フロントのスプロケット奥のオイルシールの交換にはこのトランスミッションカバーの取り外しが必要です。同時に各部のオイルシールとウィークポイントでもあるシフトリターンスプリングまで交換整備をするのがお勧めです。
トランスミッションカバーの取り外し
オイル漏れの原因のひとつに経年劣化したオイルシールがあります。
漏れていなくても今後を考えしっかりと整備しましょう。せっかく分解するのですからオイルシールやガスケットだけではなく、シフトペダルのリターンスプリングも一緒に交換する事も大事です。出先でここが折れてチェンジ不能になってしまうととても不愉快な思いをします(経験談)。
【取り外し順序の概要】
- まずシフトペダル(チェンジペダル)を外します。バックステップ等の場合はシフトシャフトからリンクを抜くだけで大丈夫です。
- セルモーターカバーを固定しているボルト2本を弛めてカバーをフリーの状態にします。
- M6ボルトを4本緩めてフロントスプロケットカバーを外します。
- M6丸ビス3本を緩め、スプロケットをガードするプレートを取り外します。
- 緩み留めのワッシャーを平らに戻してスプロケットを固定するナットを緩めます(ギヤを入れた状態で一気に緩める動作・リヤブレーキをかけた状態、インパクト推奨)。
- スプロケットを外しトランスミッションカバーを固定するM6ボルトを外します。
- 固着したカバーもセルモーターとジェネレターの線が通る部分にタイヤレバーを差し込み抉ると簡単に剥がせます。
- カバーが外せたら各部のオイルシールを抜きます(サイズの合ったソケットレンチを当てて叩き出す)。
- 新しいオイルシールに交換し、各カバーを取り付けて完了です。
タイヤレバーはハンドルの薄いキタコ・キジマ・KTC製品が使い易くお勧めです
各部品交換のあらまし
分解の手順をシミュレーションしてからの実践作業
難しく見えますが手順を追って事前のイメージトレーニングで解決可能!
M6の丸ビスを全て抜き去ったらカバーを外しますが、この時タイヤレバーを隙間に挿し込んで抉ると固着したカバーも容易に外す事が出来ます。
トランスミッションカバーを取り付ける時、このスリーブを先に取り付けた状態でカバーを被せる方法ですと、オイルシールのリップがめくれる事無く綺麗に取り付ける事が可能です。カバー取り付け後にスリーブをセットする場合は、シールリップが内側に押し込まれぬ様に慎重に! 奥にリップが入ってしまった時は極小のマイナスドライバー先端にグリスを塗布し、めくれたリップを引き出す作業が必要となります。この時はシールを傷めない様に十分注意しての作業となります。
シールリップが内側に入ってしまったらスリーブを前後させると直る事があります。スリーブ挿入時にドライバーで広げて内に入らない様にするのもひとつの手段です(その際はくれぐれもリップに傷を付けぬ様ドライバーにグリスを塗る事)。
シフト外部機構を分解したのですから、シフトリターンスプリングも新しい物に交換する事が必至です。純正部品は販売終了していますので社外部品にて対処します。
フロントスプロケットカバーのオイルシールも新しい物とし、スムーズな作動を狙って手前と奥のオイルシール間にグリスを注入します。
様々なシーンで使えるテクニック
各カバー類を外した時に分からなくなってしまうボルトの位置。
毎回長さを測って取り付け場所のチェック・・・、と言うのも大変面倒な作業です。
そこでこれから紹介する方法で解決です。
こうしてボルトを差し込んで見るとどのボルトも「飛び出し長さ」が均一な事に気が付きます。
「+」頭のプラスネジには必ずサイズの合ったしっかりとしたメーカー製のドライバーを使います。
そうする事によってきちっと締め付け可能となり、固着したボルトを緩める時にもしっかりとトルクがかけられスムーズに取り外す事が出来ます。
ベッセル・コーケン・KTC・PB製品が先端強度とグリップホールドに優れています。