フォーク組み立て時の重要事項
インナーチューブ表面の消耗
インナーチューブには必ず「擦り減り」がある
チューブ表面をよく見ると擦れて光っている部分があるのが分かります。
それはオイルシールがフォーク表面に押し付けられて起こる消耗で、分解時に気を付けて見ると「インナーチューブ前面」にその擦り減りが発生している事に気が付く筈です。
これはインナーチューブが進行方向に向けてオイルシールに強く押し付けられて出来る傷で、加速時・減速時共に常時接触で発生するものです。厳密にはこの面は凹んでいる状態でこれによってクリアランスが広くなり、この隙間からオイルが漏れ易くなります。
インナーチューブはメッキされていますが、水分で表面の微細なピンホールから必ず錆は発生します。一番良い錆対策は「WPC」加工ですが、こまめにチューブ表面に防錆剤の入った潤滑油を塗布する事で状態を維持出来ます。W3はブーツで隠れていますがこれが曲者で、水分が逃げにくく湿気がこもり錆の発生原因にもなりますので時々めくって潤滑剤を与えましょう(洗車後は必ず捲って乾燥させる事)。
ワコーズの『メンテルーブ』がお薦めです
フォークの前後を入れ換えてオイル漏れ対策に
フォークOH時とそうでない時も定期的に
傷の付いた面が分かる様にマーキングします(ここでは分かり易い様にペンで矢印を書いています)。この面を車体後方に向けて回転させるだけの簡単な対処法です。
OHした時は必ず、フォーク整備をしなくともタイヤ交換時に合わせての同時作業にするなど定期的に擦り減った面を回転させると良いでしょう。
W3のインナーチューブを参考にすると、トップキャップから「400~430mm」の部分で擦り減っています。これは丁度オイルシールがセットされている位置と一致します。
走行距離が多く早くもチューブが1周してしまったら・・・。
その時は新品にするのもひとつの手段です。
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これはZやWに限ったものではなく全てのオートバイに共通する方法です。
これからの整備の参考になれば幸いです。