W1S,W1SA,650RS/W3 ダイナモのオーバーホール② ~分解編

W3
W1S,W1SA,W3 ダイナモのオーバーホール②
W1S,W1SA,W3 ダイナモのオーバーホール

ここでは分解から洗浄、組み立て準備までを解説しています

分かり易い様に状態の良い物の画像を使って説明しています(室内保管車両から取り外し)。
通常分解すると汚れと錆でベアリングが固着、ローターが外れず分解困難な物が殆どです。

スポンサーリンク

本体はボルト2本で固定されています

M6ボルト2本を外すとダイナモケースは分解可能

  ボルトヘッドは少し特殊なサイズ「9mm」です。

  • ケースの上下(前後)はこのボルト2本を外すと分割出来ますが、実際にはブラシ部分と共締めの配線を外さないと完全には分割出来ません(ブラシをカバーしているバンドを取ってブラシと共締めになった配線を外し、ブラシケース側を先に外すのが本来の作業順序です。)。
  • 水色と黄色線の出ている側のベアリングが錆で固着していると、ケース間に隙間は出来てもなかなか外れて来る事はありません。
  • ダイナモスプロケット側はローターとカバーのクリアランスがきついので、ここは一体になって外れてきます。
  • 腐食が少なく正常である場合はローターシャフトがスプロケット側のカバーと一体になって本体から外れてきます。

 

ローターASSYを取り外した内部の状態はこの様になっています。
一番奥で十字に出ているのがカーボンブラシです。

ダイナモの分解作業

ダイナモケースの分割

ここでは分かり易い解説の為、状態の良いダイナモをサンプルにしています

実際には中が錆びていたり汚れでベアリングが固着し、分割するにも相当に時間の掛かる物が多いのが現状です。

ダイナモケース上下(左右)を固定している2本のボルトを外したらケースの分割が可能です。ケースカバーの位置合わせに極小のピンが入っていますので無くさない様に気を付ける事。これは上下1本づつ計2本使われています。硬くはありませんので抜いてしっかりと保管、整備が終わって組み立てるまで無くさない様に管理します。


 

 

分解前の確認事項として、ブラシ部分をカバーする「コンミテーターバンド」の留め部分の位置があります。
本来の位置は画像の様に配線部分の並びに来るのが正解です。

ケースの分解が出来ました。
状態が良いと画像の様に容易にローター・アッシーが抵抗なく抜けてきます。


 

 

ブラシをカバーしているコンミテーターバンドを取ってブラシと共締めになった配線を外し、ブラシケース側を先に外すのが本来の作業順序です。

分解されたダイナモ

ダイナモカバーとヨーク(本体カバー)、ローターASSY(ダイナモカバー付き)そしてフィールドコイルの4点に分割されたダイナモ

 

フィールドコイルは外側8個のビスを取る事によって外す事が出来ます。
(純正では「-」ビス)


 

 

汚れの逃げ場がないケース内では様々な部分にカスが付着・堆積していきます。
水を使っての洗浄も乾燥をしっかりとすれば問題の無い部分ですので、洗浄剤を使ってしっかりと汚れを落とし綺麗に再生します。


ローターシャフトからダイナモカバーとベアリングを外す

マニュアルでも解説している様に取り外し作業は「プレス機」を使って

プレス機を使ってダイナモカバーからローターシャフトを抜き去ります。酷く固着している場合に叩いてしまうとシャフト先端部が潰れてしまい、スプロケットナットが取り付け出来なくなる事になります。
ブラシ側のベアリングも同様にプレス機で抜き取ります。

DIYで行う場合はトラックなど自動車用の車載工具でもあるジャッキ(油圧タイプ)を使って抜き去る事が可能です。
(注)パンタグラフジャッキでは無理がありますので油圧タイプを使います

ローターASSYの状態確認

コンミテーターとはカーボンブラシの接触する部分を指しています

 

幾ら状態の良い物と言ってもブラシカスで汚れているのが通常です。サンプルに於いても汚れはしっかりと確認出来ます。


 

 

カーボンブラシが消耗しその削れた粉末がコンミテーターの「溝」部分へと蓄積されると、各セグメント間が短絡(低い抵抗で接続される意)してしまい正常な整流作用が行なわれない事となります。ですので不具合の発生を回避する為にも分解時に綺麗に清掃・除去しないとなりません。

コンミテーターの清掃・整備

清掃工具にはピック・千枚通しと紙ヤスリ

先ずは紙ヤスリ(ここでは「800番」の耐水ペーパーを使用)にてコンミテーター表面の段差を取りつつ汚れを落とします。次に先端の尖ったピック・千枚通し等を使用して1本1本溝に蓄積されたカーボンカスを落としていきます。


 

 

作業を丁寧に行うと御覧の様にコンミテーターは蘇ります。
ブラシ交換を怠り、カーボンブラシと配線を留めているピンがこのコンミテーター表面を削ってしまっている物を幾度か確認しています。
そうなると最悪の場合ローターASSYを交換しないとなりませんので、ここは早々に整備する事をお勧めします。

電源線・配線の再生

ダイナモから出ている「水色」・「黄色」の線を新しく交換します

水色の配線は一般的に入手が難しいので一般的な「青線」を使って配線の入れ換えを行いました。
古い線は下段部をペンチ等で開いた後、上段のハンダ部分をコテで溶かして古い線を取り去ります。
(注)高出力をかけないと純正のハンダは溶けません


 

 

配線の入れ換えが終わったら、元の通りに赤線と束ねます。黄色線はフィールドコイルギリギリの所で新しい線と挿げ替えます。
絶縁を完璧にする為、熱収縮チューブを2重にして対処します。

 

 


 

配線に使われる純正の端子・古い金具だとハンダの溶け込み不良を起こしやすいので画像の様な液状の「フラックス」を使用すると良いでしょう。
これを使う事によってスムーズなハンダ付け作業が可能になります。


 

【ダイナモのオーバーホール③~組み立て編へ続く】