バリオスのオイルと水漏れ ~オイルポンプ・ウォーターポンプの分解整備

【は~ほ】
バリオスのオイルポンプ/ウォーターポンプの分解 ~オイルと水漏れ修理解説
バリオスのオイル漏れ修理 ~オイルポンプ分解

オイルポンプがウォーターポンプを兼ねた構造

バリオスはオイルポンプとウォーターポンプが同軸にある構造ですので、どちらか一方が壊れてもオイル交換・クーラント交換がセットになった修理となります。
(→オイル交換時期に合わせての整備が理想的です)

既に旧車域のバリオスですが高回転型エンジンと言う事もあり油温と共に水温の上昇も気になる所です。対処法としては油温安定性の高いエンジンオイルの使用と共に、温度の上がり難いクーラントを使うのも選択肢のひとつです。

 

 


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オイルポンプの分解

オイルポンプの位置は左側後方のウォーターポンプ奥に

ポンプカバーのドレンボルトを外してクラーントを抜いたらウォーターパイプ固定ボルト2本を取り外しますが、パイプの取り外しはポンプカバーを外してからの方がすんなりと外す事が可能です。

~~~パイプ2本を外したらカバーを外します(ポンプカバーはすんなりと外れます)。

インペラ(羽根車)を取り、オイルポンプケースを外します。ここは2箇所にノックピンが付いているので固着してなかなか取れません。オイルも漏れますので受け皿・トレーを下に置きタイヤレバーで揺さぶりながら外すのが良いでしょう。エンジン側とフレーム側、それぞれに傷が付かない様にウエスではなくタイヤチューブを切った物を挟むと傷がつき難いです。

 

分解時にオイルポンプのローターが外れてしまわない様に車体を真っすぐに立てて作業するのが好ましいです。

 


 

 

 

外されたポンプカバーとインペラです。
古いガスケットはリムーバーやカッターの刃を使って剥がし、仕上げはオイルストーンで面修正します。


メカニカルシールとオイルシールの交換

メカニカルシールの取り外しは「ベアリングプーラー」で行う

メカニカルシールとは回転軸部分のオイルや冷却水を遮断する構造になったもので、オイルシールとは性質が違います。オイルシールは「軸」部分のシールを行いますが、メカニカルシールは回転物を遮断する物です。
 【メカニカルシールの交換】

ベアリングプーラーを使ってメカニカルシールを抜きます。ドライバーで抉るとケースボディを傷付けますので要注意。


 

 

 

メカニカルシールが抜けたらその奥にあるオイルシールを取り出します。
シール座面に残ったパッキンと腐食して発生した錆を落として新しいシールを装着します。


 

 

~~~圧入用にシール外径に合わせたステムベアリングレースを使っています。
新しいメカニカルシールを「プレス」にて圧入して完了です。プレスが無い場合はメカニカルシール外径に合わせたパイプを使って慎重に打ち込むか、パイプをあてがって万力を使って挿入する方法もあります。パンタグラフジャッキを使った挿入方法もありますがそれはまたの機会に紹介します。

 

メカニカルシールの挿入部に開いた穴が2つ。
シールが悪くなると水またはオイルがこの通路を通って外部へと流れ出る仕組みになっています。

 

このケース下部に開いた穴から冷却水若しくはオイルが出てきた場合はメカニカルシールの交換時期のお知らせと思って下さい。

 

オイルの漏れを止める為にここを塞いでしまう人がいますが、そうすると漏れた水はエンジンオイルに、漏れたオイルは冷却水に混入する事となり状況を悪化させる事になるので要注意。

【インペラのシール交換】

~~~メカニカルシールに付属の相手側に当たる部品です。
細いマイナスドライバーで軽くこじると簡単に外れてきます。取り付けは指で押し込むだけで大丈夫です。

オイルポンプ・ウォーターポンプの組み立て

古いガスケットを除去して汚れも落として脱脂洗浄

組み立ては取り外しの逆を行うだけの簡単作業です。
当然の事ながらガスケットとOリング、そしてオイルシール類の全ては新品部品に交換します。


オイルポンプ分解の部分で触れましたが、オイルポンプのローターが外れてしまった場合は注意が必要です。十字型のインナーローター裏にはシャフトと固定する為のピンが入っています。
ローターが外れてしまうとそのローター・シャフトの角度によっては、一緒にピンが抜けて脱落する事もあります。最悪の場合ローターがずれた時にピンが抜けてしまった事態に気が付かず、そのまま組んでしまう事もあるかもしれません。そうなると当然油圧は掛かりませんしピンがエンジン内に脱落したままになって不安を抱える事にもなってしまいます。

~~~インナーローター裏はこの様にピンの入る凹みがある形状になっています。

ピンの取り付けは稠度(ちょう度)の高いグリスを使って固定して行うと作業し易いです。

~~~以上を踏まえて慎重な作業を心掛けると後のトラブルも無くスムーズな作業が行えます。