FCR33 キャブレターセッティング Z1編 ①~ジェットニードルの選定でパワフル&高燃費を実現!セットアップの手順を解説

Z-1
Z-1 FCRセッティング
FCRキャブレター・セッティング ~~~Z-1編

レーシングキャブレターの神髄とも言える「FCR」

ここではそのセッティング方法に関しての解説。
実践に基づいた説明をしていますので仕様は違えどきっと参考になる資料と思います。

 


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キャブレターの有効径は計算式によって導かれる


計算式で導かれるキャブレターの適正口径

D=0.82 √(C x N x 0.001)
d=0.65 √(C x N x 0.001)

D=キャブ口径 mm
d=アウターベンチュリー口径 mm
C=1気筒あたりの容積 cc
N=最高出力回転数 rpm

~~~これは車両の仕様に対しての有効キャブレター口径の導き方の計算式

当サイトでは専門用語&知識はなるべく使わず(時には簡単な単語にして)、
皆さんに分かり易く噛み砕いての説明を心がけていますが、
今回この計算式など話の流れとしてご覧下さい。

「Z-1」~~~初期型では『VM28』 その後『VM26』へと移行

では社外品の『FCR』にした場合、ボアアップ無しのスタンダード・900cc付近では
どの口径を選ぶのが最適なのか??

と言う疑問に際しての回答です。

 


 

今後のカスタマイズも考慮しての判断を

現場での判断では1000ccクラスまでならばCRでΦ31、FCRでは小型ボディのΦ33で
十分対応出来ていました(1000ccではCRはΦ33の方がより良かった)。
では実際に先人の知恵とも言える先の計算式ではどうなのか? 計算してみると・・・。
キャブ口径 = 0.82 √ (1気筒当たりの容積cc×最高出力回転数rpm×0.001)
 35.9= 0.82 √ (225.8cc × 8500rpm × 0.001)
~~~この事から口径はΦ33~Φ35が最適である事が計算式によってはじき出されました。
1000cc(998cc)にしたとしても『37.7』ですので、世間一般的に『37mmは大きい』
と言うのは当たってはいません。

実践のセッティングで判った事

これまでの検証によると、ノーマル・900ccではΦ33~Φ35で、
1000ccクラスならばΦ37と導かれましたが、実際の現場ではワンサイズ落とした方が
街乗りから高速道路上で扱いやすいと言う事。
迷ったらサイズは落とす』~~~これが失敗しないサイズチョイスです。
FCRに関しては経験上ノーマル903ccからボアアップ1100ccまで、ビッグボディの『Φ35』がベストな口径と思います。
スタンダード 903cc  FCRΦ33での実践データ
ピストン    :カワサキ純正スタンダードピストン(903cc)
カムシャフト  :ヨシムラ・ステージ1 (中空ではないタイプ)、バルブタイミング調整有
バルブスプリング:カワサキ純正(新品)
バルブ・ピストンヘッド・燃焼室共に鏡面加工
バルブコッター・リテーナー共にチタン合金
シリンダーヘッド・シリンダー(上下面)・クランクケース(上面)、面研
ポート     :形状変更(拡大無し)ヘアライン仕上げ
マフラー    :ノジマ・手曲げガードナータイプ(一般販売無し)
点火系     :ウオタニ SP-2 フルパワーキット
~~~このテスト車両は内容からしますとほぼ一般的仕様
セッティングに掛けた時間は、毎日朝から晩まで・・・、ではありません。
時間の空いた時に行っていますので詳細な稼働時間は判断出来ませんが、
セットアップ・試乗含め約6ヶ月程費やしています。
今回その一部を抜粋します
ゼットワンワン
ゼットワンワン

スロージェットは

#45~#48あたりで

落ち着くはず

びーのちゃん
びーのちゃん

メインジェットは標準の

#125固定で

作業を進めてね


 

 


 

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 【FCR33 ニードルセッティング】  STD ~ FTM / クリップ位置3段目

 〇T〇  #122 / 1段 ・・・ 全体的に薄い 煙殆ど無い

      #42         アイドリングでパッと開けるとストール 

      #122 / 4段 ・・・ 15002500で引っかかり 煙殆ど無し

      #42

      #125 / 4段 ・・・ 引っかかりは解消 10000以上回る 10000で煙少量出る

      #42         4500付近で若干スムーズさに欠ける 

     ★#125 / 4段 ・・・ 2500前後で軽く引っかかり 全体的にアクセル軽くスムーズ

      #45  パッと開けストールは完暖で落ち着く感じ 開け始めの息つきは無くなる

     #125 / 5段 ・・・ 〇T〇/4段より回転軽くパッと開けのストールはそれと変化無  

      #45

 〇T〇    #125 / 4段 ・・・ ウオタニ・リミット設定の11000までスムース 

              10000以上回して煙少量出る

      #42    アイドリングから開ける瞬間が息つき 

          パッと開けてもストールしたりしなかったり 全体的にスムースさに欠ける

                 スロージェット#42新品 エアスクリュー3/4

     #125 / 3段 ・・・開け始めの息つきはややおさまったがパッとあけの2000程でストール

      #45

     #125 / 5段 ・・・ 開け始めの息つき落ち着くがストールは4段よりも酷くなった

      #45        回転上昇が若干重ったるくなった

 FTR   #125 / 3段 ・・・ 薄い パッと開けると瞬時にストール

     #45         開け初めから5000弱までばらつき・吹け悪い

                 10000以上まで回るがなんとなく重ったるい

 〇T〇  #122 / 4段 ・・・5000回転で引っかかり。最後まで回転上昇しない。ふんづまり状態

     #45         パワー、トルク共に弱い。

 

~~★出口のバッフル取り外しの場合 『〇T〇 #125/4#45』でセッティングOK

     10000回転までパワフルにスムースに回転上昇。かなりパンチがあり速い。

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~以上ほぼ完成に近づいたセッティングシートの参考値です。
ではどれ位スムースで速くなったかと言うと、実際のそれにはかないませんが、
ZZ-R1100の加速に近い体感です(ゼロスタートで)。
ローで引っ張ると9000rpmで105km(メーター読み)
その速度に達するまでも時間は短いです。
別件で雑誌テスターの方が時間を掛けじっくりと試乗した後の感想では、
『1000cc以上あると思える様なパワーとトルク感(排気量の情報は乗る前に伝えていませんでした)、以前乗ったヒルクライムレーサーにとても近い乗り味・印象だ』
との非常に良い感触の評価を頂きました。
実際にはサスペンションを含めた車体のカスタマイズまで行っている車両ですので、
トータルでの評価となりますがエンジン性能をフルに引き出したセッティングと言えるでしょう。
当方では入手出来るジェットニードルは小型ボディ(33Φオンリー)用として
全て揃えてありますので希望に沿ったセッティングが施せます。
もっと細かく詰めた事も出来ますが、京浜の通常ラインナップから外れた番手は
20本単位での受注ですので現実的な費用での作業ではありません。
しかし与えられた番手の中でほぼ外す事無く煮詰めて行く事は可能です。

FCR セッティング総論

 


 大方のセッティングの流れとして
  • 同調確認
  • エアスクリュー開度の調整~スロージェット(パイロットジェット)の変更
  • ジェットニードル番手&クリップ位置調整
  • メインジェット調整

~~~となります。


 

 

西側ディストリビューターからの購入でしたら同調はまず間違いなく寸分の狂いなく
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