FCRとCRキャブレターのオーバーフロー ~簡易自己対処方法

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FCRキャブレターのオーバーフロー~簡易対処法
FCRキャブレター/CRキャブレターのオーバーフロー

トラブルは突然に・・・、

出先でのオーバーフロー対処法とDIYでのオーバーフロー修理の解説です。

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タンクに錆が無くともオーバーフローは起こり得る

オーバーフローの原因多くはタンク内の錆

フューエルタンク内に錆が発生していたり、ゴミが溜まったものがキャブレターへ侵入。
この辺りが一番の原因となっているのは確かなのですが・・・。

錆以外にもあるオーバーフローの原因

  【オーバーフロー対策について】

  1. ガソリンタンクのメンテナンス(錆が発生しない様にする)。
  2. ゴミの侵入を防ぐ為燃料フィルターを装備(燃料の落ちが悪くなるのでお勧めでない)。
  3. 発進前の暖機をしすぎない。
  4. 乗る回数を増やす(なるべく1ヶ月に1~2回程度)。

1はタンク内部の錆落とし後に2液エポキシ系塗料にてコーティング。
2はゴミの侵入を防ぐ為にフューエルホース間に取り付けますが、稀にこれのせいで燃料の落ちが悪くなった事もあります。
3は暖気でエンジンが熱くなった時には熱伝導によりガソリンタンクの内圧力が高くなり、その圧力が燃料ホースからキャブ本体へと伝わり、オーバーフローしやすくなる傾向にあります。
4は乗ってないとキャブレターのフロートの動きが悪くなりオーバーフローしやすくなるので、乗車回数を増やす事で解消されます。

 


リプレイスタンクで数件あったトラブルですが製造過程での溶接作業、これに伴う「スパッタ」がタンク内部に多数落ちているもの。
スパッタとは溶接した時にその周りにくっつく粒の事ですが、これが取れて(外れて)タンク内部に散乱してしまっていた事があります。
コックのフィルターに引っかかる程度の大きさですのでキャブレターに流れることはまずありませんが、気分のよい物ではありません。
新品でのタンク購入後は取り付け前の内部点検を忘れずに・・・。

FCRキャブレターに見るオーバーフロー

FCRに於いてはエアファンネル下のエアスクリュー部分から燃料が漏れてきます

FCRの場合、ファンネル下に設定された混合気調整用の「エアスクリュー」の穴部分からガソリンが出てきます。

 

画像内金色の真鍮部品、この左側のエアスクリュー調整穴からガソリンが出てきます。
(右側はエアージェット)

FCRとCRキャブレター、オーバーフローの対処法

分解整備が基本ですが出先などで起こった場合に使える簡易修理方法です

オーバーフローの原因はフロートバルブの動きが悪かったり、そこに錆やゴミが引っかかって起きるものが殆どです。
解説には「FCRキャブレター」を使っていますが「CRキャブレター」も要領は同じですので参考にして下さい。

   修理方法 ~その①

燃料コックを閉めてキャブレター下、フローチャンバーのドレンキャップ(六角・14mm)を開けて中のガソリンを放出して中を空にします。キャップを取り付けコックを開け再度ガソリンを流す事によってバルブに引っかかった異物が取れて正常になる場合があります。

一番右側・4番に於いてはサイド回し・オイルクーラーが取り付けられていると、各部にクリアランスが無くドレンキャップの取り外しが困難な場合がありますので、キャップがなめてしまわない様に要注意。

  修理方法 ~その②

この作業はキャブレター内に燃料が溜まっている状態で行います。
燃料コックをオフにしてホースを外します。2本あるホースはオーバーフローの起こっている部分に向かう方を外します。
フロートチャンバー内に圧をかける要領でホースに息を吹き込みます。
「ふっ」と一瞬大きく吹くのではなく、「ふうぅ~」と力強く長めに息を「吹き込む」要領で行うのがコツです。
燃圧をかけ流れを作って押し出す事で解消される事も多いので、この方法は有効な手段です。

 

保管場所でオーバーフローしたのであれば画像の様にオイル差しを用意して、燃料を強制的に送るとより一層の効果があります。

ここまで作業しても直らない場合は分解整備が必要となりますのでレッカーの手配を

この作業によってエアスクリューから燃料が漏れてきますので、ファンネル下にウェス若しくはタオルを引いてから息を吹き込む様にします。

 

しっかりと直す為には・・・

キャブレターの分解洗浄で完璧な修理を

当然の事ながら分解・エアブローが整備の基本であり要です。
前述の修理方法はあくまでも出先での解消方法です、おさまったからもう大丈夫と思わず分解整備を行いましょう(燃料タンク&コックの分解清掃と合わせてきちんとした作業を)。

「キャブレターを取り外すの面倒」と言う人は取り合えずワイヤーを外さずキャブ本体を外しての作業もあります(この方法を助長する訳ではありません、本来きちんと外します)。
その際にはキャブと車体側の傷防止に大きめのマット挟んで対処します。

 

フロートバルブ廻りを分解・エアブローにて異物を除去します。
画像にはありませんがフロートバルブシートも外しての作業を行います。