Z系キャブレターについてはこれまで多く解説してきました。
今回は見落としがちな清掃部分と、硬く固着して脱着困難な場合の対処方法に焦点を当てて解説しています。
放置車両のキャブレター状況
数年動かしていないと燃料は緑色や茶色に変色し異臭がする状態です。
手に付着すると洗っても臭いはしばらく消える事はありませんので、素手で触れぬ様に必ず保護グローブを使用しての作業を心掛けます。
釣り~魚をさばく趣味の方にはうってつけの脱臭ソープとなります。
どれもガソリンには弱いですが作業中の手の保護には「ニトリルグローブ」がお薦めです。
【数年放置されたZ2の純正キャブレターの様子】
数年動かしていないと燃料が傷み液体が固形化して固まってしまった状態です。
まずはキャブクリーナー、若しくはエンジンコンディショナーで腐食して固形化したガソリンを溶かし落とします。
フロートチャンバーのドレンボルトまで
キャブレターの腐食を整備する時にジェット類含め、どうしても広い面積部分に目が行きがちです。
ここを綺麗にしたからと言って調子が変わる訳ではありませんが、細部まで綺麗にしたいと言うのが整備をする側の気持ちです。販売店でもここを見落とす事も多く、オーバーホール済みと言われた物でもここが汚れたままのキャブレターを数多く見てきました。
溶かす→ノズルで清掃→溶かす ~~~の繰り返しで綺麗に落とす事が出来ます。
新品の純正部品も取り付け前に洗浄
ジェット類は汚れている事はありませんが穴の貫通を確認、フロートバルブセットに於いては保護剤が汚れて付着していますのでパーツクリーナーで洗浄してから組付けます。
各種部品販売はこちらからどうぞ
固着したキャブレターの脱着方法
あると便利な道具を先にご紹介しておきますので参考程度にどうぞ。
メインスタンドが無く、車体を真っすぐに立てた状態での作業をと思う時は便利な道具があります。
レーシングスタンドと違って一人でも簡単に掛け外し可能な「フロントスタンド」。
インシュレーターとクリーナーケース(ダクト)は経年劣化で柔軟性が無くなり硬くなるとキャブレターの取り外しが困難になります。
【実際の作業風景】
インシュレーター側に少量の潤滑剤を塗布すると差し込みが容易になります。
ダクト側の固定用バンドは外しておき、キャブレターセット後に取り付けます。
とにかく十分に温め柔らかくする事が大事ですが工業用ドライヤー・ヒートガンを使う場合、短時間で温まる利点はあるもののパワーが大きいので表面を焦がさない様に気を付けましょう。
コツは吹き出し口をあまり近づけ過ぎず、手を当て温度を管理しながら作業をする事です。
キャブレターの組み込みが完了したらバンドを取り付けます。
画像の様に軽く口を広げ回転させながら取り付けていきますが、2番・3番から先に付けると作業がし易いです。
これでセット完了です。あとはアクセルワイヤーを取り付けて完成となります。
【クリーナーボックスが大型に変更になったZ750F/Z900/Z1000系】
エアクリーナーBOXと別体になったダクトを温めて柔らかくした後クリーナーケースから外し、キャブレター取り付け後に再度温め直してキャブレターとクリーナーボックスの隙間から取り付けると言う方法もあります。この「ダクト」は3年9月現在メーカー在庫有りですので新品交換が望ましい部分です(新品でも取り付け時は温める事を推奨します)。
2・3番シリンダー用、ダクト: 14073-1023 (税込み1628円)
4番シリンダー用、ダクト : 14073-1024 (税込み1628円)