~~~チェーンの「遊び」について、バイクメーカーもチェーンメーカーも「25mm~35mm」位にと車種問わずそう推し進めています。本当にそれで良いのでしょうか~?
本来バイクによってチェーンの「遊び」は変わってくるもの
サスペンションのストロークが大きいオフロードバイクはチェーンの遊びはかなり多めです。チェーンガイドがないと外れてしまう位に大きくとられています。これはサスのストロークが多いと当然スイングアームも大きく動き、空車と乗車での差は非常に大きなものになります。これを空車の状態でメーカー指定の数値に合わせた場合、乗車してサスが縮んでスイングアームが大きく動いていくと・・・。 そうです、チェーンはパンパンに張ってしまいサスペンション~スイングアームの動きを抑制してしまいます。乗り難いどころかチェーンはおろかスプロケットにまで悪影響を及ぼします。
オートバイはドライブスプロケットからの3点構成が重要
「ドライブスプロケット」、「スイングアームピボット」、「リヤ・アクスルシャフト」
この3点からなる三角形を見てみるとスイングアーム・ピボットを頂点としドライブ&ドリブンスプロケット側へと裾野を広げているのが分かります。
~~~この図を見ていくとサスペンションが縮んでスイングアームが上方に向かうと、ドライブチェーンが相当量引き寄せられるのが確認出来ます。
この事から分かる様に空車状態では適正量であった筈の遊びが乗車に於いては引っ張られ遊びが無くなっている状況になります。
最適な調整はリヤサスペンションを取り外して
サスペンションを外しチェーンを任意の位置に合わせた状態で、スイングアームを持ち上げていくと最大値付近で遊びが無くなっていくのが分かります(最大値を超した時点から遊びが発生します)。
テスト車両における実際の数値から検証してみると・・・
Z1での検証結果を基に参考値として例を挙げるますと、サスペンション取り付けピッチが『285mm』の位置がA~C間の最大値になる地点でした。リヤサスペンションを外して測ってみると全長(取り付けピッチ)は「350mm」、ロッド長は「95mm」です。スプリング抜きにその差を見ても「255mm」ですので理論上先の最大値には成り得ませんが、これが理想とされるドライブチェーンの調整方法です。
注意すべき点はチェーンの「遊び」とは下に引いた状態から上に押したその距離をその範囲とします
重要!~~~ドライブチェーン調整後のアクスルシャフト固定方法
皆さんはドライブチェーンの調整後アクスルナットを締める時どうされていますか~??
アジャスターを回して適正な「遊び」を持たせた後、アクスルシャフトを締め込んで固定・・・。恐らく販売店の方々も殆どがこの手法と思われます。
正しくはチェーンの「遊び」、「弛み」を取った状態で締め込んで固定するのが正解です。その方法は2通りあり、ひとつはチェーン下側を上方に押し上げた状態で締め付け。もうひとつはチェーンとスプロケットにプラスチックハンマーや木片を噛み込ませてチェーンを張った状態を作ってナットを締め付けるものです。
アジャスターを回しチェーンを調整→アクスルシャフト締め付け→アジャスター再締め付け→アジャスター・ロックナット固定・・・の順に締め付け、チェーンアジャスターのロックナットは一番最後に固定します