アドレスV125Sの故障診断 ~エンスト後エンジンがかからない・吹け上り不良

【あ~お】
アドレスV125G/V125S エンジン不調の原因と解説
アドレスV125Sの不調 ~エンスト、吹け上り不良の修理実例

アドレスV125Sに多い不調の原因を解説

原因解明に繋がる一通りの修理箇所を案内しています。


スポンサーリンク

エンジンが掛からない・吹け上り不良 ~その症状内容

  • 信号待ちでエンスト
  • アイドリングからアクセルを開けるとエンスト
  • 走行中にエンジンがストール
  • エンジン掛かり難くかかっても吹けない

~~~以上の様な症状がアドレスV125Sに多い修理依頼内容です。

二度とエンジンが掛からない訳ではなく、すぐに再スタート可能でもまた同じように止まってしまったりとインジェクションなのにキャブ詰まりの様な症状です。

不具合部分の解明 ~実例に基づいた原因

考えられる原因の全てを解説

アドレスV125Gにも当てはまる箇所もありますので参考にして下さい。

 【実例に基づいた原因部分】

  1. エンジンの「カーボン噛み」
  2. バッテリー不良
  3. 燃料タンク内のガソリンの劣化
  4. インジェクターの詰まり
  5. アース不良(V125Gに多い)
  6. イグニッションコイルの不良

不具合部分の解明 ~6つの原因を解説

これら全てを次々に行っていけばどこかに当てはまる筈です

①のカーボン噛み
これは距離を重ねていなくても起こり得る症状です。
対処方法としてはエアクリーナーBOXを外してエンジンをかけ、アクセルを開けて回転を上げながらキャブレタークリーナーをスロットルボディ吸い込み口から注入します。
すぐに回転が落ちてくるので注入はものの1~2秒程、アクセルは開けたままキープ。
白い煙が多く出てきますのでこれが少なくなるまでアクセルを軽く吹かします。
車両状態にもよりますが、これを5~10回繰り返します。
この作業を2回行っても症状が変わらない場合は原因が違うと判断出来ます

エアクリーナーBOXを外して、エンジンをかけながら(中~高回転キープ)キャブレタークリーナーを注入します。回転が落ちてきたらエンストする前に注入を止め、回転が上昇したら再度注入・・・の繰り返しを5~6回行います。

酷い場合にはプラグを抜いてプラグホールからキャブレタークリーナーを注入してしばらくの間放置して内側から溶かす事もあります

②のバッテリー不良
ネットで数千円で出回る中華系バッテリー。すぐに放電して終わってしまうのであればまだ良い方で、中には車体側電装系を壊してしまう厄介な物も存在します(過去に4台ほど経験有り)。
電気も点くしテスターでも異常値が出なくても中で電力供給不良を起こし、半ばショートしているような状態になっている事があります。ですので正常に近いバッテリーを用意して実際に交換して確認作業を行います。これはサイズが違ったり完全な新品でなくとも点検は出来ますのでしっかりとしたメーカー品を取り付けて確認します。

『GSユアサ』『台湾ユアサ』『古河バッテリー』・・・このあたりがトラブルなく安心して使えるトップメーカー・バッテリーです。『ACデルコ』『ショウライバッテリー』も性能が上がってきています。
AZバッテリーも当たりを引くと5年程しっかりと使えますが、製品差が大きいのが特徴なメーカーでもあります。

最近は「スーパーナット」の性能が上がってきている様子ですが、まだまだ上記のメーカー品には到達しないレベルで、不良品も多いのが実状です。
個人的に「台湾ユアサ」を使用しています。これは「GSユアサ」のパッケージ違いで中身は同じ物ですので、高性能な製品を低価格で提供出来る為です。既に数百個の使用経験ですが不良品は「YTX4L-BS」の1個のみ。他は「YTZ14S」が1個・1年半持たなかった程度です。
10年も前はメーカー保証が1年付いていましたが(GSユアサ)、その後半年になり今では1ヶ月となっています(現在GSユアサは中国製です)。

~~~本来「YTX7A-BS」ですが点検には手元にあった「YTX12-BS」を使いました。
高さが違うだけですっぽりとケースに収まる大きさです。

 

 

③の燃料タンク内のガソリン劣化
キャブレター車両では分かり難いのですが、インジェクション車は顕著に表れます。
燃料が古く劣化しているとアイドリング不安定・吹け上り不良、そしてアクセルをパッと開けるとエンストと今回のケースによく似た症状で、なかなかこれに気が付かないで修理が滞る販売店も多いです。タンク内からポンプで燃料を抜き出し、抜き切れない物はウエスなどで吸い込ませて取り出します。新しい燃料を注入してエンジンの確認をします。長い期間寝かされていた車両はまずここを疑いましょう。

④のインジェクターの詰まり
これも寝かされていた車両にありがちな原因のひとつです。
インジェクターを噴射ポートから外してセルを回します(ホースは外さない)。
この時先端部から燃料が吹き出てくれば正常です。

~~~アドレスは「青いカプラー」の付いたのがそれです。M6ボルト2本で外せます。

⑤のアース不良
これはV125Gに多い不調原因ですが、アース線がセルモーター固定ボルトに共締めされています。そのお互いの面が錆びて腐食していたり荒れていると電気の流れが悪くなり、アイドリングが不安定になったりエンジンの掛りも悪くなったりと現ケースと同症状に近い物になります。

~~~125Gは車体右側から簡単にアクセス出来ますが、125Sは左側からとなります。
ですのでエアクリーナーBOXを取り外さないとこのアース線は外せません。

⑥のイグニッションコイルの不良
125Sに多いトラブル箇所です。
ある程度長さのあるプラグキャップを用意し入れ換えて様子を見ます。掛かりの悪いエンジンが多少でも解消されればほぼ間違いなくコイルとキャップを含めたイグニッションコイルの不良です。

 

良くなった事で安心せずに、
ここで一旦キャップを元に戻して症状が最初の悪い状態になる事を確認する事が重要です。
確認できたら部品の発注です。

コイルが悪くなる原因はコードに付けられた「タイラップ」。
これのおかげで被覆内の水分が下に抜けず、コイル付近に溜まりコードとコイルの接続部分が常に湿気を持ってしまいじわりじわりとコイルが侵されていくと言うメカニズムです。このタイラップは新車時に良かれと思って使われていますが、早々に取る事をお勧めします。
タイラップを取り去ってコイル本体側のみシリコンで被覆との隙間を埋めてしまうのもひとつの手立てです。

~~~コイルを外すとこの白いタイラップで止められ、溜まっていた水分が出てきました。

時々は陽気の良い日にプラグキャップを外して、自然乾燥させるのもトラブルを未然に防ぐ方法のひとつです。


      【スズキ純正部品】

  • イグニッションコイル : 33410-04J00-000    ~3250円
  • プラグキャップ    : 33510-20E-000      ~1200円
  • シール、キャップ   : 33541-47D00-000 ~280円
  • シール、プラグコード : 33542-33G00-000 ~330円

*** 価格は税別です


アドレス整備について ~オイル警告灯のリセット方法

ホンダもスズキも要領は同じです

オイル交換作業が終了したら忘れずに「オイルチェンジランプ」のリセットをします。

  • メインスイッチ・オフ
  • メーターボタンを押したままメインスイッチをオン
  • そのまま5秒程おくと点滅していた警告灯は消灯 → 完了

~~~簡単操作でリセット作業は行えます。