旧車に使いたいエンジンオイル「アッシュ/A.S.H」~オイル上がり対策にも!まだ知られていない驚異の性能とその特性

W3
Z1/Z2 お勧めオイル
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旧車用エンジンオイル~旧車にお勧めのオイルを紹介

Z1/Z2、「Z系」で是非とも使いたいオイル

Z1に乗り始めてから約30年、現在に至るまでに数えきれない程の種類を使い、それは良くも悪くも自身の経験として養われてきました。

最初に奮発したオイルは当時の憧れオイル、「モチュール300V」 ~これはまだ学生だった自分には本当に頑張ったオイルで当時の定価は1Lあたり3600円でした(!!) 機械音は減るし、きっちりと暖まるとスムースに吹け上り、夏場オイルクーラーが無くとも熱ダレとは無縁でした(モチュールと読めずにモートルと言っていたのも今では懐かしい思い出)。

種類は忘れましたが、その後入れたオイル「カストロール(これも当時の定番)」 ~200kmしかもちませんでした・・・ 旧車・空冷エンジンでのオイル交換時期の目安として、エンジンをかけてすぐに発生する「カシャカシャ」と言う機械音 これが通常10~15秒でパタッと消えるのですが、オイルがヘタると30秒経過してもその音は消えません そう、それが交換時期を判断する目安としていました ・・・で、このカストロールは200㎞程度で音は消えず機械音も大きく発生していました。

歴代で最高と思っていたオイルは現在販売中止ですがそれはBP社の「コース・クラシック 20W-60」で、本当に素晴らしいオイルでした 鉱物油なので相性が本当に良く、今でも使いたいくらいです。

 

粘度も最高の「20W-60」

これよりも軟らかい「ライト」もありましたが、この硬い方がとても良かったです

→でも決して硬いと感じた事はありませんでしたし、真冬でもセルは元気よく軽く回っていました

 

 

その後選んだのがワコーズ「タフツーリング

25W-50を使いましたが特に良いと思えるところがなく、それでもしばらくこれを使っていました

W3でも使っていましたが、ガスケットが抜けオイル漏れする車両もありました(営業サイドからはガスケットの抜けは無いと最初に説明を受けましたが・・・)

Wに関してはやはり鉱物油が良いとの結論

~~~このオイルは某有名カスタムショップさんと和光ケミカル共同開発の商品ですが、あまり感動の無い一般的なオイルのセッティングとなっています。

使い始めてしばらくしてからその共同開発経緯が入ってきましたが、聞いて納得「あぁ、やっぱりね」という感想でした。

CB400FOURで検証~アッシュ・オイルの実力

現在最も良いと考えるオイル、それが「A.S.H/アッシュ」 旧車に相性が良い「PSE 15W-50」。

このオイルは鉱物油ベースでノンポリマー(ポリマーは潤滑要素分子。エンジン内で撹拌され、せん断されるとオイル汚れの原因となります)。

エステル配合でまず油膜が切れる事はありませんしクラッチの切れも良く、ミッションタッチも素晴らしい程に変化します。

 

CB400F(70年代車両・通称「ヨンフォア」)にて

ワコーズ・タフツーリングとアッシュ・PSEにて体感テストを実施しました

 

車両の状態はエンジンフルオーバーホール後、慣らし完了の状態で計測

ピストンがヨシムラ製ボアアップ・ピストン(460cc)でカムは純正、キャブはオーバーホール+ピストン以外の内部パーツ全交換、マフラーがモリワキショート管、~~~といった仕様の車体です

 

 


 

【実施日は7月初旬 天候:晴れ】

☆最初に入れたのはタフツーリング「25W-50」。  夏場には最適な粘度設定

悪くないどころかとても良いフィーリングです。しかしヨンフォアの特性上回転の上昇は穏やか、そしてスピードのノリも大きくは感じられません。 ボアアップピストンで重量が増えている分、それがいわゆる「重量抵抗」になっているのか? ボアアップによる恩恵は確かにあるけれど(トルクが少し増えた)、気持ちよくレッドゾーン付近まで回るかと言うとそうではなかった(あくまでもこれは「ヨンフォア」と言うべき感触が残っている雰囲気そのまま)。 ここでアクセルを開けた時に感じる振動とエンジンの硬さが気になってきました。 OH済みでカムチェーンから全て新しくなってはいますが、空冷独特の機械音は聞こえてきます。 少しラフに扱っても厚い油膜に守られている感じが伝わってくるのは安心感があって使い易さの一要因になっていました。 これらは全て一般道のみ10km程走っての感想です(油温安定までの暖機・試走除く)

10kmしか使っていないタフツーリングを抜くのはもったいないのですが、お互いの条件を一致させないと比較にならないので潔く交換です。


 

☆オイルを入れ替えアッシュ・PSE「15W-50」の検証に移ります。

交換直後・エンジンをかけた瞬間から「音」が違います。オイルチェンジ前、決して苦しそうではありませんでしたが明らかに今の方がスムーズにアイドリングしています。機械音も間違いなく少なく静かです。油温が安定したのを見計らってアクセルを空吹かしすると非常に滑らかな感触が右手を伝ってきます。期待を胸に走り出し、クラッチとミッションのフィーリングを確認するとタッチは変わらないけれどギヤの入りの良さを感じます(そしてここでアクセルを開けた時に感じた振動も消えている事に気付きます)。ゼロ発進フル加速に於いてはアッシュの方に軍配、回転上昇スピードが遥かに上でセッティングを変えたかのようにパワーの差が歴然です。中間加速も良くなり「これってキャブセッティングの検証だっけ?」と思う程に・・・。

バイクが速くなったのはオイルのせい?オイルでバイクって速くなるのか!? 乗っていてワクワク楽しくなってくるのって凄いオイルだ 同じコースを走っているのにオイルチェンジ前はそう感じなかったし・・・。

 

・・・タフツーリングは守りのオイルでアッシュは攻め・攻撃的と感じた今回の検証でした

 

画像が不鮮明ですが、ミネラル+エステルの部分合成油と記載されています(鉱物油ベース)。

ノンポリマーで空冷エンジンやクリアランスの大きいエンジンに最適とも説明されています。

 

PSEはBPクラシックと違い完全空冷用ではありませんので、90年代水冷で走行距離が伸びている車両にも効果絶大なオイルです。
油温も上がりにくいのでGPZ900R/忍者など、ヒートブロック・プラス(クーラント)と合わせて使うと素晴らしく良い状態になることは間違いないです。

 


 

意外かと思われがちですが、かのVFR750R(RC30)。今では旧車の範疇に入ってしまう名車ですが、この「V型エンジン」はとにかく熱を持つエンジンです。
現在のオートバイに例えるとスーパースポーツの部類ですが、これに使っても最高のパーフォーマンスとなるエンジンオイルです。

また、Z1000R/JやCB750F/900Fなど、80年代旧車たちで多いのがオイル上がりでのオイル消費。酷いと1000km走行で1L消費なんていうのも当たり前で、長距離乗る人には大問題です。私が携わっている方でも同症状車両は数台おりまして、全てこのオイルにチェンジで対処しています。 そうですこのオイル、オイル上がりの原因のシリンダーポケット(様々な要因でシリンダースリーブ下部に段付きが出来てクリアランスが最大値になる)を埋めてくれる様子で(ミネラルの効果が大きいと思います)、このアッシュはオイルの消費が抑えられるのです。CB900Fのお客さんに関しては消費が半分になりました。それも消費しない様にオイル添加剤を併用している状態からの半分ですので実際の効果・数値はもっと大きいと思われます。

