大型部品のカウル含め細かい部品まで修正出来る
高価な部品だったり旧車にありがちな絶版で入手困難な部品はこの手法で修理。
経年劣化で分解時にクラック・割れが発生した場合は接合や補強が可能です。
溶かし込みに加えて補強メンバーを埋め込む
ハンダゴテも様々な形状の先端部に交換できるタイプが販売されています。
これらを上手く利用して上手に溶かし込みが可能ですが、実際には表になる面を溶かしたくない部品が殆どですのでせいぜい部品の厚み中腹程度での溶かし込みが限度です。
そこで補強部品を作って中程まで溶かし固定を行って強度を上げる方法を使います。
補強材には「ピアノ線」を使います。
適度な長さに切り出したピアノ線を「S字」に曲げて作った物を溶かし込みます。
曲げはラジオペンチ先端を使うと容易に加工出来ます。
大きさは割れた部品の部位に合わせてその都度臨機応変に対処して作成します。
~~~ここでは線径が「0.7mm」の物を使用しています
実際の作業を解説
ビッグスクーターのメッキのハンドルカバーをサンプルに解説
メッキ皮膜のある部品については半田ゴテで溶かせませんので予めペーパーで削り落とします
一番簡単なメッキ層の剥離は、第一段階の溶かし込み・仮止めの途中で溶かしながら剥がすのが一番良い方法と思います。
【コテによる仮留め】
【補強材の溶かし込み】
まず「S字」部品を横向きにセット。
割れた部分の中心に置きます。
補強材にコテを押し当てます。
樹脂部分にコテが触れない様に、ピアノ線のみにコテ先端を当てます。この状態をしばらく保持するとピアノ線全体に熱が伝わり線は高温になります。
【溶かし込み完了】
熱せられたピアノ線を部品の厚み中腹まで押し込んだら、周囲の溶けだした樹脂を上から被せる様にして埋めてしまいます。そして即座にパーツクリーナーで冷却して完成です。
ここまでスピーディに作業するように心がけないと奥まで熱が達して表面が歪んでしまいますので注意。
~~~必要に応じて数箇所に補強材を埋め込むとより効果的です。
この方法は25年以前に自分なりに考えた手法ですが、しばらくして海外メーカーから専用コテとS字補強材がセットになった工具キットが販売されました。これには驚きましたがその後数年で姿を消してしまいました。 (余談)
薄肉部分と狭い部分の接合方法
基本的に同じ作業で行います
S字部品の形状を少しだけ変更して補強材を作ります。
サイズもその部分に合わせて、狭いのならばより小さく作り対応していきます。
ここまで出来ると本当にしっかりと補強されますので、ボルト固定も安心して行えます。
カウルに於いても同様の処置でしっかりと裏打ちされますので絶版車両には朗報です。