CBR250RRを題材にしたトラブル実例 ~突然電源が入らなくなる

【A~G】
電気系統の修理方法を解説
MC22/CBR250RR ~走行中に電源が切れて不動に

CBR250RRの実例で解説していますが他車種でも発生した事例です

通常走行中に突然エンジンストップ。そのまま何をしても電源が入らない状態になりました。

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オートバイの電源が入らない理由とは

様々な原因が考えられるのですがその幾つかを例に挙げると・・・。

  • 断線
  • 配線のショート
  • メインスイッチの不良
  • バッテリー上がり

~~~以上が主な原因です。


断線
ハーネス・配線の中では幾つもの部分で色の違った配線同士や、複数の同色線が繋がっていたりと、
見えない部分で接合されています。その部分が腐食して切れてしまう事が旧車・絶版車両では多い修理でもあります。これはメインハーネスからカプラーとギボシ端子類を全て外して1本1本テスターで追う作業となります。配線図があると場所の特定が早くなり作業性も向上します。

配線のショート
これも断線の時と同様の作業内容となりますが、配線図があっても場所の特定は難しくかなり時間の掛かる作業です。メインハーネス内だけでなく、スイッチBOX内部であったり電装品内部でも発生しますのでかなり手強い修理となります。

メインスイッチの不良
これはスイッチ下側の接点プレートが経年劣化・熱で歪んでしまい、接点が離れて接触不能になって起こる症状です。カプラーを外してテスターで確認するとすぐに判別出来ます。修理方法はスイッチ下側を分解し、ヒートガンで接点プレートを温めて真っすぐに修正します。その直後にパーツクリーナーにて急冷して形を整えたら接点を磨いて完了です。必ずテスターでの確認作業を行ってから車体に取り付けます。

バッテリー上がり
これは一番疑わしき部分ですが新しくしたばかりですとそこに目が向かずに迷ってしまいます。
電圧低下はテスターで確認出来ますが、一部の内部的な不具合までは分かりません。ですので無名メーカー品が装着されている場合はしっかりとしたメーカー品に交換しての確認が必要になります。

 


実際の点検作業 ~電装部品

外装類は全て取り外しメーターから電装部品もステーから取っておきます

今回のケースではメインヒューズが切れている状態でした。
メインスイッチOFFの状態でも新しいヒューズを取り付けると瞬時に切れてしまいます。
経験上こんな場合はどこか電源線同士ががっちりと接触している雰囲気を感じます。


このような状況下では各電装ユニットを保護の為に最初に外しておきます。
CDIユニットとレギュレターは非常にデリケートなので点検以前に外します。
部品単位で確認するとすでにレギュレターは中で断線していました。走行中に突然起こったショートにヒューズと共にパンクした様子です(赤ー緑間)。

ホンダ車のレギュレターはジェネレターからの黄色線3本と電源の赤線、そしてアース側の緑線の合計5本から成り立っている物が多いです。

 

 


実際の点検作業 ~各部配線

各部のカプラーとギボシ端子を外していきます

闇雲に外さず部分的に順序立てて外します。ヒューズを外した状態でまずメインスイッチ廻りの配線を外し、そして新しいヒューズを取り付けてみて切れるかどうかを確認。~~~と言った具合にヒューズを多く用意しないとなりませんが、こうして少しずつ外しながらの確認方法は不具合箇所を絞り込むのに適したものです。こうして作業を進めて行くと今回のケースは周辺部品内ではなくメインハーネス内との診断が出来ました。

カウル付きはカウリングを、ネイキッドはヘッドライトユニットを外して点検に備えます。

~~~過去の経験ではメインハーネス内でのショートは1回もありませんでした。
ですのでそれも踏まえて更に検証を進めていきます。

実際の点検作業 ~原因解明

最終点検後の診断結果は・・・。

結論から言うとハーネスは正常、全く問題ありませんでした。
購入後1ヶ月程度、テスターでの判別も問題無し。でも原因は中華製の『バッテリー』でした。

過去にも数件同じケース・同様の修理がありましたので最初に疑うべきでしたが、修理車両が絶版車両・旧車であった事とテスターの診断に惑わされた結果少し遠回りした結果となりました。

以前同様の修理入庫がありましたが、車種は「CB400SF」で中華バッテリー。
新品購入後半月でバッテリー上がりとなり充電後またすぐにバッテリーは放電していました。
しっかりとしたバッテリーを買い直すも残念ながら「レギュレター」はパンクしていました。
その他にもパンクしたのがレギュレターではなく「CDI」だった車両もありました。

実際の点検作業 ~品質管理

どのような作用で電気系に悪影響を及ぼすのか

悪さのメカニズムは分かりませんがひとつはっきりと言えることは、
電気の要・バッテリーは高額でも信頼性の高い国内ブランド品を使うと言う事。

安く買えたバッテリーで高価な電気部品を壊すのは本末転倒です。

~~~中華製ジェルバッテリーです。 要注意製品です。

CBR250R(MC19)、CBR250RR(MC22)共にバッテリー型番は
『YTX7L-BS』です。

経験上バッテリーは『GSユアサ』、『台湾ユアサ』、『古河バッテリー』から選ぶのが間違いありません。