W1S,W1SA,650RS/W3 ~ドライブチェーンの遊びとスプロケットの関係

W3
W1S,W1SA,W3 ~リヤスプロケットのセンター出し
W1S,W1SA,W3 ドライブチェーンを新しくしたのに「遊び」が不安定!?

新品のドライブチェーンと前後スプロケットを交換

3点共に新しくしたのにドライブチェーンの遊びを確認するとどうも様子が変です。
新品のチェーンなのに遊びの差が大きくなるこの原因とは一体何?


Wシリーズのチェーンサイズとリンク数は『530-96L』です

チェーンメーカーはEK(カワサキ純正指定です)、RK、DIDの3社がお薦めです


スポンサーリンク

前後のスプロケットを交換する

「W」のドライブスプロケット交換はクラッチ回りの分解が必須

Wシリーズのフロント側スプロケットの交換は取り外し品が多く、それに伴う調整もありますので作業費用も高額になります。フロントスプロケットを交換の際はおそらくリヤ側スプロケットとドライブチェーンもセットで交換される事と思いますし、それが最善だと考えます。

今回の案件は3点セットでの交換を行ったのにドライブチェーンの遊びが不安定と言うものについて考察しています。

フロントチェーンケースの取り外し方はこちら

 


ドライブチェーン遊びの確認方法

メインスタンドを使って後輪を浮かせて確認

センタースタンドをかけた状態で後輪を回転させ、各部分での遊びを確認します。

ドライブチェーンを1周させて遊びを見てみると張り具合は一定ではなく、その場所によって緩急ある事が分かります。これは(チェーンの遊びは)しっかりとしたチェーンであっても必ず起こる事象です。但し伸びの少ないチェーンであればその緩急差は少なくなります。

正しいドライブチェーンの調整方法はこちら

 


純正以外のリヤスプロケット交換時は要注意!

Wシリーズ対応品でも注意が必要

リヤスプロケットに関しては現在入手出来る対応品の精度の問題で、ハブ側・位置合わせ用の段差とぴったりと収まらずにセンターにズレが生じます。更にここはボルト3本で固定されていますが、クリアランスも大きい取付穴ですので当然中心は合いません。

結論から先に説明しますと現在入手可能なリヤスプロケットの精度の問題で、スプロケットハブの座繰り・段差へとスプロケットが合わない事。これによってスプロケットセンターに狂いが生じるのです。

対処方法~リヤスプロケットの「中心」を探って固定する

ドライブチェーンの遊びを一定にする為の修正方法

スプロケットセンターがずれていると偏芯状態となりチェーンの遊びが変化するのです。

リヤスプロケットの位置をなるべく中心に持って行く事で、限界はありますがドライブチェーンの遊びを一定にする事が可能です。

【スプロケットハブの検証】

 

スプロケット・ハブを検証してみるとその構造が良く分かります。

 

よく見てみるとハブ側中央部分にはスプロケット位置を固定する為の段差がありません。
その代わりにハブ外周部分にスプロケットとの位置合わせ用の段差が作られています。

 

ハブ外周部分には僅かに切削された段差がとってはあるものの、今現在入手可能なスプロケットの多くは段差とピッタリ一致しませんのでボルト穴部分で遊んでしまいハブとの中心は合いません(特にクロームメッキされた製品)。

画像のスプロケットは「42丁」表記のある純正品で、段差のエッジがぴったりと合うのでセンターがしっかりと出ています(振れ取り台にセットすると目視で0.2mm台)。

広く開いたボルト穴によってスプロケットは「0.7~1.0mm」移動します。
ドライブチェーンの遊びが均一にならない事象はこの移動量によって起こるのです。

【スプロケットセンターを合わせる対処方法】

なるべく中心に合わせる方法を解説していきます

【スプロケットの基本~間違えてはいけない表裏】

 

スプロケットの「表」になる面は、先端から段差までの距離は約「20mm」です。


 

スプロケットの「裏」になる面は、先端から段差までの距離は約「23mm」です。

この「表裏」を間違えると相当量のズレが生じますので十分に気を付けましょう。

現在入手出来るスプロケットは段差の処理が甘い事で隙間が出来易く、特にクロームメッキ処理での販売品はガタツキが多いのが特徴です。これによってスプロケットセンターが狂ってしまいますので今後の製品改良に期待します。

手の入るスペースを確保する為、左側サイレンサーを取ると作業性が向上します。


 

 

そのままの状態ですと御覧の様にきつい部分と緩い部分の差が大きく、これでは調整の意味が無くなってしまう程の大きな差です。


 

 

まずスプロケットを固定するボルト・ナットを緩めますが、完全には緩めずスプロケットが動くか動かないかの微妙な具合です。


 

 

次にドライブチェーン中心部分を下から上へと押し上げながらリヤホイールを回転させます。
そうするときつく張る部分が分かりますのでその地点でチェーンを強く上に押したまま固定。
用意したプラスチックハンマーでチェーンの掛かったスプロケットを前方へ押し出すイメージで叩いて移動させます。

こうしてホイールを回転させながら全箇所での平均的な所でスプロケットを固定します。

入手可能であれば純正・新品を装着する事が理想的です

今回はリプロ・スプロケットへの対応方法を解説してきましたがご自身の車両も一度確認し、遊びの振れ幅の差が大きい場合はスプロケットの表裏とセンターも確認すると良いでしょう。

純正対応品はクロームメッキ品よりもユニクロ処理の製品が精度が高いので、購入の際は後者を選ぶことをお勧めします。

 


Wシリーズに使いたいお薦めのチェーングリスはこちら