W1S,W1SA,650RS/W3 フューエルタンクの「クラック」~割れの原因と修理方法

W3
W1S,W1SA,W3 燃料タンクのクラック修理方法
W1S,W1SA,W3 フューエルタンクのクラック

Wの修理で多いのがフューエルタンク上部・ボルト固定部分の「割れ」

原因は燃料タンクを固定するボルトを最後まで締め込んでしまう事によるものです。こうする事によって取り付け部分にストレスが発生し、バイクの振動で溶接付近からクラックが入ってしまうと言うものです。


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通常の修理方法~間違いのない修理方法

色々と考え、費用が掛からない様にと試行錯誤して様々な方法を試してみましたが、最終的にここは溶接した後リペイントの方法が一番良いとの判断です。

上手な板金屋さん・塗装屋さんでしたら部分塗装で済ませられます。お店にもよりますが当社指定工場ですと20000~25000円(税別)の範囲で色合わせ迄可能です。タンク全体を塗り直すと70000~80000円程かかりますので部分塗装で終わるのは良心的な修理方法です。ベース色部分を全て塗り直してクリヤー仕上げでも上限価格で収まる計算です。
溶接修理は補強作業も含めて10000~15000円です。これらを高いと感じるか安いと思うかは当事者の判断に委ねられますが、しっかりと直したい方にはこの方法が一番のお勧めです。

その他の修理方法

ワコーズの「タンクライナー」を使って割れ部分にコーティング剤を集めて(タンクを逆さまにして硬化させる)割れた隙間を埋めてしまう。この方法はかなりいける修理法ですがタンクが振動で揺すられた場合、コーティング剤が剥がれてきてゆくゆく燃料漏れの原因になり兼ねません。そうならない様にする為にはタンク上部に溶剤を溜めて完全硬化させたのち、タンク全体にも幾度となくコーティング剤を回し全体的な肉厚を増やしていかないとならず、金額も時間も相当数掛かってしまいます。

ライナー層を厚くすると強度は上がりますが、5~8年程するとライナーが収縮し剥がれて来る事があります。その場合錆の再発防止とライナー層の補強を目的として再度ライナーを注入します(その時は溜めずに残ったライナーは全て抜きだす事)。

 

 

内側に「FRP」を貼って割れた隙間を埋める方法
これはかなりのテクニックを要しますがこれで仕上げられれば強度的にも問題が無く費用も抑えられます。ただし給油口から内に貼り付けていくのでそのテクニックはかなり高度な物が要求されますのでDIYではかなり困難です。

どの選択肢を選ぶにしてもタンクマットは必ず新しい物を使う事が必要条件です(複製品が出回っています)。そしてタンクボルトはあまりキツく締めず、タンクが動かない(理想はタンクを上下させた時に微妙にガタツキがある事)ギリギリのところで締め付けを終わるのが好ましいです。ボルトが抜け落ちない様に時々「へそゴム」を外して締め付け確認するのを習慣づけ、タンクが取れない程度にボルトは最後まで締め込まない事を心掛けます。

現在割れていないのならば早目の対策が必要不可欠。こうなってしまう前にタンクマットの交換と適切なボルトの締め付けでタンクを労わって使っていきましょう・・・。

↑↑↑溶接にて修復されたタンクホール

クラックが入る前に前述のワコーズ・タンクライナーでタンク支柱部分の補強を行うのもひとつの対策方法です。1回目の注入乾燥後の2回目タンクライナー注入後、まんべんなく行き渡らせたら最後にタンクを逆さまにして(液体が支柱に集まる位置で)硬化させれば完了です。注意すべき点は注入量全てを中に残すのでは無く、フューエルコック部分より粗方抜いてから逆さまにするのがポイントです。

 


タンク修理後の割れ対策とは?

修理されたタンクと、今現在割れていないタンクの双方での今後の割れ対策をご紹介致します

タンクホールにストレスをかけない

この一言に尽きます。
ではどのようにして対策を講じるか?
タンク固定用ボルトを長い物に交換して若干の隙間(クリアランス)を作ってタンクをフリーの状態にする事。たったこれだけの作業でタンクのクラック予防・防止となります。
(画像は製作品の対策ボルト)

 

タンクフリーになると転んだ時はどうなるの?と心配される事と思いますが、試作品装着車両で不幸にも転倒してしまった方に限って言えば、取り外し点検してみるとタンクホール部分は無傷・ダメージはありませんでした(内部コーティングの割れ・剥がれも無し)。

要望が多かった製品でしたので今回作製した物『対策タンクボルト』を販売する事にしました。

下記お問い合わせ欄からご連絡下さい。