Z1000J/Z1000R クランクケースの「クラック」の発生メカニズム~その対策方法とは

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Z1000J/Z1000R クランクケースのクラック対策
Z1000J/Z1000Rに見られるクランクケース後方・上部の「クラック」
~~~驚くべき事になんと5台に2台以上の確認事例。古い年代の車両設計にありがちな「未完成」な部分です。このトラブルはZ1000J~Z1000R1/Z1000R2に多く発生する症状です。
4点あるエンジンマウントの主要部分・前方2箇所がリジットではなくブッシュの入ったラバーマウントなのがこのトラブルの主原因です

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エンジンマウント4点支持~そのうち2箇所が「ラバーマウント」

エンジン前方2カ所の固定方法が「ラバーマウント」ですから、これでは他のリジット2点はエンジンの揺れが振動としてダイレクトに伝わってきてしまいます

クランクケースへの「クラック」を未然に防ぐ対策方法とは

ズバリ社外品の「リジットマウント・キット」を使う事です。

以前はクラックの入るマウント部分とフレームを繋ぐ部分(スペーサー)をフレームに溶接する固定方法・補強を行っていました。Z1000J/Z1000RのフレームはZ1/Z2から進化していて、軽量でありながら主要部分には補強がなされ強度の高い物となっていました。それを踏まえて先の部分1箇所のみの補強を施すことによって必要十分なフレームと生まれ変わる物となりました(1100ccボアアップでも十分な対応)。

 

この手法を使うと17インチラジアル仕様では役不足を感じるかもしれませんが、19~18インチフルカスタムではなんら問題なくバランスの取れた車体になります。


 

 

溶接補強をせずとも現在ではリジットマウント・キットが入手可能ですので、これを使って前方2点全てをリジットにするだけでクラックのトラブルは防げます(リジットにしても振動の伝わりは少なく全く問題の無い車体が作れます)。

 

 


クラックの入ってしまったクランクケースですがクラック部分を削り取った後に、アルゴン溶接にてアルミを盛ってから成形すると言う修復作業で直す事が可能です
なぜクラック部分を削り取るのか? これは削らずに溶接してしまうとクラック先端部が残った場合にそこから再度クラックが伸びてしまう為、クラック進路を完全に断つための重要な作業なのです。
現在でも純正部品のラバーマウントは揃いますので新品交換をして左側後部のスペーサーをフレーム溶接で補強をしても元来完成度の高いフレーム構成ですので、今後のボアアップ・排気量アップまで視野に入れたとしても車体作りとして十分な価値があります