高回転型エンジンの宿命
2万キロも超えてくるとエンジンのあちこちからメカノイズが発生します。
タペット音は車種問わず出やすいのですが、高回転に振られたエンジンではヘッドからケース下方面まで様々な音が出てきます。カム周りの消耗・焼けによるものであったりカムチェーンの伸び、カムチェーンガイドの消耗・損傷は致命的です。
エンジンからの異音とメカノイズ
ガラガラ・ジャラジャラ アクセルを戻すとジャアァァーン
音を言葉にするとそんな感じでしょうか・・・。
2~3万キロ走行のバリオスではエンジンからの異音が大きく出ている車両が多いです。
上記のガラガラ音はアイドリング時に出る音で回転が上がるのに合わせて音は小さくなります。
シャラシャラ・ジャラジャラ音も同じですが、アクセルを戻した時に音が一瞬大きく出るのも
「カムチェーン」による所が大きいです。エンジン内部にあるとは言えチェーンは必ず伸びるものです。伸びてくるとチェーンが暴れてこれらの音が発生します。
対処方法としてはチェーンを張る為の機構「カムチェーンテンショナー」のメンテナンスが重要で、分解清掃が必要です。
バリオスのカムチェーンテンショナー
整備し易い所にあるので整備性が良好
値段も安く整備も容易ですので分解整備と言うよりは新しい物に交換する事を推奨します。
部品番号:12048-1106
テンショナーアッシー
税別定価2760円です。
品番統一となり色も黒で届きます。
バリオス1と2では部品番号が異なりますので互換性は無いかも知れません。
(本件はバリオス2での修理)
本来シルバーエンジンでテンショナーも同色なのですが、統一部品となり色が黒に変更されています(車体番号注文ですので間違えた訳ではありません)。
3万キロを超えたエンジンのテンショナー
テンショナーはM6ボルト2本で固定されています
テンショナーを外すとカムチェーンは弛みます。ですので誤ってセルを回したり、ギヤが入った状態で車体を動かしたりとするとバルブとピストンの損傷は免れません。こんな事をしてしまう事は無いと思いますが十分に注意して作業します。
明らかに潤滑不良を起こしています
テンショナーの付いている場所が上方向という構造上(球の付いたリングがロッドを押さえて戻らない役割をしています)、ここまでオイルが上がってこないのでしょう。ここはグリスを溜めておくのもひとつの整備方法ですが、正面の「+ビス」を外してオイル差しでエンジンオイルを補給する方法をとるのが正解です。新品に交換後は定期的に注油してあげましょう。
(潤滑性能の高い潤滑剤の注入も良いです)
カムチェーンテンショナーの取り付け
新品での取り付けは容易、メンテナンス清掃後の取付は少々のコツ
取り付け時、ガスケット・パッキンの役割の「Oリング」は必ず新しい物と交換します。
新品でテンショナーを買うとOリングは付属してきますのでダブらない様に注意。
新品は既に縮められているのでそのまま取り付けるだけですが、分解清掃して再使用の場合は「+ビス」を緩めてからプッシュロッドを押し込んで縮めます。この状態で+ビスを締め込んでプッシュロッドを固定し、エンジン側へと取り付けます。
取り付けが終わったら「+ビス」を緩めて「カチャン」と音がすれば作業完了の合図。
この音は固定されて縮んでいたプッシュロッドが開放されて伸び、カムチェーンを押し込んだ音です。
緩めた「+ビス」を締め込んで作業完了です。
プッシュロッドは球の付いたベアリング状の部品によって押し戻される事はありませんが、カムチェーンが大幅に伸びている場合はロッドの突き出し量も大きくなりますので長く突き出たプッシュロッドは暴れてしまう事になります。
距離が伸びたエンジンは「エンジンオイル」に気を遣って早め早めの交換を心掛けると長く元気に走らせる事が出来ます。