピン部分のガタは大きくないか
  • フロートとピン間はスムーズに回転しているか
  • フロートバルブの張力を確認(後述を確認)

フロートバルブ先端(フロート側)はスプリングの張力で上下する構造です。
経年劣化によりこの張力が落ちるとフロートの重さに耐えられず沈み込みます。
調整は必ず沈み込む前の位置、先端部が伸び切った状態で行います。
フロートを指で支え、僅かに触れた位置を維持して高さ・油面の確認・調整を行います。

 



キャブレター・セッティングデータ

セッティングデータと内部構造です
各部名称と燃料の流れまでが分かる内容となっています。
内部パーツのデータまでありますのでマニュアルをお持ちでない方には参考になると思います。

 

クリックで大きくなる画像で御確認下さい。