~~~タフツーリングでうっすらと漏れていたZ1/Z2で定番のオイル漏れ箇所・ジェネレターカバーの配線部分。ここのオイル漏れがアッシュPSEに換えてからその漏れが止まりました。
~~~化学合成油を使っていたW3のロッカーケースやタペットカバーのガスケットから漏れていたオイルが、このPSEに換えて暫くするとあんなに出ていたオイルが出てこなくなりました。
上記オイル滲みの解消は「鉱物油ベース」の恩恵が深く関わっていて、オイル粒子密度含め化学合成油よりも隙間を埋める特性による所が大きいと思われます。20年以上前の規制・対策によって過去の含有物となった材質にアスベストがありますがこれの作用は大きく、規制によってガスケットの成分として含まれなくなった途端にオイルが漏れやすくなりました。アスベストがオイルを遮断する性質を持っていたのです。現在のガスケットは漏れると言ってもガスケットに染み込んだオイルが「染み出てきている」だけの話で、絞ったスポンジから水が滴るかの如く出てくるメカニズムなのです。100%化学合成油では漏れてしまうものを、鉱物油は粗い粒子によってアスベストと同じ作用でオイルを遮断しているものと考えられます。

 

 


 

クラッチ張り付き防止用オイル

アッシュ・オイルを使うきっかけになったのがピンクの缶が目印の「アッシュ・FS」

輸入トライアル車にある問題が解決せずその解決策になったのがこのオイルで、そこから始まり他の種類に興味を持ったのが発端です。

(モンテッサ・HRC/RTL・BETA・シェルコ・GasGasなど)

その問題と言うのは「クラッチの張り付き」で、毎日乗っている車両でも酷い時にはガッチリとくっついてしまい、最悪の場合カバーを外してクラッチプレートを剥がしてやらないとなりません。

そこでこの「FS」を使うとそれまでの事が嘘のようになるくらい張り付かない・張り付いていても2分の暖機運転で軽く剥がれるようになりました。FSに辿り着くまでに同メーカーのオイル2種類目で解決したのは営業マンの知識の豊富さによるものが大きかったと強く感じます。

 

乳化対策には「VFS  5W-30」
原付Ⅰ種に多く見られるオイルの「乳化」。
同メーカーのVFSには『5W-30』の設定があり、この化学合成油を使うと撹拌抵抗が極めて少ないので短い距離の使用に於いても結露し難いので乳化現象が抑えられると言う大変嬉しい効果が認められました。

5Wとは言っても上が30までありますので夏場でも全く問題なく十分な使用に耐えられる優れたオイルです。 原付Ⅰ種Ⅱ種問わず乳化でお悩みの方々には是非使って頂きたい優秀な4サイクル用エンジンオイルです。



自車両Z1も現在タフツーリングから入れ替えられ「アッシュPSE」にしています

ハイカムの為クリアランスが広く音も出ていましたが音量半減、900ccあってもパワー感は実感出来ます。何と言ってもアクセルが軽くレスポンスが向上したのが嬉しいですね。私の場合ギヤの入りが大きく変わり、軽く入る様になったのは紛れもない事実。また、掻き上げ不足でのシフトミスとなった時(ありがちな1速→2速で)、ニュートラルになっていたのがスムーズに2速までいくようになりました。これは軽いタッチでも確実な変速が可能になったと言う事だと考えられます。

オイルひとつと言っても様々なノウハウ・検証・研究開発によって作られているんだと改めて素晴らしい技術と感じた瞬間でした。