Z750FX1/Z1000Mk2のブレーキ整備① ~フロントマスターシリンダーのオーバーホール・分解/組み立てと清掃方法

Z-1
Z750FX1/Z1000Mk2のフロントブレーキ整備①
Z1000Mk2~純正マスターシリンダーの分解と組み立て

Z750FX1とも共通のマスターシリンダーです。
台形のキャップが特徴的な純正マスターの分解・清掃と組み立てまでを解説しています


 

オーバーホールに必要な純正部品を揃える

必要な部品の半分は販売終了です

マスターシリンダーのリペアキットはまだ販売中ですが、カップ下に入るOリングとキャップ下のダイヤフラムとプレートは廃番です。

リペアキットに加えてブーツとカップ下のOリングの3点をセットにした物を、当サイトでもご用意があります。

 


 

マスターシリンダーの分解と組み立ての手順

Z1/Z2に比べて比較的容易に分解・組み立てが出来る構造

リザーブタンクカバーを外し、タンク内の「+」ビス2本を取ると画像の様に本体と樹脂タンクが切り離せます。

★ブレーキフルードが塗装面に付着したまま放置しますと、塗膜を犯し剥離されてしまいますので要注意! こまめに水で流すように心がけましょう(フルードは水で分解されます)。

 

Oリングをとり、溝に詰まった錆とフルードが固形化した汚れを掻き落とします。


 

 

ピストン側はZ1/Z2用と違いサークリップでは留まっておらず、画像左側の樹脂クリップが本体側の溝に嵌っているだけの固定方法です。この上下にある爪を押してロックを解除するだけでピストン一式が抜けてくる構造ですので分解と組み立てが容易です。


 

~本体の分解が済んだらOリングと同様に汚れを落とし、最後はアルミクリーナーで錆を落とし、洗剤で洗浄して清掃作業は完了です。


 

ラバー部分にブレーキ用ラバーグリス(ここではシリコングリス)を塗布します。

各部品の順序を間違えない様に組み込んでいきます。

おおまかにはこの様なセットアップになります。
スプリングの次にピストン、そして「コの字」リング、ブーツ。最後に樹脂クリップで押し込んで固定となります。


 

ピストンの溝にブーツを取り付けます。


 

樹脂クリップを被せます。


 

「コの字」リングはこの様にブーツの下に入ります。


 

樹脂クリップを押し込み、上下の溝に合わせて爪を嵌め込みます。


 

 


 

上下の爪が溝に最後まで入っているか確認します。
画像左は嵌っていないので白い樹脂クリップ先端が微妙に飛び出ています。
画像右では最後まで押し込まれ、爪も上がっているので樹脂クリップはマスター本体の端面とツライチになっているのが見て取れます。

爪が入り切らない場合は樹脂クリップをマイナスドライバー等で押してあげるとすんなりと嵌め込む事が出来ます。
切り欠き部分の左右を均等に押し込みます

 

 


 

組み立てのちょっとしたコツ

少々の気遣いで作動性が上がります

ピボットボルトはベルハンマー・グリス、レバー側は耐水性能のあるグリスをピボット内部に加え、面で接触する上下面に塗布して組付けます。

レバーに押されるピストントップには、固めのブレーキグリスを使います。

こうする事で各部がスムーズに動き、それがブレーキの効きに直結する様になります

今回の作業に使用したケミカルは4種類です。

 


 

マスターキャップ・カバーの割れ

マスターシリンダーのトップカバーは樹脂製、ここにクラックが入っている物も多いです

4つあるネジ穴部分。過去に強く締め付けられて割れているキャップも少なくありません。
この部分は「溶かし込み」が使えませんので、ここでは「金属パテ」を使用しています。
24時間で完全硬化するタイプがありますので、硬化後に金工ヤスリと耐水ペーパーで仕上げます。内側は細かい段差があり、ペーパーなど使えませんのでパテを塗る段階で精密ドライバーのマイナスを使って成型しておきます。
余程強い力で締め込まなければこれで十分漏れ対策になります。

  今回使用した物は「JBウェルド」の2液混合タイプです