「チューブレス化せずチューブレスと同等に」
リム内側を加工してチューブレス化するキットが以前より販売されていますが、加工が面倒なのとリムによってはエア漏れを起こすなどトラブルの可能性も少なくありません(XR230他)。
作業方法としてはリムの成型時の繋ぎ目をヤスリで平らに修正し、専用のエア漏れ防止シートをニップルの上からリム内面に貼り付けていくと言う物です。
基本的にチューブ用リムの形状はチューブレスホイールの様に、タイヤの「耳」が収まる様な形にはなっていません。空気圧が低下するといわゆる「耳落ち」を起こし、リムからタイヤが内側に滑り落ちる事になります。ですのでチューブレスキットを組み込む場合は、社外リムの「MT」表示の物に交換しないと安心して使えません。この「MT」はチューブレス用ホイールと内部形状が同じでタイヤの耳が嵌るようにリブが立っています。
チューブレス化については一長一短ありますがその他、パンク防止剤を入れると内側に貼ったエア漏れ防止シートが防止剤の成分から劣化を引き起こしてしまう可能性もあります。ですのでチューブレス化した場合のパンク予防には、タイヤ内側に厚手のテープを貼り付けるタイプの製品を使う事になります(パンクディフェンスキットの製品名で販売されており、バイク1台分で約2万円程掛かります)。これは当然の事ながらタイヤ交換後には再度新規購入して貼り付ける事になります。
新提案のパンク予防・パンク防止方法 ~チューブ併用の「KA法」
この方法は特に難しい加工も無くチューブをオフロード競技用「ハードチューブ」に交換し、これにパンク防止剤を組み合わせるだけの簡単な作業です(ここでは「KA法」と呼びます)。
ハードチューブにも種類がありますのでそれにさえ気を付けて選定すれば良いだけで、異物がタイヤに刺さった場合にエア漏れでタイヤが瞬時に潰れる事はありません。
この仕様を既に25年以上前から施工していますが、パンク確認後に空気が漏れて帰還不能になった車両は1台もありません。現在はロードサービスも充実していますので安心ですが、始めたばかりの頃はロードサービスも特殊で携帯も無い時代でしたのでとても喜ばれたサービスでした。
ロードサービスも携帯も整った現在でも、パンクしても空気が漏れないのでツーリングを継続出来ると言う事を考えると是非行いたい「装備品」とも言えるでしょう。
エア漏れをしないメカニズムとは
普通のチューブにパンク防止剤を注入するだけでも良いのでは?
通常のチューブですと生地厚が薄いのと生地自体の強度がありません。
釘が刺さった時を仮定しますと、回転しているホイール・タイヤに働く遠心力の作用で穴の開いたチューブはそこから縦方向に引っ張られる事になります(釘が瞬時に抜けてしまえば良いのですが当然そんな事は有り得ず)。この様に刺さったままの釘がチューブを裂いていく構図になり、チューブに開いた穴は拡大されていきます。こうなると防止剤に含まれる繊維質よりも隙間が大きく開いた傷穴から空気は逃げてしまいます。
そこでこれを抑止する為ハードチューブを使います。ハードチューブは生地も厚く強度もありますから、異物が刺さったとしてもチューブが裂ける事は無く空気の逃げ道が出来難いのでパンク防止剤の効果がしっかりと発揮されます。この事から防止剤はハードチューブと合わせて使う事によって性能の全てが発揮されるのです。
【仕様実例】
IRC・井上ゴムの物が一番重く硬い素材でプラスチックの様に感じる程。
試行錯誤の結果後輪には先の「IRC製」を使い、ハンドリングと丈夫さの双方を考えて前輪には「ダンロップ製」若しくは「ブリヂストン製」を使うようにしています。
ハードチューブ装備は販売店に依頼すべき
DIYで工具と共に揃えて実施・・・。
結論から申し上げますとかなりハードルが高いです。
数えきれない程のタイヤ交換数をこなしてきましたが、生地が厚くボリュームのあるハードチューブをタイヤに入れるのはコツだけでなく経験も必要です。
工具も一般的に販売されている物、例えばホイールを固定する台など使っても当然台ごと動いてしまいますので隙間の無い所へ硬く厚みのあるチューブ挿入には殆ど役に立ちません。
仮にチューブが入れられたとしても、タイヤレバーを使ってタイヤをホイールに押し込む時にリムへ傷を付けてしまうかもしれません(オンロード・チューブタイプにはタイヤチェンジャーが必至)。
~~~以上の事から販売店にて次回タイヤ交換の時にチューブも交換、ハードチューブ仕様にして貰うのが理想的です。防止剤充填は少々コツがありますがこれは自分でも出来る作業です。
パンク防止剤使用の注意点
パンク防止剤は金属を腐食させます
「ムシ」は定期的に交換し、エアバルブ部分のトラブルを回避しましょう。
ムシは画像上・旧型の物を使うと防止剤で腐食すると真ん中から破断してチューブ口金部分に残ってしまい、場合によっては取れなくなる事もあります。そうなるとエアを抜く事も注入する事も出来なくなり、チューブ交換となってしまいます。
必ず画像下・新しいタイプの短い物を使う事。
新しいチューブやエアバルブでは短いタイプが標準仕様です。
現在お使いの物を一旦外して確認してみましょう。