36Φ、36mmフォーク用、往年のモリワキカヤバが復刻されて早20年。当時まだ現役だったZ1000Jベースの「Z1000P」のフォークASSYを基本にカスタマイズされた製品です。当時の製品もポリス用が基本でしたのでボトムケースにその名残としてフロントフェンダーステーの取り付け部がありました。凄い事に1997年に再販されて以来2019年現在定価の変更はありません。PMCカヤバでさえ50000円アップしていると言うのにこれは素晴らしい事です。
Z1純正フォークとの構造を比較
【検証結果報告】
スプリングレートの大きな変更はなさそうです。測定機にかけてはいませんので憶測の範囲ですが、硬くするよりもむしろ0.25kg程レートを下げているレベルと思われます。各部のオイル通路をうまく考えている様子で、これによって伸び側ダンパーを制御してフワついたノーマルフォークよりもしっとりとしたセッティングになっているのだと思います。ボトムケース容量が大きく、内部エア・エアバネの効果もより一層高くなっています。一番の特徴のスライドメタルとブッシュの恩恵は大きく、車体全体がしっかりとした感覚が特徴的です。車体が傾いた状態でギャップを越えるとノーマルでは「カチャン」とボトム内側面とインナー表面がぶつかる音が出ていたものですが、メタルとブッシュが入ったフォークはしなやかでスムーズ。本当に効果絶大です。
Z用モリワキカヤバ~セッティングデータ
- フォークオイル量 : 278cc (誤差、前後3ccまで)
- フォークオイルレベル: 142mm (フォーク全屈、スプリング、カラー抜き)
- フォークオイル粘度 : カヤバG10
- 封入エア圧 : 1.0kg/㎠
~~~再販直後にこのインナーをRS用純正ボトムケースを組み込もうと各方面へボトムケース内のボーリングを依頼しましたが、1997年当時にそれを出来る業者はありませんでした。現在もお付き合いのある大手の加工会社を通して朝霞研究所系列の製作所を紹介頂きましたが、「これは何の車種ですか?」の問いに対し「カワサキです」と返答したところ丁重にお断り頂きました。ここは嘘でも「ホンダ」と答えるべきでしたね(朝霞はホンダのお膝元ですから・・・)。
現在では最新カートリッジを純正フォークに組み込んで外観はノーマル、中身は最新式フォークと言った芸当が当たり前に出来る時代です。前述の様に大変な思いをして業者を探さなくとも当時では想像すら出来なかった作業が可能です。
Z1/Z2が現役だった頃を偲んで装着するならば良いですが、サスペンションを良い物にしたいと思う場合はこれを使うよりも先の純正フォークベースで「内部カートリッジ化」をお勧めします。カヤバやショーワサスに換装する費用プラスアルファで素晴らしいフォークが手に入ります。そうする事によってブレーキを既に変更されていてもキャリパーサポートの変更などの追加費用も発生せずにサスペンションのチューニングアップが図れます。