Wシリーズでの圧縮漏れについて
稀なケースでの圧縮漏れ
相当数の「W」を見てきましたがこの症状は1台だけでしたが、参考になると思いますので解説していきます。
放置された車両は注意が必要
長年放置されたオートバイの末路
何年もキックが踏み下ろされずにいた放置車両はシリンダー内の「錆」に注意が必要です。
同じところにピストン・ピストンリングが固定されていると、数年の間にオイルは完全に下がります。油がなくなったシリンダーとピストン、湿気によってそこで錆が発生してしまいます。
リング状に発生した錆の腐食が酷くなり浸食度合いが高くなったシリンダーは強度が落ちる事になります。
シリンダーの再生は難しい
Wシリーズのシリンダーは「鉄」です
浸食度合いが大きいとオーバーサイズピストン用にボーリングしても錆は取り切れません。
この状態で再生された状態でしばらく乗ると強度の落ちているシリンダーは、リング状の錆びた部分への振動でクラックが入ってしまいます。
やがてそれがついには外まで繋がってしまい圧縮漏れを起こしてしまうのです。
そうなってしまった車両は本当にボア全周近くまで錆びていた物でしたので、ボーリング後早々と割れて圧縮が漏れてしまいました。
長期間使用しない時にはプラグを外してプラグホールから防錆効果の高い潤滑剤をスプレーして対処します。
シリンダーの再生方法
シリンダーの再生方法は2種類です
- スリーブ製作・挿入加工 ・・・数台の実績がありますが、鉄シリンダーに鋳鉄シリンダーを入れるのは至難の業で加工費用は1気筒分でおよそ6~8万円程掛かります。それに付随して上下面の面研も必要となりますので15~20万円程の加工費用となります。
- アルミブロックでの削り出し+メッキシリンダー加工 ・・・これは10年ほど前から既に確立されている製作方法ですが、最近では加工費用も初期に比べるとかなり抑えられたものとなっています(それでもスリーブ加工よりも高額です)。
これらの事からスタンダードサイズ~0.5mmオーバーサイズまでの中古シリンダーが高額で取引されている現状が理解出来ます。