フロントフォークのオーバーホール ~マジェスティ250編

【ま~も】
マジェスティ250 フロントフォークのOH
マジェスティ250のフロントフォークOH

ここでは型式「SG20J」を例にしてビッグスクーターのフロントフォークを解説しています

ローダウンされていたりメインスタンドが外されていたり・・・。
何かと整備性の悪い車両が多いですが工夫するとジャッキアップも容易です。

スポンサーリンク

最初の課題はジャッキアップ

  フロント用スタンドをリヤに使用

メインスタンドが無いとフロント側のジャッキアップが不安定になりますが、
ビッグスクーターはリヤタイヤサイズが太くないのでフロント用スタンドが使えます。
(幅が140サイズになると使用不可。130サイズが限度です)

こうする事によって車体が安定、しっかりとした固定が出来ます。
この状態で前側の腹下にフロアジャッキを当ててフロントを浮かせます。

 

 

フロントフォークの取り外し

ビッグスクーターではトップキャップを外す

通常のオートバイと違いスクーター系はフォーク・トップキャップで固定されていますので、アンダーブラケットから外すにはこのキャップを取らないとなりません。

通常工具の入る隙間が無いのでトップキャップを緩める専用工具が必要となります

~~~画像の様な六角ブロックをキャップに嵌め、スパナを使い緩めます

サイズは「17mm」です。直角に曲がった六角レンチを切って工具を作るのも有りです

~~~オフセットの付いていないフラットなコンビネーションが作業に適しています。

オイルレベル・油面の調整

取り外したフォークの洗浄

スプリングを取りフォークを逆さまにして古いオイルを抜いたら洗油を注入して数回ストロークさせ内部洗浄します。2~3回繰り返したら逆さまの状態で乾燥させます。

この方法はあくまでも「DIY」の為の簡易的洗浄方法です。
販売店としての通常業務では分解して洗浄・組み立てを行います。

フォークオイルレベル調整

洗浄・乾燥が終わったフォークを垂直に固定します。
オイルの油面調整はスプリングを抜いてインナーを一番下まで押し込んだ状態で行います。

【サービスデータ】
フォークオイル粘度 : 10番
フォークオイル量  : 148cc
フォークオイルレベル: 93mm
フォークスプリング長: 279mm (ダブルレート)

フォークオイルを規定量より少ない100cc注入し、10回程インナーをストロークさせます。
後半、斜めに回転させながら行うと内部に残った気泡が抜けやすくなります。

インナーを押し込んだ状態でメジャーを差し込みインナー上面からの距離を測定します。
93mmなので100mm差し込み、7mmのラインにオイル線があればOKです。
(110mm差し込んだ時は17mm)
規定値になる様に少しづつオイルを注入・測定を繰り返して数値を合わせます

他車種・参考画像

~~~他車種整備時の画像ですので数値は違いますが参考にして下さい。

フォーク組付け時の注意点

フォークスプリングの上下について

フォークスプリングには2種類の形があります。
ひとつはシングルレートと呼ばれるもので、これは線径の間隔が均等なタイプ。
もうひとつはダブルレートと呼ばれ線径の間隔が不均一なもの。
シングルレートはその名の通りスプリングの張力が均一で、反対にダブルレートは目の詰まった方が柔らかく間隔の開いた部分が硬いと言う特殊な性能を持っています。

ダブルレート・スプリングを使った車両は車種によって上下が違います。
マジェスティの場合は目の細かい方が「下向き」です。

スプリングとワッシャーをせっとして車体側・アンダーブラケットに挿入・組付けを行います。
こうして左右しっかりと油面を合わせる事によって快適に乗る事が出来るでしょう。