CRキャブ取り付け時の注意点~Z系ユーザー向け

Z-1
CRキャブレター ワイヤーの取り付け位置
CRキャブレターの基本~アクセルワイヤーの取り付け

簡単な事ですが基本点がしっかりと出来ていないとせっかくの高性能キャブレターもその真価が発揮されず楽しさも半減してしまいます。
しっかりと装着して気持ちよく乗れるように基本をおさえて取り付けをしましょう。


スポンサーリンク

ワイヤーに「遊び」を持たせる

基本中の基本ですがとても重要部分です。
好みもあるので遊びの大小は必ず出てきますが、ハンドルを左右にきった時。
この時点で引っ張られる事の無い様にするのが基本設定です。

         ハンドルの左右で多少なりとも遊びがある事

アクセルワイヤーについては殆どの車両の場合、右にハンドルをきった状態が一番遊びが無くなる傾向にあります(ワイヤーの通し方とワイヤー長さによってその向きが逆になる場合があります)。
クラッチワイヤーはその反対に左にハンドルをきった状態で遊びは無くなります。

これは上記通りにハンドルを切った状態がケーブルが一番張った状態、一番動きが悪い状態になる事によるものです。

キャブレター側ワイヤーを付ける位置を考える

一般的にワイヤー先端部はその形状から「タイコ」と呼ばれています。
このタイコを引っかけるキャブレター側のリンクには様々な車種・ワイヤー長に合わせる為に幾つかの取付穴が開いています(CR,FCR,TMR等、社外キャブレターに限ります)。この取り付け位置を間違えるとワイヤー側ネジ部分がリンク寄りに飛び出し過ぎて干渉・引っかかりが出来たり、その反対に調整範囲を超えてワイヤーの遊びが多すぎる事になったりと問題が発生します。

上記説明以上に重要なのはスロットルを全開に捻った時にキャブレターのピストンが最後まで上がりきっているかと言う事。

 

タイコ位置をひとつ間違えるとスロットルパイプを全開にしてもキャブレターのピストンが半開きの状態になります。

このCRだけでなくFCRとTMRを装着するとアクセルホルダーを変えなくても開度が狭い、いわゆる「ハイスロ」になります。ですので気付きにくいのですがワイヤーを取り付けたらファンネルやパワーフィルターを付ける前に、吸気口を覗いてしっかりと確認する事が大事です。


【実際の取り付け位置】~~~車体右側からの説明です サンプル車両『Z400FX』

ワイヤーホルダーに開いた穴。ここにワイヤーのタイコ部分を引っかけます。
正しい位置は、エンジン側上から2番目が戻し側ワイヤーで3番目が引き側ワイヤーです。

 ★車種によってこの正しい取り付け位置は変わります★

サンプル車両「Z400FX」での全開になっていない間違ったワイヤー位置は、戻し側3番目・引き側4番目にセットされていました。
この様な間違いで全開になっていなかった車両は過去にZ1/Z2でも確認していますから、殆どの車両で起こり得る症状と言えそうです。

同じZ系でも車種によってタイコ位置は変わります。自身の車両にワイヤー取り付け後に必ず全開確認を行って下さい。

オートバイを楽しく・気持ちよく乗る為に

クラッチが重たい・遊びが無い、アクセルの動きが渋い・・・、たったこれだけで乗っていて操作していてとても不愉快になります。
基本的な整備を確実に行えばとても気持ち良く乗ることが出来ます。
旧車に乗るのであれば全て販売店に任せきりにするのではなく、簡単な調整位は自分で出来る様になると様々な場面で自分を守る事にも繋がりますので少しづつ覚えて行く事をお勧めします。
どんなに凄いプロでも最初は右も左も分からない初心者なのですから・・・。


今回整備した車両は私の方に入庫直前に、FX専門の呼び声でエンジンを整備されている店舗にて修理した直後の車両でした。キャブレターセッティングもして貰ったそうですが、残念な事にアクセルワイヤーの遊びが全く無いばかりかキャブレターピストンもご覧の動画の様に最後まで上がりきっていない状態(クラッチ側も遊びは無くパンパン)。
慣らし期間の「カブリ」を嫌ってかキャブセットは薄めでエンジンには少々危うい雰囲気。
エンジン組み立て後に試乗もされた様子ですが前後の空気圧は0.5~0.7kg/㎠程度でした(移動するのに押していて重いのですぐに分かると思います)。
「ウチはエンジン屋だから車体までは・・・」と言われればそれまでの話ですが・・・。
ネットで簡単に様々な情報が手に入る時代ですが、その情報を鵜呑みにするとあまり良い結果にはならないような気がします。二輪車業界一体となりユーザーに優しいクリーンな世界にしようと努力している企業・団体様も多いですが昔も今も変わらず悪評のバイク業界、それまでは一人一人が正しい目をもって見極める様に努力しないとなりません。
整備後の説明にクレーム対象外の話が多かったり補償対象外の記述が多々ある書類を渡されるなど、量販店から個人店まで店舗の善し悪しを見極める材料は色々とあります。
詳細な明細と取り外し部品の提示があるからと言って整備が上手とは限りませんが、それは最低限のお店側からお客様への業務であり義務です。